桶川ストーカー殺人遺族「包括的に被害者守れる法に」(22日)産経
ストーカー規制法制定の契機となった埼玉・桶川ストーカー殺人事件(平成11年)で長女の猪野詩織さん=当時(21)=を失った両親は、後を絶たない事件に胸を痛めている。
父の憲一さん(70)は講演活動を中心に再発防止を訴え続けてきた。17年に重度の胆管がんと宣告を受けたが「被害者の気持ちを代弁しないといけない」と今も活動を続ける。
ただ、当初は複雑な気持ちだったという。
事件約半年後の12年5月18日、詩織さんの22歳の誕生日にストーカー規制法は成立した。ストーカーの存在が広く認識され、「犯罪だ」と明確に定められた。だが、「こんなものができてどうなる。詩織を返してくれ」。娘の命と引き換えに整備された法を憲一さんと母の京子さん(70)は喜べるはずはなかった。
その気持ちに変化が生まれたのは被害者からの言葉だった。《法律ができたおかけで助かりました》。感謝の言葉が数多く寄せられると、両親には「詩織と同じような苦しみを、もう誰も味わってほしくない」とする思いがわいたという。
詩織さんは11年10月26日の昼過ぎ、大学に通学途中のJR桶川駅近くで刺殺された。事件前、仲間と共謀した元交際相手の男らからは無言電話や自宅周辺の徘徊(はいかい)の嫌がらせを数カ月にわたり受け、中傷ビラまで大量にまかれたが、警察は本格介入してくれなかった。
制定された法や桶川事件を教訓に、警察はストーカー事案に積極介入するようになった。しかし、時代とともにストーカーも変容し法の網目をかいくぐる被害は後を絶たない。憲一さんは「警察に相談している被害者は氷山の一角に過ぎない。包括的に被害者を守れる法律に改正する必要がある」と感じている。
自宅居間には、笑顔の詩織さんの遺影が飾られている。遺影は詩織さんが大好きだったというひまわりの花で縁取られている。「ひまわりのように明るく強い子だった。私たちの姿も見守ってほしい」。京子さんはこう話し、2人で活動を続ける覚悟を示した。(王美慧)
■桶川ストーカー殺人事件 平成11年10月26日、埼玉県桶川市のJR桶川駅前で、女子大生の猪野詩織さんが元交際相手の男の兄が雇った男に刺殺された。埼玉県警は家族から相談を受けたが、調書の「告訴」を「届け出」と改竄し、告訴取り下げも要請していた。兄は無期懲役、実行犯は懲役15~18年の判決が確定。元交際相手は事件後に水死体で見つかった。自殺とみられる。
https://www.sankei.com/affairs/news/201122/afr2011220007-n1.html
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