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2014年2月 2日 (日)

DNA鑑定 その2

  容疑者
 捜査の検討会が開かれたのは翌二十日だった。検討会には課長の平山と渋谷署長、捜査一課第四強行犯捜査管理官加藤修平も出席。係長の石川進の報告から始まった。
 「本件の被害者である渡瀬景子については杉並区永福町に住んでおり、今月十二日に母親から家出人捜索願いが高井戸署に出されていました」
 そして石川は、高井戸署のこれまでの捜査結果として次のよう内容の報告を行った。
 「高井戸署が自宅にあった景子さんの平成八年の手帳やアドレス帳、メモ類を調べた結果ですが、被害者は東都電力に勤めるかたわら土、日曜日や祝日など会社が休みの時は、第二の仕事として品川区西五反田のSMクラブ『マゾッ娘宅配便』でホテトル嬢をしているようです」
 上座に置かれた白板には被害者の写真が貼られて八日の行動が書かれている。
 「マゾッ娘の仕事時間は午後零時半ごろから五時半ごろまでだが、その後は渋谷区円山町界隈で深夜まで売春婦をしています。これは彼女の手帳やメモ帳から明らかになったもので、それは五年近くにも及び、ほぼ毎日の記録があります」
 質問が飛んだ。
 「東都の仕事の後、毎日、円山町に立っていたということか?」
 「そのようです。全ての仕事を終えた午前零時過ぎ、井の頭線の最終電車で神泉から乗車、西永福でおりて自宅まで帰っていたようです。八日は家を出る前に自宅の電話で世田谷区の八百屋の主人に電話をかけてから家を出ていますが、これまで一度も外泊したことがないのに四日間もまったく連絡がなかったことから母親が捜索願いを出しました。高井戸は特異家出人として追跡捜査を進めていたということです」
 捜査員の一人から質問が飛んだ。
 「その電話をした八百屋の男は潰しているのか?」
 石川が答えた。
 「ある程度の捜査を進めていたようなので潰していると…」
 課長の平山がイライラした表情で石川の報告を遮った。
 「発見状況から説明しろよ。それとな、この山のポイントはなんで彼女がその部屋にいたのかなんだよ。そこが一番知りたいところだぞ」
 警視庁の捜査一課長と言えば、歴代が「たたきあげ」が就任しており、キャリアの入る余地のない、いわゆる〝技術屋〟ポストなのである。鑑識課長や捜査三課長経験者が多い。
 石川に変わってデスク主任の今井が説明に立った。平山は今井を「今ちゃん」と呼び、信頼を寄せている部屋長さんだ。
 「変わって報告します。喜寿荘は二階建てで各階三部屋づつありますが、このうち一〇一号室と一〇三号室が空き部屋になっており、どういう訳か管理者が渋谷駅近くのカプセルホテル経営者であるオザキミチオ(小崎道雄)なる人物です」
 平山がまた割って入った。
 「そうじゃなくてなんで彼女がその部屋にいたのか理由を説明しろと言ってるんだよ」
 「次を聞いてください。そのオザキの部下のマルヤマタケシ(丸山健士)という男が十八日午後三時ころ空き部屋になっている一〇一号室と一〇三号室の見回りに行ったそうです。ところが一〇一号室の腰高窓が開いていたので中を覗くと六畳間に女性が寝ているのに気付いたと言います。その時、マルヤマは一〇一号室のカギをネパール人のジハールという男に今年一月下旬から貸してあるのでその知人だと思い込み、玄関に行くと無施錠なので物騒だと判断。マスターキーでカギをかけてその日は帰ったそうです」
 今井はさらに続けた。
 「翌日、午後五時ごろ再び一〇一号室を訪れると、やはり女性はそのままなのでカギを開けて部屋に入り、死んでいるのに気付き一一〇番したというのが状況です。現在ネパール人のジハールは行方不明になっています。その男の供述次第で部屋にいた理由が判明するものと思われます」
 どうも平山の機嫌が斜めのようだ。
 「結局は現在は理由が分かっていないということじゃないか…そう言う場合はな結論を先に言うんだよ。そしてその説明をすればいいんだよ」
 木川田が質問した。
 「ジハールの人定はとれているんですか?」
 「この点については渋谷から報告させます」
 渋谷署からは初動段階の報告が行われ、初老の刑事から極めて興味深い報告が飛び出した。
 「死体が発見された十九日夜、隣接する粕屋ビルの四〇一号室に住むネパール人の男に当署員が職質をしています。その男がジハールでした。この男は現場である一〇一号室のカギを持っているという情報が第一発見者から寄せられていましたので、追及すると『返している』と言っています。さらに一〇一号室の女性を知っているかとの質問には『知らない』と言って翌日から部屋に帰っていません。勤め先は千葉市内のJR海浜幕張駅近くのインド料理店・幕張マハラジャです」
