静岡県熱海市で7月に発生した大規模土石流で静岡県警が業務上過失致死容疑などで、起点の土地を所有していた不動産管理会社などの強制捜査に乗り出した。
26人が死亡し、1人が今も行方不明となっている災害で、遺族らは起点での不適切な盛り土が被害を拡大させたと主張していた。
土石流は「人災」だった疑いが濃厚で、捜査による全容解明と責任追及が待たれると同時に、これを放置してきた熱海市など行政の責任も改めて問われる。遺族らは速やかな救済を求めており、行政は人災を前提に補償の道筋を検討すべきだろう。県が公表した文書などによれば平成22年10~11月の協議で土砂崩落の危険性を共有していた。翌年、市は県土採取等規制条例に基づく措置命令や停止命令の発令を検討したが、土地所有者が「不十分ながら防災工事を実施した」ことを理由に見送っていた。
熱海市の斉藤栄市長は今月、当時の市の判断について「誤っていたとは言えない」と述べ、行政の責任についても「現時点であるともないとも言えない」と明言を避けながら、「人災としての側面も否定できない」とあいまいな発言に終始していた。
一方で県の難波喬司副知事は会見で、措置命令を「個人的には出すべきだったと思う」と述べた。こうした行政側の一貫性のない姿勢が遺族らの感情を逆なでしているのではないか。
県警の捜査と並行し、行政は自らの対応の不備についてもつまびらかにし、住民の生命を守れなかった反省を公にすべきである。