車ごと帰らぬ夫 どこへ 台風19号・長野(23日)共同
台風19号で大きな被害を受けた長野県佐久市では、タクシー運転手の三石量正(かずまさ)さん(68)が台風上陸の十二日以降、行方不明になっている。濁流に車ごとのみ込まれた可能性があり、妻たか枝さん(70)ら家族は懸命な捜索を続けている。「靴でも服の一部でもいいから見つかってほしい」。たか枝さんは祈り続けている。 (松本貴明)
三石さんは十二日午後五時四十分ごろ、「土のうを取りに行ってくる」と軽トラックで家を出た。当時、周辺では雨が強く降っており、家の前を流れる千曲川支流の谷川(やがわ)は激しく増水していた。
土のうがある近くの小学校は、車で往復すれば三十分かからない。なのに二時間以上たっても戻ってこない。雨の勢いが一時弱まり、たか枝さんが様子を見ようと自宅を出ると、小学校に向かう川沿いの道がほぼ崩落していた。
「車ごと巻き込まれて濁流で流されたのかもしれない」。すぐに警察に届けたが、一~二日たっても、三石さんも軽トラックも見つからない。のしかかる不安を振り払おうとたか枝さんは息子(42)や娘(40)、友人らと捜索を始めた。
上陸前日の十一日は、四十四回目の結婚記念日だった。その日の朝、「今日記念日だけど、忘れてるよな」と三石さんが笑うと、たか枝さんは「覚えてるよ」と返した。「こんなことになるなんて…」。たか枝さんは言葉を詰まらせる。
たか枝さんは、昼間は仕事や会話で不安な気持ちを紛らわしているが、夜に一人になるとつらさに襲われる。「このまま目が覚めなきゃいい」と思い詰めることもあった。「着ていったかっぱの一部でも、軽トラの破片でもいい。手掛かりが欲しい」と心から願っている。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201910/CK2019102302000228.html
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