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2021年3月12日 (金)

【派遣警察官の10年 東日本大震災】「心に寄り添う演奏を」 警視庁広報課音楽隊・瀧内雅彦警部補(46)(12日)産経

コロナ禍に見舞われ、自粛が叫ばれている今の状況は、どこか、あの時に似ていると感じている。
 震災直後、テレビCMは自粛され、お笑いライブやスポーツ、あらゆるイベントの類が中止された。音楽でさえも、一部から「不謹慎だ」といわれた。
 こうした中、震災発生2カ月後、被災地に慰問演奏で派遣された。岩手に向かうときには「本当に必要とされるだろうか」と不安が尽きなかった。
 だが、被災者らは待ち構えるように温かく迎えてくれた。人々の心に、そっと寄り添い、癒やし、そして前を向く勇気を与える力が音楽にはある。それを肌で感じた。
■「ふるさと」一変
 自らも震災とは無縁ではなかった。
 生まれ育った福島県いわき市は、津波にのみ込まれた。警視庁本部の音楽隊の待機場で、テレビの画面越しに映し出された「ふるさと」の風景は今も目に焼き付いている。
 「いったいどうなってしまうのか」。歩き慣れた街並みが一変する様子に、ただ見ていることだけしかできなかった。幸い、実家の両親や弟家族は無事だったが、一時、都内の自宅に呼び寄せた。そうしたとき、慰問演奏は決まった。
 現地入りしたのは平成23年5月13日。最初は岩手の陸前高田を車で目指した。海岸沿いから数キロ離れた場所にも、津波が押し流した家屋などがあった。爪痕の大きさを目の当たりにした。壊滅状態となっていた陸前高田の街並み。車内は重苦しい空気に包まれ「口を開く隊員は誰もいなかった」
■「背中」押す
 それでも、避難所に身を寄せた被災者らは歓待してくれた。「『がんばろう』と思える演奏をしたい」と誓い、トランペットを手にした。
 演奏には「365歩のマーチ」「星に願いを」といった元気を出してもらえるような曲を選んだ。避難所は、被災者らの拍手で沸き、リズムに合わせて身体を揺らす姿もみれた。音楽の力を肌で感じた。
 最後に演奏したのは「ふるさと」だった。
 《うさぎ追いし かの山 こぶな釣りし かの川》 《夢は今も めぐりて 忘れがたき ふるさと》続きを読む
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https://www.sankei.com/affairs/news/210311/afr2103110072-n1.html

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