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2019年9月 4日 (水)

紀伊半島豪雨8年 被災した2球児が消防士に(4日)産経

 和歌山、奈良、三重の3県で死者・行方不明者が88人に上った平成23年9月の紀伊半島豪雨から8年を迎えた。14人が犠牲になった和歌山県新宮市の消防本部では、当時高校野球のチームメートで、被災経験のある若手消防士の湯川貴生(たかき)さん(24)と井戸正樹さん(23)が日々、切磋琢磨(せっさたくま)しながら人命救助に励んでいる。ともに支え合いながら豪雨からの復興に尽力した2人は、「いつかまた新宮に豪雨が来てしまったとき、自分たちで全員を助け出したい」と力を込める。(井上裕貴)
豪雨で地元が甚大な被害に見舞われたのは、2人が高校1年の時。中学からの野球仲間だった2人は、市内の近畿大学付属新宮高校で、当時ともに外野手として毎日厳しい練習に励んでいた。
 あの日、親族や友人は無事だったが、氾濫した熊野川の近くにあった井戸さんの自宅は床上浸水。少し高台にあったという湯川さんの家も断水被害に遭った。
 湯川さんは、経験したことのない激しい風雨の中、トイレも風呂も使えず、家族で自宅2階に避難していた不安な一夜を「祈ることしかできなかった」と振り返る。
 井戸さんは、母と2人で知り合いの家に避難していた。浸水して泥まみれになった自宅を目の当たりにしたとき、言葉が出なかったという。

 台風が去った後、井戸さんはしばらく家族総出で家の復旧に追われた。家が無事だった部活のチームメートたちが他校との公式戦に臨む中、必死で家の中の泥をかき出す日々。そんな時、手を差しのべてくれたのは湯川さんだった。
 公式戦に参加できなかった井戸さんをずっと気にかけていた湯川さん。「何か手伝えることがあれば協力したい」と井戸さんの家を訪ね、一緒に壁にこびりついた泥を何度もブラシでこすった。
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