 木川田は苛立った。
 「職質しただけじゃどうしようもないじゃないか?なんで調べないんだよ。年はいくつぐらいなのか?」
 「三十歳ぐらいです」
 平山が聞いた。
 「この辺には外国人が多いのか?」
 初老の刑事が答えた。
 「ジハールは喜寿荘の隣のマンションの四〇一号室に同じネパール人三、四人と共同生活をしています。出入りが激しくなかなか実態を掴みにくいものですから…その他に道玄坂から神泉駅周辺にかけてネパール人やイラン人などが目立ちます」
 石川が怒ったような口調で言った。
 「ちょっと待って下さいよ。勝手に質疑されちゃ困るんですよ。報告がまだまだあるんだから…それでは鑑識から報告させます」
 それでは検死官からお願いします。
 「本死体は眼瞼、眼球に著明な溢血点が見られること。尿失禁が認められること。甲状軟骨が折れていることなどから扼殺と見ております。なお体内では既にウジ虫が発生しており、その体長は九ミリになっています。三月の気温十数度から推測するに殺害時間は十日前の三月八日、九日に近い時間と推定されます」
 検死官・芹沢メモによると三月の陽気でウジ虫の成長は、最初の二十四時間では卵だが徐々に育ち、六日目では五ミリ、十日目で九ミリ、十六日目で十二ミリになると言われている。勿論、夏の八月で十二ミリになるのは五日程度だという。そのウジ虫が死体を食べてしまうのだ。
 続いて鑑識結果が報告された。
 「害者は身長一六七㌢、体重四四㌔と痩せ形。頭を東側、下肢を西側に向けた仰向けの状態で倒れていました。顔面はやや横を向いており両腕を広げ、両足は閉じられた状態で服装も含め乱れは見られませんでした。が、部屋のトイレからは使用済みのコンドーム一個のほか被害者の右肩付近と絨毯から合わせて陰毛四本が見つかっています。さらに被害者のトレンチコートの左肩に長さ二.五㌢幅一㌢の血痕が付着していました」
 鑑識班の報告はさらに続いた。
 「被害者の膣内にわずかですが精液が残っていました。なお被害者のABO型の血液型はO型ですが、陰毛の二本はB型でさらに二本はO型でした。O型の陰毛は被害者本人のものと推定されます。したがって、B型の陰毛は性交時の相手方のものとみられます」
 「コートの血痕は擦過傷のある被害者と一致します。なお、DNA型は現在、科警研(科学警察研究所)で鑑定中です」
 誰からともなく声が飛んだ。
 「ということは、まる容(容疑者)はB型ってことか…」
 警察は、やたらと「まる」を付けたがる。「まる被」「まる容」は被疑者又は容疑者。「まる害」は被害者…たぶんこの声は機捜隊員だろうと思われた。一般人に分からないよう通常会話で使っているからだ。
 続いてデスク主任の今井から次のような現場報告があった。
 「被害者のバッグの中から財布やアドレス帳の他に二十八個のコンドームが発見されました。コンドームは一個一個パッケージに入っており、大量に持っていることから想像するにどうやら高井戸署の報告にもありましたが〝商売人〟ではないかと…ただ、今回使用したコンドームのパッケージがどこからも発見されていません。それで体内には精液が残されている…この辺が問題なので固定観念を捨て捜査願います」
 誰かが言った。
 「昼と夜の顔を持った女か…」
 今井はさらに手帳やアドレス帳などを示しながら続けた。
 「いずれにせよ、この様に手帳やアドレス帳があるので交遊関係はある程度の資料は揃っています。但し、相当、数が多いので心してかかるように…担当者には後でコピーして渡します。さらに今日になって巣鴨(署)から渡瀬景子名義の定期券が落ちていたという情報が寄せられています」
 今井の言う手帳には「?外0・2万」「?0・2万」「?外人3人(401)1・1万」「外人(401)0・3万」…謎の暗号めいた文字に加えて電話番号と思われる数字、人名と思われる二文字から三文字、時間、それになぜか金額と思われる数字がびっしり書かれているという。
 しかも、それは予定欄と結果欄に分けられており、謎の文字は結果欄に書かれている。
 次いで足取り班を担当している主任から次のような報告があった。
 「高井戸の追跡捜査と合わせて申し上げますが、行方不明になった八日は土曜日で正午過ぎに永福町の自宅を出て、現場に残されていた容器入りの野菜サラダをデパート地下で購入。マゾッ娘に出勤しています。しかし、この日は客が付かず午後五時半ごろ店を出ているようです。その後、現場に残されていたおでんは、円山町のコンビニで買ったことが裏付けられました。おでんを買った時間は午後の七時過ぎで、男と二人でネタを選んでいたという情報があります」
 そしてマンション担当の第二班の巡査部長が説明に入った。
