「食べ物ください」コロナで解雇、路上生活の末…恐喝未遂の女に刑猶予(22日)西日本
今年8月、福岡市・天神の真珠販売店。女(30)がカッターナイフを店員に向けて現金を脅し取ろうとした。結果は未遂。恐喝未遂と建造物侵入の罪に問われ、福岡地裁は21日、懲役1年2月、執行猶予3年(求刑懲役1年2月)の判決を言い渡した。新型コロナウイルスの影響で解雇され、路上生活を経ての犯行。相談は恥だと思っていたという。コロナ禍は弱い立場の人ほど追い込んでいく。福祉、行政は頑張りどころにきている。
判決によると、被告は8月20日昼、店員の女性にカッターナイフを向け「お金を出してください、切りますよ」と脅迫。通報するそぶりに逃げ出した。判決理由で加藤貴裁判官は「被害者に相当の恐怖心を与えた」と指摘する一方、犯行直後に自首したことなどを踏まえ、執行猶予とした。
公判での被告人質問などによると、物心がついた時には「久留米市の施設」にいた。中学卒業まで施設で過ごし、飲食店での勤務を転々とした。当時から現在まで、家族とはほぼ絶縁状態。父親の顔は知らない。
「辞めてもらえないか」。2月、勤務先のうどん店の店長に告げられた。新型コロナで客足が遠のいていた。休業だと国の支援金制度の対象。解雇の場合は雇用保険などが受け皿になる。被告の保険の状況は定かではない。
家賃が払えなくなり、相談相手もいないまま孤立を深め、夜逃げ同然で久留米市のアパートを出た。
◇
福岡市に向かった。都会の求心力に引き寄せられた。中央区の警固公園や周辺で寝泊まりし、紙に「食べ物をください」と書いて路上に立つ日々。現金を差し入れてもらったときにはネットカフェで休んだ。居候をさせてくれた女性もいた。善意が染みた。
公園を巡回する警備会社の女性(57)はベンチで過ごす被告の姿を覚えている。「ここで寝泊まりしていたら危ないよ」。声を掛けたが返事はない。通りすがった人が「福祉施設に入ったほうがいい」と話し掛ける様子も見掛けたが、しばらくして姿を見なくなったという。
被告は福祉に頼ってはいけないと思い込んでいた。「私は健康だし、恥ずかしい」
« JR東日本 終電 時刻繰り上げ 各路線【詳細一覧】(22日)NHK | トップページ | 遊漁船の釣り客不明 愛知、中部空港近く(22日)産経 »
「裁判」カテゴリの記事
- 元妻殺害で51歳男に懲役18年求刑 神戸地裁(2日)産経(2021.03.02)
- 無罪の元少年「違法捜査」地獄の12日間 熊本県へ賠償訴訟あす判決(2日)西日本(2021.03.02)
- 過失運転傷害の弁護士判決 交差点事故で無罪主張(1日)産経(2021.03.01)
- 元警視庁SP、傷害で無罪判決 痴漢疑われ逃走、東京地裁(26日)共同(2021.02.26)
- 組トップに4億円の賠償命令 特殊詐欺で使用者責任認める(26日)共同(2021.02.26)
« JR東日本 終電 時刻繰り上げ 各路線【詳細一覧】(22日)NHK | トップページ | 遊漁船の釣り客不明 愛知、中部空港近く(22日)産経 »
コメント