誹謗(ひぼう)中傷を取り締まる侮辱罪の罰則を強化する改正刑法が13日、成立した。インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策を巡っては、罰則の強化という「抑止」だけでなく、書き込まれたメッセージを速やかに削除するなどの「事後処理」も重要になる。関係機関は海外の交流サイト(SNS)事業者に削除を促す取り組みを強化。削除要請の手続きを簡素化する改正法も今秋施行される。
被害者からの相談を受けて事業者に悪質投稿の削除を要請している法務省によると、平成31年1月~令和3年10月に行った削除要請に対する各事業者の対応率は69・74%。だが、海外事業者であるツイッターの対応率は33・72%。同じく海外事業者のユーチューブは24・24%にとどまった。
法務省関係者によると、海外事業者は投稿者への権利侵害の懸念などから削除の際に法的根拠を細かく求めてくる場合が多く、「国内よりも対応が控えめになりがち」という。
こうした状況を受けて、法務省や有識者らでつくる研究会は今年5月、誹謗中傷の違法性を判断する際の法的根拠を解説した報告書を公表した。座長を務めた東京大学大学院の宍戸常寿教授(憲法学)は「海外事業者に日本での削除要請の法的根拠を理解してもらうことで、要請に対応してもらいやすくなる」と意義を説明する。
一方、ネット上で誹謗中傷を受けた被害者が損害賠償などを請求しようとする場合、投稿者を特定しなくてはならない。現状ではネットの接続事業者(プロバイダー)とSNS事業者の双方に投稿者に関する情報を請求する必要があった。こうした状況を改善しようと10月、「改正プロバイダ責任制限法」が施行される。1度の申し立てで裁判所が投稿者の情報を開示するよう事業者に命令を出せるようになるなど手続きが簡素化され、被害者の負担軽減が期待される。(荒船清太)
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