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2022年3月23日 (水)

<あの日から 東日本大震災11年>岩手出身の巡査、越谷署で勤務 「災害地で人の支えに」(23日)共同

「どんな災害現場でも人命救助に当たれるようにして、人々の不安を取り除きたい」。越谷署の浅沼貴喜(たかき)巡査(24)=岩手県滝沢市出身=は、東日本大震災の被災時に機動隊員から勇気づけられたことが縁で、警察の道を志した。万が一の時に自分も誰かを支えられるよう、交番勤務で汗を流す毎日だ。(杉原雄介)
 震災当時、中学一年生だった浅沼さんは下校中に立っていられないほどの縦揺れに襲われた。周囲の民家や電柱が波打つように揺れ、急いで帰宅すると家の中は家具や食器が散乱していた。一週間ほど停電が続き、夜の明かりはろうそく一本のみ。「生きている間にこんな体験をするとは思わなかった。絶対に忘れることはない」と振り返る。
 大きな余震が続いて不安が拭えず、厳しい寒さにも直面。電気が使えないため冷たい水で体を洗い、寝る時はありったけの布団にくるまったが、雪が降る三月の寒さは体にこたえた。
 震災から数日後、心身ともに疲れ切っていた浅沼さんは、食料を買いに行ったコンビニで埼玉県警のジャンパーを着た機動隊員に出会った。救助活動で沿岸地域に向かう途中だった隊員は「もし何かあったら言ってください。警察ができる限り助けます」と声を掛けてくれた。たった一言でも、それが「全く先が見えなかった」という心に染みた。芽生えた安心感を支えに、苦しい時期を乗り切れたという。
 この体験を機に「自分も人に寄り添える存在になりたい」と警察官になることを決意。体を鍛え、目が不自由な人を見かけると「大丈夫ですか」と声掛けしたり、道に迷っている人を案内したりと、人助けを意識した。大学まで岩手で過ごしたが、自分を勇気づけてくれた隊員がいる埼玉県警を志望。昨年三月末に新任巡査として越谷市内の交番に配属された。災害時に救援活動の最前線に立つ機動隊員を目指しながら、市民の日々の生活を支える。
 新型コロナウイルスの影響でなかなか帰省できないが、地元のことはいつも気に掛けている。今月十六日の福島県沖を震源とする地震では、岩手県も大きな揺れに襲われた。幸い家族らに被害はなく胸をなで下ろしたが、震災から十一年が経過してなお警戒が必要なことが改めて突き付けられた。
 近い将来に首都直下地震や南海トラフ地震が起きる可能性が高いと指摘されており、県内でも備えが必要なことに変わりはない。浅沼さんは「市民が安心して生活できるよう頑張りたい」と意気込んだ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/167221?rct=saitama

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