 「現場である喜寿荘の二階に住む芳賀という女子高校生が、九日の午前零時前、アパート近くの井の頭線の神泉駅構内の公衆電話で友人に電話をかけるため一〇一号室前を通ったところ、部屋の中から性交の時の女性のあえぎ声を聞いています。午前零時半ごろ再び通った時は静かだったといいますから、犯行はこの時間帯ではないかと思われます」
 こうして報告が終わり、地元の渋谷署員、機動捜査隊員など四十人体勢の捜査本部が立ち上げられ、景子さんの身辺捜査、現場を含めた聞き込み捜査の継続、アドレス帳をもとにした関係者の事情聴取などの捜査が開始された。
        ※
 木川田は地元渋谷署刑事課の滝田純夫巡査部長とペアを組むことになった。滝田は刑事になって三年になるという。目がギョロッとして映画俳優の里見浩太朗似の木川田と違い、丸顔でスポーツ刈りの頭、口にはチョボひげの滝田は自らを渋谷署のタッキーと名乗り、どちらかと言うと吉本興業向きである。
 事件当日、現場で警察官に職務質問を受け、その日から隣接する柏屋ビル四〇一号室に帰らなかったジハールは二十二日になって自ら渋谷署に出頭してきた。
 捜査本部は簡単な職質だけで済ませた渋谷署員の対応に疑問と失意を持っていたが、出頭したことで胸をなでおろした。
 喜寿荘一〇一号室の管理を任されている丸山健士の話しによると、同部屋はネパール人のラジャら数人が住んでいたが昨年十月に出ていったあとは空き部屋になっていた。
 ところがジハールの姉が来日するということでカギは一月末にジハールに預けていたと丸山は供述している。
 これが事実なら事件当日、現場の部屋に自由に立ち入ることが可能な人物は丸山にジハールが加わることになり、重要人物の一人になる。
 そのジハールは当然、第一発見者と同様に捜査の対象になる人物であり被害女性との接点で事情を聞かなければならない人物である。
 ジハールに対する任意の事情聴取が始まった。何れは難民認定法により逮捕を予定している人物だ。
 調べ室に入ったジハールはなんの不安からか極めてオドオドして表情が硬かった。しかし、弁護士を要求することもなく任意の調べには素直に応じた。調べ官が聞いた。
 「君は現在、どこに住んでいるのか? アドレスを教えてくれ」
 「私は円山町××の柏屋ビルの四階です」
 「何号室に誰と住んでいるのか?」
 「四〇一号室です。ネパール人で友人のサビンらオール五人で住んでいます」
 「隣の喜寿荘は知っているか?」
 「知っています」
 「君はその一〇一号室のカギを持っているらしいが、どこにある?」
 「カギは三月六日にマルヤマさんに返しました」
 流暢な日本語である。
 「嘘だ!返していない。嘘をつくと大変なことになるぞ」
 ジハールは黙り込んでしまった。
 「もう一つ聞く。いいな!ちゃんと答えなさいよ」
 「………………」
 「あの部屋のカギはどうして君が持つことになったんだ」
 「………………」
 「黙ってるとこのまま泊まってもらうことになるが…それで良いんだな」
 それでもジハールは黙り込んでいる。調べ官は任意なので、それ以上の追及は逮捕してからでいいと思っていた。沈黙が五、六分も続いただろうかジハールが喋りだした。
 「あの部屋は…」
 「あの部屋とはどっちの部屋なんだよ柏屋のほうか?」
 「一〇一号室のほうです。ネパールにいる私の姉が日本に来て私と一緒に住むことになり、柏屋の四〇一号室にいる私の友人四人が一〇一号室に移ることになったので、カギを預かりました」
 「その話はいつ頃の話しだよ。実際には引っ越ししていないじゃないか?」
 「二つ前の月です。でも、姉は日本に来られなくなり、この話しは全てキャンセルしました」
 「あの日、事件があった日だ。君は警察官に質問されたが何も答えなかった。それ以来、部屋に帰って来なかったが何かあったのか?」
 間を置いてジハールが話し始めた。
 「あの日は確かに警察官にカギと女性を知っているかと聞かれました。私はカギは既に返してあるし女性は知らないと答えています」
 「ではなんで帰って来なかった?」
 「自分に不法滞在の疑いが出ているのではないかと思い、国外追放されるのが怖くて、部屋に一緒に住んでいる四人の仲間と渋谷区内のウイクリーマンションに泊まっていました。きょう警察が自分たちを捜していると聞いたので来ました」
 不法滞在を自ら認めるなど、表情も変えずに一気にまくし立てた。
 「君はあの部屋のカギを六日に返したと言っているが相手は否定している。それに君は君の分と他の四人の家賃を滞納している。滞納って分かるか? 家賃をまだ支払っていないということだ」
 答えを考えているのか慎重に言葉を選んでいるのか、ジハールは間を置いてからこう答えた。
 「いえ、一度預かりましたが六日に部屋の者に返させました」
