「立ち直る機会奪う」 少年法厳罰化に危機感―元家裁調査官や少年院経験者(30日)時事
法制審議会が検討した少年法の適用年齢引き下げは、実務経験者らが反対の声を上げ、各方面から声明も出された。答申は、引き下げの判断は見送ったが、検察官送致(逆送)の対象事件が拡大されるなど18~19歳に対し厳罰化する内容になっており、否定的な意見も根強い。
元家庭裁判所調査官の伊藤由紀夫さん(65)は、裁判官を補佐し非行少年ら約4000人を担当してきた。「18、19歳は社会適応に導く最後のチャンスで、厳罰化や実名報道をされれば立ち直る機会を失う子が出てくる」と危機感を抱く。
原則逆送の事件は強盗や放火などに拡大したが、「凶悪なのは一部で、軽微なものも多い。今のままの方が更生につながりやすい」と指摘。一方で素行不良などによる虞犯(ぐはん)が対象外となったことには「暴力団事務所への出入りや薬物を買うための売春など、虞犯は犯罪に直結しやすい」と述べ、対象に残すべきだとの考えを示した。
「少年法の下で信じてくれる大人との出会いがなければ、立ち直れなかった」。中村すえこさん(44)は暴走族のリーダーだった16歳の時、傷害事件で約1年間少年院に入った。「自分を振り返る内省の時間や、面会に来てくれた家族への感謝。得たものは大きかった」と振り返る。
少年院を出た後、かつての仲間からリンチを受けた。覚せい剤を使用し、18歳で再び逮捕。審判の決定は試験観察で、調査官に「今の君なら社会で十分やっていける」と励まされ、「ちゃんと生きる」と決意したという。
中村さんは現在、女子少年院のドキュメンタリー映画「記憶」の監督を務めるなど支援する側に立つ。撮影で出会った少女たちは、施設育ちや虐待を受けた子も多く、「初めて真剣に寄り添ってくれる大人に出会った」「少年院で変われた」と口にした。
逆送の対象が拡大すると、少年院ではなく、刑務所収容が増えることが見込まれる。「少年たちの言葉に耳を傾け、変われる機会を奪わないでほしい」と強調した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020102901037&g=soc
« 小学校の給食で105人が食中毒 東京・中野、重症者なし(30日)共同 | トップページ | 「過積載」一斉取締り 過去最大規模で 関東甲信全体へ(30日)NHK »
「一般ニュース(季節、話題、政治)」カテゴリの記事
- 宮城・登米バイオガス発電 「本当のこと言えば詐欺に」コンサル幹部が発言(26日)共同(2022.06.26)
- 週末、異例の6月猛暑 各地で今年最高気温(26日)共同(2022.06.26)
- 関東は26日も厳しい暑さ 東京・練馬で36度超え(26日)日経(2022.06.26)
- 表面化しづらい「男性の性被害」 知られざる実態(26日)産経(2022.06.26)
- 雷や突風、激しい雨に注意 大気不安定、日中気温上昇(26日)共同(2022.06.26)
« 小学校の給食で105人が食中毒 東京・中野、重症者なし(30日)共同 | トップページ | 「過積載」一斉取締り 過去最大規模で 関東甲信全体へ(30日)NHK »
コメント