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2018年7月15日 (日)

司法取引、海外贈賄で企業免責 識者の見方は(15日)日経

社員による海外での贈賄疑惑を巡って、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)と東京地検特捜部の間で日本版「司法取引」の合意が成立したことが明らかになった。6月に制度が導入されて初めての事案について、識者の見方を聞いた。
 甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)の話
 企業による自主的な犯罪の申告は勇気ある選択であり、長い目で見れば海外ビジネスの健全化に役立つ。新しい制度にふさわしい事件処理といえるだろう。
 ただ、大企業が打算によって刑事責任を免れ、「トカゲのしっぽ切り」になるという見方は残る。個人の反省と悔悟をベースにして刑事訴追と量刑の妥当性を探ってきた日本の伝統的な正義観は、大きく揺さぶられることになる。
 司法取引は、嘘の証言や供述によって他人を巻き込みやすく、冤罪(えんざい)の危険がつきまとう。弁護士が介在することで、かえって嘘にお墨付きを与えてしまう恐れもある。捜査当局には、これまでにも増して客観証拠による慎重な裏付け捜査、立証が求められる。
 元検事で司法取引に詳しい吉野弦太弁護士の話
 法人が主体となり自社の社員の不正を材料に司法取引をする今回のようなケースは、企業としては合理的な判断のひとつといえる。だが同様の事例が増えれば、社員としては社内調査への対応ぶりなどで難しい判断を迫られる場面が増えかねない。
 企業で不正の疑いが見つかった場合、まず法務部門などが社内調査をするのが通常だ。だが、自分が会社に話した情報をもとに司法取引をされて、逆に自分が罪に問われる可能性が高まるなら、調査協力より先に検察に自ら司法取引を持ちかけようとする人も出てくるだろう。社員は不正に巻き込まれた際、社内の法務部門に報告すべきか、外部の弁護士に相談するのかなどの判断も迫られる。
 海外汚職対策に取り組むNPO法人トランスペアレンシー・ジャパンの若林亜紀理事長の話
 多国籍企業が直面する典型的な賄賂事件だ。東南アジアでの会社設立時の登記や資材の陸揚げ、操業許可の検査などで公務員がなかなか許可を出さず、賄賂を要求してくることは多い。賄賂を拒んだら2年間も電気を通してもらえなかったという事例も聞いたことがある。
 海外では不正競争防止法などの日本法のほか、現地法も適用される。米国や英国に拠点のある企業なら、格段に厳しい英米の贈賄防止法も適用される可能性がある。
 賄賂の定義や罰則は各国の法律で異なるため、赴任前に研修などで法制度を知っておくことが大切。現地の事情や賄賂の典型例も学び、断り方などの対処例もシミュレーションしておくとよい。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33019980U8A710C1EA2000/

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