 「部屋の者とは誰なんだ」
 「同居しているラウルという者です」
 「では聞くが君は八日。午後十一時ころどこにいたのか」
 この質問に対してはまるで暗記でもしているかのようによどみなく答えた。
 「自分は、千葉県の幕張というところでマハラジャという店の店員をしています。あの日は夜の十時まで仕事をしてここに帰ったのは十二時近くでした」
 調べ官はこれ以上深入りすることはしなかった。渋谷署は翌日の二十三日にジハールを出入国管理及び難民認定法違反で逮捕した。
 同時に粕谷ビル四〇一号室の家宅捜索が行われた。黒色のジャンパーや普段着ているジーパン、赤いポシェットなどに加えて本国からの手紙まで押収された。
         ※
 景子さんが殺されていた木造モルタルの喜寿荘は京王井の頭線の神泉駅北口からわずか一六、七㍍の所にある。JR渋谷駅のハチ公口からは西南西方向に約六〇〇㍍。駅からアパートまでは住宅や商店が両側に密集している道玄坂通りが利用される。周辺には飲食店や遊技場、ホテルなどが多い歓楽街である。
 地取り捜査班は朝から深夜まで時間差を付けて渋谷駅から現場までを何度も往復して目撃者捜しを続けた。それは〝絨毯爆撃〟並の徹底捜査だった。
 その結果、地取り班で警部補の菊池八郎が、円山町の青果店の店主から重要な証言を得ることができた。被害者の写真を見た店主が言った。
 「あっ、この人ならほぼ毎日見ていますよ。だってこの通りで売春の客引きをしているんです」
 さらに菊池は、同通りの渋谷寄りの道玄坂でサンドイッチマンをしている男から次のような情報を得ることができた。
 「あれはいつだったかなぁ…たぶん今年に入ってからだったと思いますが、彼女は通行している四、五人の男に次々に声をかけていましたよ。五千円とか四万円とか金額に幅があるようでした。この辺は結構、外人が多いんですよ」
 こうした目撃情報が他の班を含めて数件寄せられており、総合すると景子さんは道玄坂交番からラブホテル街を抜けて道玄坂地蔵が奉られているお堂の間を中心に客を拾い、多くは駐車場などの暗がりを利用して性行為を繰り返していたことが明らかになった。
 金額が安い時は駐車場で立ちながらの行為で済ませ、うん万円の場合はラブホテルを利用しているようだ。駅近くのラブホテル「プリンス」を良く使っていたことも聞き込みで明らかになっている。
 こんな情報が次々に得られて四、五日が過ぎたある日、木川田の班が、三月八日に景子さんが殺害された当日の目撃情報にぶち当たった。
 犯行現場の一〇一号室の真下の地下一階にある食事処「まん福亭」の常連客の息子である杉下昇という男からの情報である。
 杉下は自動車整備の専門学校生だ。
 「八日夜、確か午後十一時二十五分から四十五分ころまでの間に、男と女があのアパートの一階の階段を上り通路に姿を消しました」
 「一階の階段?ということは男女の二人は二階に上がっていったのか?」
 「いや一階の通路に行く階段です。あのアパートはまん福亭の右側が道路が下り坂になっているため段差があり、そこに三段か四段の梯子状の階段があるんです」
 木川田は思い出した。自分が思いっきり向こう臑をぶっつけたところだ。あれを階段というのかは疑問だがあくまでも目撃者の表現である。
 時間を確認するため木川田が聞いた。
 「なんで十一時二十五分から四十五分と断定できるのか」
 「私はあの日、父がまん福亭にいるため車で迎えに来たんです。店の前に車を止めたのが十一時十四、五分ごろで、近くにあるコンビニにガムを買いに行きました。その後、まん福亭に入りマスターに時間を聞いたら十一時二十分と言っていました。その五分か十分ぐらいして自分の車に戻りました。その五分ぐらい後にアベックを見ました。ところが後で聞いた話ですが、店の時計は六分ぐらい進んでいたそうなので、見たのは二十五分から四十五分の間と思われます」
 木川田はその時の二人の人相について聞いた。
 「女の身長など特徴は覚えていますか?」
 「そうですねぇ、一七〇㌢ぐらいで痩せてスラッとした感じでした。ベージュのコートを着ており黒いショルダーバックを肩にしていました」
 「その女はこの人ですか?」
 捜査本部は顔写真も入手しているが、この場合は全体的な雰囲気が必要だ。このため木川田は、死体となって横たわっている被害者の写真を見せることにした。写真を見た杉下が答えた。
 「そうですね。服装からしてもこの人のように見えます」
 木川田が続けた。
 「男の人相などは分かるかな」
 「身長は女と同じぐらいで、体格はちょっと肉付きがいいかな…ぐらいですね…たしか黒のジャンパーを着ており、チラッとほんの数秒ですが、横を向いた瞬間に見た顔は肌は浅黒く、彫りの深い顔立ちで髪はウエーブがかかっており東南アジア系の人に間違いありません。あっそうだ。ジャンパーの左脇に赤い物が付いていたと記憶しています」
