児童虐待を未然に防ぐためには、関係機関同士の情報共有が重要とされている。だが、新村桜利斗ちゃんが殺害された事件では、事前に大阪府摂津市に母親や複数の関係者から相談があったにもかかわらず、警察に情報が共有されていなかった。過去にも同様の事件は繰り返されており、専門家は「関係機関の職員の適切なリスク判断が必要」と指摘する。
国のガイドラインでは、市町村が虐待情報を受けた場合、子供の安否確認を行うとともに、児童相談所(児相)などの関係機関と情報共有し、緊急性が高いと判断された家庭には、直ちに児相の権限で一時保護などの対応を取ることが定められている。
さらに大阪府では、4月から府内全域の児相が受理した全ての虐待情報を警察に伝える「全件共有」の仕組みが導入されている。だが、今回の事件では虐待を疑う情報が市に寄せられ、市は児相に伝えたが、警察には伝えなかった。
関係機関の連携不足から事件に発展するケースは過去にも起きており、平成30年に東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃんが死亡した事件で、虐待に気づいた香川県の児相が一時保護していたが、転居先の児相とは十分に情報が共有されなかった。千葉県野田市で31年、小学4年の栗原心愛(みあ)さんが亡くなった事件でも、心愛さんが父親からの暴力を学校に訴えていたが、市から児相に情報が伝わらなかった。
児童虐待に詳しい東京通信大の才村純教授は「各機関によって立場は異なり、どこにどんな情報を伝えるべきかを判断するのは非常に難しい」と指摘。その上で今回の事件について「善意の通報者が抱いた危機感が児相に伝われば、一時保護などにつながった可能性は高い」とし、「情報を受けた機関が個別の事案を検討して適切にリスクの度合いを判断する必要がある」と話した。
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