警視庁管内体感治安レベル2
首都東京体感治安(10、11日 単位・レベル)
治安の〝癌〟だ
【治安うんちく】
全窃盗犯のうち約3割を占める自転車盗―認知件数が多いのに検挙率が極めて低い。それが全刑法犯の検挙率を下げている要因のひとつでもある。
どうして防ごうかが課題だったが、解決のあかりが見えてきた。
兵庫県尼崎市が自転車を動かすとアラームが鳴り響くという盗犯防止の実験を行うことになった。盗もうとして動かすと振動を感知して警報が鳴り出すアラームを取り付けた自転車を駐輪場に置くもの。アラーム音は最初は弱い音だが動かし続けると大音量になり、乗っていることができなくなる。
同市は13日から3カ月間で試験的に実施。その効果を見極めてから本格導入を検討するという(朝日新聞)
数字的に見て「困ったものだよ自転車盗」だが、警察庁によると今年7月までの全国の認知件数は11万4901件で、前年より1万7405件の減少。検挙率は6.1%で同5.4ポイントアップした。
この自転車盗の認知件数の推移をみると刑法犯認知件数が最悪を記録した平成14年の認知件数は51万4120件あった。それが同24年には31万6063件に激減。さらに同28年には23万6215件と年々減少し続けている。しかし、刑法犯全体の中では認知件数が多く、しかも高い水準で推移している。
これに対して検挙率は平成14年には5.7%、同24年には6.1%、同28年には5.8%と低い数字が続いている。
昭和の時代は、警察官が夜に街角に立ち、無灯火や2人乗りの自転車を取り締まった。こうした制服の〝監視〟もあり、認知件数が少なかったが、同60年代になり、重要事件が続発。しかも未解決が多いことから、国民の間からは「無灯火や2人乗りなど細かいことに力を入れているから重大事件が解決しない」の悪評をかった。
そこで日本警察は平成に入り、「重要事件シフト」に変えた。その結果、街から制服警察官の姿が消え、空き交番が多くなり、年間10万件単位で事件発生が増加した苦い経験がある。
日本警察は、その汚名を返上するため犯罪抑止に全力をあげた結果、平成14年の認知件数285万件が昨年には3分の1の100万件以下まで抑止。この結果、戦後最も事件数が少なかった。それでも自転車盗は〝癌〟のように治安をむしばんでいる。
尼崎市の実験が成功して、その〝治療薬〟になってほしい。
首都東京体感治安は「レベル2(ブルー)」とする。
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