 「その赤い物とはジャンパーの飾りか何かですか?」
 「いゃ飾りではないような気がしました」
 巡査部長の滝田が言った。
 「ポシェットかなんか…バッグのような、そんな持ち物ではないでしょうか?」
 「そうですね。左手を女性の肩にこうしておりましたから手に持ったものでなくポシェットですね。間違いありません」
 「赤い物」とは家宅捜索で押収してある赤いポシェットと推測される。余りにも目撃状況がリアルなので木川田が最後に聞いた。
 「あの現場は夜になると相当、暗いと思うが貴方と二人の距離はどれくらいあったの?」
 「そうですね。七、八㍍ぐらいかな…そんなに明るいとは言えないが駅からの灯りや自動販売機、それにまん福亭の看板の明るさ、街灯もあるので結構、良く見えました」
 「分かりました。ではその人物を見たら特定できますよね。こちらから面通しをお願いすることになると思いますので、その際は宜しくお願いします」
 「雰囲気なら大丈夫だと思います」
 これで絞り込みの段階で面通しが可能になったことを確認し聴取を終えた。
 この結果、二階に住む女性が公衆電話をかけるさい通った時に、女性のあえぎ声が聞こえた午前零時前の情報と合わせると犯行時間は八日午後十一時五十分から九日午前零時過ぎの間と推定された。
 一方、被害者、景子さんの八日の行動を追っていた主任の山崎赳夫の班が次のような事実を明らかにした。山崎は最初から景子さんの身辺捜査を担当していた。
 景子さんが西五反田のマゾッ娘を出たのが午後五時三十分で、その後、午後七時ころ常連客の初老の男と渋谷駅前のハチ公前で落ち合い、二人で円山町のコンビニでおでんを買ったことが女店員の証言で明らかになった。
 この後、二人はコンビニ近くのラブホテル「プリンス」に入っている。ホテルに設置されたビデオカメラから午後七時十三分に入り、出たのは同十時十六分ころだった。
 その後、景子さんは午後十時三十分過ぎに円山町の青果店前で客引きをしているのを店主に目撃されている。
 「白いスーパーの買い物袋を持っていたので印象に残っています」
 スーパーの袋を手に客引きしている彼女を見たのは初めてという。
 そしてまん福亭に父親を迎えに来た杉下の供述に繋がるのである。
 捜査本部は景子さんがプリンスで売春した相手の男を突き止めた。手帳に何度も登場する客でホテルの常連客でもあった。山崎は単刀直入に質問した。
 「きょうは渡瀬景子さんについてお聞きしたいのですが…」
 「えっ」と言って男はうつむいた。そしてこう言い出した。
 「彼女殺されたんだってね。新聞で見ましたよ…でも、刑事さん、マスコミで報道されているような…彼女は悪い人ではないんです。いい人なんですよ…」
 涙声になっていた。
 「それで、三月八日のことをお聞きしたいのですが…」
 「あの日が最後でしたねぇ…前々から懇意にしてもらっていました。あの日は終わってから三万五千円頂戴というから一万円札で四枚渡しました。彼女はお釣りに千円札で五枚を返してきました。私たちは十時過ぎに別れました」
 山崎が聞いた。
 「別れたのは午後十時過ぎですね。あなたはそれからどうしました」
 「私は渋谷駅前のなじみのバーに行って、自宅に帰ったのは午前零時を過ぎていたと思います。次の日が休みでしたから…あっ、バーに聞いてもらえば分かりますよ。その後に行った時に話題になっていましたから…」
 「これは大変聞きにくいのですが…大事な事なので敢えて質問させてください。行為の時にコンドームは使いましたかね。それと参考のためにお聞きしますが血液型は何型ですか?」
 「確か…安全日だったのかな…知っている仲でもあったことから使わなかったように思います。私はO型です」
 山崎は次の質問に移った。
 「お釣りを出すとき見ていたと思いますが、彼女はお金を沢山持っていたように見えましたか?」
 「いえ、釣り銭はいつもの二つ折財布から出して、私の支払った四万円もその財布に入れていましたから…そんなに入っているとは思えませんでした」
 常連客のその後のアリバイも立証され、捜査線上からその男は確実に消えた。
 遺留物関係の結果が出たため捜査本部に報告された。
 それによると現場のトイレから発見された使用済みのコンドームは長さ十七㌢で不二ラテックス社のリンクルM型の製品であることが判明した。被害者がショルダーバックに入れていた未使用コンドーム二十八個の中には、ラテックス社製品一個が含まれており、これは被害者が利用していた渋谷区円山町のラブホテル「プリンス」備え付けの業務用だった。
