91歳原告「緑豊かな故郷よ」 事故11年思い、判事に訴え―原発避難訴訟(16日)時事
「緑豊かで静かな故郷に帰りたい」。15日開かれた東京電力福島第1原発事故の避難者らによる訴訟の上告審で、原告の一人、小丸哲也さん(91)は居並ぶ最高裁判事らに悲痛な思いを述べた。
原告側弁護士が意見を述べた後、スーツ姿の小丸さんは椅子から立ち上がり、裁判官らの方を向いて手元の紙に目をやった。マスクをしていたが、はっきりした声で陳述内容を読み上げた。
福島県浪江町にある先祖代々の家や田畑などは事故に伴う放射性物質で汚染され、人生を懸けて築き上げてきたものを80歳で全て失った。故郷は帰還困難区域の中でも高線量地域となり、事故から11年余りたっても除染されず、自宅は野生動物に荒らされて悲惨な状況だという。
小丸さんは「この現状は到底納得できない」と悔しさをあらわにした。「国は、地域住民に『原発は絶対安全・安心』という安全神話を40年間言い続けてきた。重大事故を起こした責任をはっきりと認めてほしい」と訴えた。
約5分間の読み上げが終わると、裁判官らに一礼した。裁判官らは時折メモを取りながらじっと耳を傾けていた。
弁論終了後に記者会見した小丸さんは「非常に緊張し、震えた」と話し、大役を終えて少しほっとした様子。国が事故の責任を否定していることについて問われると、「原発を許可したのは国なんだから、とんでもない話だ」と語気を強めた。
同席した原告側代理人の滝沢信弁護士は「希望の光を与える判決になると確信している」と自信をのぞかせた。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022041500789&g=soc
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