朝5時、無言の119番… 「水の音」頼りに推理、高齢男性を救助 宇都宮市中央消防署(3日)共同
手掛かりは、電話越しにかすかに聞こえる「水の音」だった-。宇都宮市中央消防署は、119番したものの呼び掛けに応答できず、川の中で倒れていた市内の高齢男性を捜し当て救出したとして、同署の消防隊と救急隊計8人を4日、表彰する。通報者の安否も場所も分からない特異な事案だったが、隊員の推理が的中し、男性の命を救った。
1月4日午前5時13分、市消防局に携帯電話から119番が入った。だが終始無言のまま。火事か救急か電話の故障なのか、分からなかった。 着信番号を基に携帯所有者の自宅を特定し、消防隊5人と救急隊3人が向かった。家の中には誰もいない。救急隊員が携帯電話にかけ直した。通話状態になったが、やはり呼び掛けには応じない。衛星利用測位システム(GPS)による発信地測定で半径400メートル以内にいることは分かった。
隊員は受話口の向こうに耳を澄ませた。サー、サー…。水が流れるような音がした。「水だよね」。周辺に水が流れる場所はないか。消防車のカーナビで調べると、近くに河川があり、手分けして捜した。
辺りはまだ暗く、気温は氷点下3度。ヘルメットにライトを付けた消防隊員が向かった橋の下から、携帯電話の着信音が聞こえた。のぞき込むと、川の中に男性が横たわっていた。水深約20センチ。携帯電話は水に漬からないよう、体の上で握りしめていたという。
道路と川の高低差は約3メートル。隊員3人が川に入り、はしごを立て掛け、男性を背負って上り、地上の隊員へ引き渡した。通報から30分足らずだった。
安納真樹(あんのうまさき)消防隊長(56)は「隊員に背負われた男性が声を出した時、生きていると分かり、うれしかった」と振り返る。「場所の断定は要救助者の命を助ける鍵。われわれはその鍵をいち早く開けて助けたい」
男性は頭にけがをし、体温は30.5度まで下がっていた。川に柵はなく、誤って転落した可能性がある。病院搬送後に入院し、回復に向かっているという。
高齢者を捜し当て救出した同署職員は次の通り。
消防隊 安納真樹(あんのうまさき)消防司令(56)佐藤岳明(さとうたけあき)消防司令補(53)浜崎功至(はまざきかつし)消防士長(46)大槻優介(おおつきゆうすけ)消防士長(30)戸泉貴陽(といずみたかあき)消防士(23)救急隊 石戸谷健進(いしとやけんしん)消防司令補(48)深谷悠太(ふかやゆうた)消防士長(34)谷延有紗(たにのぶありさ)消防士長(32)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/560748
« 「起点に産廃」と県警に情報提供 静岡・熱海市議会、参考人証言(3日)共同 | トップページ | ウクライナ侵攻で「人道危機救援金」受け付け開始 日赤福島県支部、5月31日まで(3日)共同 »
「一般ニュース(季節、話題、政治)」カテゴリの記事
- 関東は26日も厳しい暑さ 東京・練馬で36度超え(26日)日経(2022.06.26)
- 表面化しづらい「男性の性被害」 知られざる実態(26日)産経(2022.06.26)
- 雷や突風、激しい雨に注意 大気不安定、日中気温上昇(26日)共同(2022.06.26)
- 群馬・伊勢崎で40.2度 6月で全国史上初―東京都心は猛暑日、熱中症警戒(25日)時事(2022.06.25)
- 観光船事業者の法令違反に点数制 行政処分の基準を明確化へ(25日)NHK(2022.06.25)
« 「起点に産廃」と県警に情報提供 静岡・熱海市議会、参考人証言(3日)共同 | トップページ | ウクライナ侵攻で「人道危機救援金」受け付け開始 日赤福島県支部、5月31日まで(3日)共同 »
コメント