 この結果、捜査本部は死体の膣内に残されていた微量の精液はABO血液型のO型で、プリンスで約一時間前に性交した常連客の精子とほぼ断定。この後、今回の事件の被疑者と見られる男とコンドームを使って性交した可能性が高いとみたのである。
 こうして捜査本部は次のような事件の構図を描いた。
 被害者は男と性交の後に身支度を終えて帰る段階になり、被害者から金を強奪するためショルダーバックを奪おうともみ合いになった。このためバックの取っ手が千切れてしまった。
 このもみ合いの流れの中で男は被害者の顔面を殴りケガを負わせたうえ、首を絞めて殺害。バックの中から二つ折りの財布を取り出して小銭を残して四万円を抜き取った。その四万円は常連客が支払ったお金だった。
 犯行後、男は奪い合いでバックから飛び出た財布などをバックの中に戻して被害者の頭付近にそっとおいて、あくまでも自然に置かれた様に偽装した。
         ※
 木川田と所轄の滝田は杉下という男から得た犯行当日の目撃情報をもとに男の犯行前後の足取りを追うことにした。
 身長一六〇~一七〇㌢で黒ジャンパーに赤いポシェットをポイントに、肌が浅黒く彫りの深い顔立ちでウェーブのかかった髪の男を捜すため円山町界隈を歩き続けた。
 神泉駅から円山町を中心に渋谷駅方面まで足を伸ばし何度も往復した。歩き始めて四、五日が過ぎた日の夜、何度目かの往復で道玄坂にさしかかった時、広告のボードを持った男が歩いて来るのに出会った。サンドイッチマンである。
 滝田がその男に声をかけた。自ら「タッキー」と名乗るなど吉本興業にぴったりの相手である。木川田は聞き役に回った。
 「大変な仕事ですよねぇ~。疲れているところを申し訳ありませんが、貴方はいつもこの時間帯にこの付近を歩いていますか?」
 サンドイッチマンの仕事は別に大変な仕事とは思わないが、ベンチャラを使うなどはさすがの吉本興業のタッキーである。サンドイッチマンは快く答えてくれた。
 「毎日ではありませんが、夕方から人通りが絶えるまで渋谷駅からこの先まで歩いていますが…」
 滝田は警察手帳を示してからこう言った。
 「私は渋谷署の滝田、通称タッキーです。前にこの先のアパートで女性が殺害された事件でお聞きしたいのですが…」
 サンドイッチマンは笑顔をみせながら答えてくれた。
 「あぁやっぱり…前にも刑事さんから聞かれたことがありますよ。その時は思い出さなかったので初めて申しますが、事件のあったあの日、確か八日の午後十時半ごろから暫くの間、いつもどおり道玄坂から神泉駅方面の道路上で彼女は通行する男の人に声をかけていましたよ」
 「その時、身長一六〇から一七〇㌢ぐらいで彫りの深い顔に髪がウエーブした外国人風の黒ジャンパーを着た男を見ませんでしたか?」
 「いゃぁその時は道玄坂道路脇の花壇のところに座っていた男が、彼女と話していたのですが、黒ジャンパーを着た日本人のようでしたよ」
 「ほう、その男とはその後、どうなりましたか?」
 「年齢が二十七、八歳から三十歳ぐらいと思いましたが、その男の人と道玄坂の西側の歩道を神泉駅方向に右折して行きました」
 木川田と滝田はボードを持った男に丁寧にお礼を述べてさらに歩き続けた。滝田が木川田に言った。
 「主任さん、今の話しですが別の円山町の青果店の店主の話では十時半ごろ道玄坂の荻原ビルの前で四、五人の男に声をかけていたという目撃情報と一致しますね。そうするとまん福亭の外国人風の男の目撃まで約一時間の差が出てくるんですよね」
 「そうなんだよ。という事はホテルの常連客の後でもう一人と性交している可能性が出てきたことになる。定期券が遺留された巣鴨方面に足があるやつの裏付けにこの男も加えないといかんな」
 そして木川田はこう続けた。
 「すまんが、明日も午前中、ちょっと時間をくれないか?野暮用ができちゃって…」
 滝田は思った。このところこうした出勤が多い。木川田の家族の具合が悪いのではないかと…
 「主任さんのご家族は皆さんお元気なんですか?」
 「あぁ元気だよ。女房は公務員で共稼ぎでな。餓鬼は二人いて既に社会人になっている奴と大学生だ」
 「まさか、奥さんは警察官ではないですよね…」
 「違うよ。なんでだ?」
 「いやすみません。変な事を聞いちゃって…」
 翌日の午後、木川田はこれら目撃情報をデスク主任の今村に報告し、定期券捜査に手を伸ばしたい旨を伝えた。今村からの報告を聞いた石川が木川田のところにやってきた。
 「部屋長から聞いたよ。いい報告だね。特に彫りが深くウエブ髪で東南アジア系の男ね。特徴からジハールに似ているんだよなぁ。ただジハールは顔の肉付きや上半身がすこ~し太った感じがするんだよ…」
 「それはそれとして問題は定期券なんですよ…」
 石川は木川田の言葉を打ち切るように言った。
