高校卒業後、昭和57年に巡査を拝命した。初任地の桐生署の駅前交番に配属されて以降、警察官人生は39年余りにもなり、うち22年以上は地域部門で過ごした。
太田、伊勢崎両署など東毛地域の警察署交番の勤務経験も豊富で、いつも街の最前線にいる、身近な「お巡りさん」として頼られる存在であり続けた。
今も初任地での経験が忘れられない。漠然とした思いで警察官を志し、高卒間もないこともあって社会のこともあまり知らなかった。しかし、制服に袖を通し交番に立つことで気づいたことは大きかった。
「つい最近まで高校生だった自分を実に多くの人が頼ってくれた。(交通法規など)注意したことなどもよく聞き入れてもらい、そのとき初めて制服の力の大きさを知った」
警察官としての自覚が芽生え、生涯の仕事としていくと決めた。「最前線で市民と接しながら、警察官とは何かを知り、そうして地域に育てられていった」と振り返る。
長い警察官人生の中では、24時間365日地域の治安を預かる駐在所に計約4年間、勤務するという貴重な経験も積んだ。
県外から移住してきた、ある若い夫婦はたびたび駐在所を訪れては、地域に馴染めない悩みや家庭の事情、農業のことなどを相談していった。
「今でも的確にアドバイスできたかどうか…。だが、駐在所に来訪してもらって悩み事や相談事など市民と向き合い、人として深く付き合う。そうした愚直な一つ一つの努力が地域を知り、地域の治安を守ることにつながっていた」
現在、伊勢崎署宮前町交番所長という重責に加え、交番に配属される新人たちへの指導にもあたる。かつての自分がそうだったように社会人経験の乏しい後進の育成が目下の課題だ。
「警察官になったばかりの若者から見れば、還暦を控える自分はもうお爺ちゃん。だから、どうすれば自分の技術や考えが伝わるのか工夫がいる」と、世代間の意思疎通の難しさを話す。
ただ、そうした懸念はあったとしても伝えたいことは一つしかないとも語る。「時代が変われど、困っている人がいれば助ける。それが警察官の姿。頼られ、信頼される警察官。その仕事の大切さを伝えていきたい」
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