「身元分かれば逮捕される」 国安法、広がる恐怖と不安―在日香港人・駐在邦人(28日)時事
香港で「国家安全維持法」(国安法)が施行されて30日で1カ月を迎える。「香港にいる香港人」以外も同法の処罰対象となる中、香港の自由を守ろうと行動する在日香港人の間では「身元が分かれば逮捕される」と恐怖が広がる。香港に住む日本人も、香港が香港でなくなってしまう不安を強める。彼らの思いを聞いた。
◇「名誉ある犯罪者」
ある在日香港人の団体は、国安法施行を受け、メディアから取材を受ける際の基準を新たに策定した。個人情報漏えい防止のため、団体の用意した秘密保持契約への署名を求めるほか、事前にオンラインで取材者の身分確認を行う。別の団体も顔をぼかすことや音声の加工を要請。取材者自身が国安法違反と見なされる恐れがあることをメディア側に注意喚起し、了承するようにも求めた。
在日香港人の一人は「異例の条件だとは自覚しているが、メンバーの安全を第一に考えた措置。セキュリティーが甘いとチーム全員の身バレ(身元の特定)になってしまう」と説明。日本で活動する全メンバーが拘束される「全滅」阻止に向けた対応に理解を求めた。
日本の大学院で政治学を学ぶ20代の香港人男性は「(国安法)38条が怖くて香港に帰れない」と口にする。学業の傍ら、団体に属さず個人で民主派の活動支援にも携わってきた。法施行後はペンネームを使い、オンライン上の講演活動では主催者に大学名などの肩書削除を求めるようになった。「身バレしたら即逮捕。100%以前のようには活動できない」
しかし、香港の民主化に向けたサポートをやめるつもりはない。「(一国二制度から)一国一制度に近づくかもしれないが、心は変わらない。(逮捕されたとしても)『名誉ある犯罪者』だ」と覚悟を決めた。
◇「心情的に民主派」
香港に駐在する日系企業の40代男性は、「反政府活動に参加したわけではないが、聞かれれば不安は『ある』と答える。ただ不安は香港人に比べて1%ぐらいだと思う」と冷静だ。しかし昨年の大規模デモを目の当たりにしてきた経験などから「心情的には民主派。彼らの主張が平和的に通るようになってほしい」と願っている。
国安法施行に先立ち、外国籍を持つ香港人スタッフが1人、2人と移住のため辞表を出し去った。スタッフの誰が親中派で誰が民主派寄りかは分からないため、「オフィス内ではそのような話はしない」という。
法の施行で劇的に街の雰囲気が変わったわけではないが、「(香港が香港でなくなると)実感できるような例が積み重なっていけば変わってしまう」と危惧している。「香港の中国化」とは「香港人が『街の経済』の主人公でなくなり、最高権力者に文句が言えなくなること」だと考えているといい、「日本はやっぱり自由ですよ」と笑った。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020072700565&g=soc
« 警察立ち入り、換気検査… 政府コロナ対策、法の「拡大適用」次々 恣意的運用に懸念(28日)共同 | トップページ | 4連休 他都道府県からの流入者 沖縄や長野で増加率高く(28日)NHK »
「海外ニュース(事件、政治、経済等)」カテゴリの記事
- 北朝鮮が旧統一教会の創始者遺族に弔電 死去10年で(14日)NHK(2022.08.14)
- 米FBI、「最高機密」押収 「スパイ法」違反の疑い―トランプ氏宅捜索(14日)時事(2022.08.14)
- トランプ前大統領自宅捜索 押収品リスト公開決定 機密文書か(13日)NHK(2022.08.13)
- 米CDC、コロナ指針緩和 濃厚接触者の隔離不要に(12日)時事(2022.08.12)
- 米 トランプ前大統領が声明 “自宅にFBIが捜索に入った”(9日)NHK(2022.08.09)
« 警察立ち入り、換気検査… 政府コロナ対策、法の「拡大適用」次々 恣意的運用に懸念(28日)共同 | トップページ | 4連休 他都道府県からの流入者 沖縄や長野で増加率高く(28日)NHK »
コメント