 「定期券の件だろう。これまでの報告では害者のメモ帳などから巣鴨方面に住所のある人物数人が浮かんだがアリバイがあると聞いているぞ。捜査はやっていないんじゃなくやっているんだよ」
 石川はさらに続けようとしたが、木川田がさらに突っ込んだ。
 「いや、それともうひとつ。昨夜、サンドイッチマンからの情報によると、常連客と別れた後の午後十時半ころ、彼女は三十歳くらいの黒ジャンパーを着た日本人と道玄坂の西側の歩道を神泉駅方向に右折して行くのが目撃されているんですよね。どうも気になって…詰めてみたいのですが…」
 「しかし、それはな被害者が殺害された最後の男の一時間前の男になるわけだろう…実はな、課長も了解してるんだが、難民認定法違反で捕まえているジハールの判決が五月に出る予定なんだよ。それまでに白でも黒でも何らかの決着をつけて置かなければならないんだよ。それに…」
 「なんですか?もうジハールに絞り込んでるのですか?」
 「そんな訳ないよ。決めている訳じゃないんだが、そろそろ絞り込みに入りたいと思ってな。もう四月だろう…それで悪いんだがモクさんには遅れている関係者の聴取を見てもらいたいんだ。地検は二十人ぐらいの調書を巻いたらいいだろうと言っているんだ。これが進んでいないんだよ」
 「これはやれという命令でしょう。分かりましたやりましょう。しかし、俺は定期券と三十代の男の情報はもっと詰めておく必要があると思いますよ」

  身勝手な客ばかり
 四月に入り捜査本部は慌ただしさを増していた。被害者、景子さんのショルダーバックに入っていた平成九年の手帳、アドレス帳やメモ帳、それに自宅に残っていた平成八年の手帳やアドレス帳から客とみられる人物を捜し出し、片っ端から事情聴取を行っていた。
 事件前月の二月二十六日の結果欄に「荒木二・五五万」と書かれている「荒木」をアドレス帳で探し出し、一致する名や名字、電話番号をもとに、被害者景子さんと関係した人物として事情を聞くのである。彼らと接触し事情を聞き、内容によっては調書にする方針がとられていた。
 しかし、多くの関係者は行為そのものが違法だという自覚があるほか、社会人としてのプライドもあってか関係を認めようとしなかった。捜査は困難を極めた。
 木川田らは、手帳に「杉山〇・五万」と書かれている人物に会った。アドレス帳から捜し出した人物である。
 「既にニュースでご存じと思いますが、渋谷区円山町で売春をしていた渡瀬景子さんの件についてご協力頂けませんか」
 電話での捜査協力要請である。「勘弁して下さいよ」と電話が切られそうになった。
 「記録が残っているものですから…ご協力頂きたいのですが…これからお伺いします」
 「ちょっと待って下さい。会社にですか…電話でだめですか」
 「手間を取らせませんので…会社の近くではいかがですか」
 内容によっては調書にしなければならない。電話で済まされる問題ではない。説得の結果、会うことができた。男性はこう言い出した。
 「いや、何度かお付き合いした程度ですので勘弁してくださいよ」
 木川田はやんわりと正した。
 「これは貴方の事を聞くというよりは彼女がどんな人だったかを判断するために必要なんですよ。貴方の名前が公になることはありませんので…」
 木川田にしては珍しい説得である。
 「それでも家庭を持っているものですから…」
 「でもね、貴方は買春という行為をしているんですよ。相手がどんな人物だったかぐらいは協力願えませんか」
 木川田はムッとして強い口調になった。暫く沈黙したがあきらめたのか男は重い口を開いた。滝田がメモをとっている。
 「そうですねぇ…私が会ったのはだいぶ前の話しになりますが、とにかく金の事に関してはうるさい人でしたよ。ある時、手持ちが心細かったので『お金が足りないのでたまにはサービスしてくれよ』と嘘をついても納得してもらえず全額をむしり取られました」
 「と言うことは、一度や二度ではないですね。その時はいくらだったのですか?」
 「すみません…金額は勘弁してくださいよ」
 「ではホテルでしたか?それとも別の場所?」
 「それも勘弁して下さい。なにしろ…年甲斐もないことをしてしまいましたので…」
 「分かりました。それでは三月八日は何をしていましたか?」
 「えーと、八日は何曜日だったですかねぇ」
 「土曜日です」
 「土曜日でしたら自宅でテレビを見ていました」
 「証明してくれる人はいますか?番組の内容でもいいですが…」
 「妻も子供もいましたが…これって確認されるんですか?見ていたのはプロ野球の巨人戦の中継ですが…」
 「分かりました。最後にお聞きしますが、行為ではコンドームは使いましたか? 貴方の血液型は?」
 「使いました。A型です」
 今度は松濤町で雑貨商を営んでいるという男に会った。アドレス帳とメモからすると常連客のように思われる人物である。
 「どうして私を知ったのですか?これはプライバシーの問題でしよう」
 仰けからもの凄い剣幕である。これだけ話すとだんまりを続けた。木川田の声が大きくなった。
 「いい加減にしてくださいよ。貴方の名前は捜査で知ったのです。売春防止法の第三条には『何人も、売春をし、又はその相手方となってはいけない』と禁止しているでしょう。どうしてもと言うなら我々も考えがありますから…」
 店主はしばらく考えた。「事を荒立てるつもりはない」と悟ったのか、静かに話し出した。
 「私の名前が公表されるのでしょうか?」
 「今回お聞きしたいのは貴方の事情ではなく、彼女はどんな生活を送っていたのかを調べているのです」
 「私は円山町の駐車場を良く使うのですが、そこで声をかけられました。行為はホテルだと万円だが、お金がなければ立ってでもいいらしく四千円とか五千円とか言っていました。そこで私は車を選んだのですが、車の中で談笑している間に食べたつまみ代として行為料金の他にさらに四千円を払えと言われました。三千円しか小銭がないと言うと一万円をくれれば釣りがあると言われ結局はつまみ代金全額を支払わされました」
 「それはいつの話しですか?本番代金はいくらだったの?三月八日はどこにいましたか?」
 「昨年暮れの話しです。本番代金というか…それは勘弁してください。三月八日はゴルフで都内にはいませんでした」
 「ホテルに行かれることはないのですか?」
 「行ったこともあります。最近は面倒臭くなって…」
 「行為の時はコンドームを最初から使いましたか?そのコンドームは貴方が用意したものですか?」
 「私が用意するわけないでしょう。彼女がいっぱい持っていましたよ。勿論、最初から使いましたよ。病気が怖いもんで…」
 「最後に血液型を教えて下さい」
 「そんな事まで言わなければならないんですか。B型ですよ」
 結局この人物の供述は調書として作成することにしたため時間がかかってしまった。
 さらに別の男からはこんな話しも聞かれた。これは滝田が聞いた人物である。
 「円山町の道玄坂の路上で声をかけられて知り合いになりました。暑い日でしたので近くの花壇でしばらく話し合いをしました。その時は彼女はひとりで缶ビールを飲んでいました。その後、話し合いがついて近くの駐車場で行為をすることになったんです」
 「車の中でかな」
 「いや、外でです。終わると代金に加えてビール代金を請求されました。私は『飲んでもいないビール代なんて払えない』と言いました」
 「それで喧嘩になった?」
 「いえ、喧嘩になるどころか執拗につきまとわれ、振り切ると彼女は路上に座り込んで大声で『払いなさいよ』とわめきだしたんです。恥ずかしいので払いましたよ」
 「何回ぐらいつきあいました?三月八日はどこにいましたか」
 「昨年の秋ごろから二回ぐらいですがビール代金騒動以来、止めました。八日は自分は飲食関係の仕事をしているので、その日は休みではありませんでした。夜を含めて証明してくれる人はいます」
 こうした供述を裏付けるように被害者、景子さんの手帳には、毎日の結果欄に相手との売春代金を百円単位まで克明に記入していたのである。
 どうも景子さんは、つまみだとかビールなど自分で勝手に「物」を用意している癖があるようだ。そうなるとあの事件当日はおでんを用意していたことが納得できる。
 事情を聞いた多くの男はコンドームを使用していた。しかし木川田が捜している三十歳前後の男にぶち当たることはなかった。
 木川田は、景子さんを相手にした性関係者から事情を聞くたびに強烈な憤りを感じていた。それは滝田も同じだった。
 「先輩、今回の事件は捜査していて虚しいと言うか心が沈んでしまうんですよね。なんていうか…人と人の係わり合いってこんな関係でいいのだろうかと…」
 「お前もちっとはましなこと言うね。しかし、彼女にとってはビジネスなんだよなぁ」
 「それは男と女の行為だけですよね。僕はダメですね。人の血が通っていないと…」
 「それにしてもだな。小銭で女の身体を買い、自分勝手なことばかりほざきやがってお前らも売春防止法第三条違反だぞ!って言ってやりたくならないか?こうなったら遊郭街の復活がいいな」
 勿論、買春者側には罰則はないが性交でぼろぼろになって最後は殺されたひとりの女性に木川田も滝田も心が痛んだ。
 刑事というのは、常に被害者の立場にたって正義を追及する職人であるべきだーこれは木川田が先輩から教わった教訓である。
 そう考えると木川田は一日も早く犯人を検挙して景子さんの怨念をはらしてあげたいという思いを強くしていくのであった。(つづく)

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