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2017年5月15日 (月)

狙撃兵に閉じ込められる=イエメン内戦-帰国の邦人女性看護師語る(15日)時事

「狙撃が怖くて街を出られない」。内戦が続くアラビア半島のイエメンに派遣されていた国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」の看護師、白川優子さん(43)が帰国し「病院に来ることさえできない患者がたくさんいた」と現地の窮状を振り返った。MSF日本事務所(東京都新宿区)で時事通信の取材に語った。
 派遣期間は昨年11月~今年3月。滞在していたのは中部イッブ州。州境を越えた所に中部の要衝タイズがあり、イスラム教シーア派系武装組織「フーシ派」が包囲していた。フーシ派に対し、サウジアラビア主導の連合軍が空爆を繰り返す。フーシ派のタイズ包囲を支えるのがスナイパー(狙撃兵)だ。出入りする者は民間人でも容赦なく撃っている。
 約束の日になっても来院しない治療中の患者を白川さんたちは何日も待っていた。「ほとんど手遅れ」の状態になってようやくやって来た患者は「タイズから出られなかった」と話した。「助かるはずのけがや病気」で命を失う患者が多い。
 「麻酔から目を覚まして初めて自分にはもう腕や脚がないと知る子供を何人も見てきた」と語る白川さん。意識のない患者に代わって「同意書」に署名してくれる家族や知人を探し「切断だけはしないで」と懇願する父親を説得しなければならない。手術室の外で泣き続ける父親を見守るしかなかった。
 2012年以来、数カ月ずつのイエメン派遣を繰り返してきた白川さんのイエメン入りは今回で4回目。戦乱に伴う市民の食料事情悪化が進み「栄養失調の患者が増えた」と感じた。栄養失調では「手術をしてもなかなか回復が難しい」ため窮状はさらに深まる。貧困が進んでいるのは病院職員や保健省の役人も同じで、昨年から給料の支払いが止まっている。
 イエメンでは病院への攻撃も続いている。MSFの施設も、昨年1月にミサイル攻撃を受けた北部サアダ州のシアラ病院では6人、8月に空爆された北部ハッジャ州のアブス病院では19人が死亡した。「市場や学校が空爆され恐怖の中で暮らしている。せめて医療だけでも安全に受けさせてあげてほしい」と白川さんは訴えた。 
 今回のイエメン行きの直前まで、白川さんはイラク北部モスル近郊で、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討戦から逃れてきた避難民を治療する臨時病院の設営に携わっていた。次の行き先も中東にすると決めている。
 ◇白川優子さん
 白川 優子さん(しらかわ・ゆうこ)06年豪州のオーストラリアン・カソリック大で看護学修士課程修了。10年から「国境なき医師団」に参加。スリランカ、パキスタン、イエメン、シリア、南スーダン、フィリピン、ネパール、パレスチナ自治区ガザ、イラクに派遣されてきた。43歳。

◇イエメン内戦の流れ
1990年 サレハ大統領の下、南北イエメン統合            
2011年 「アラブの春」に伴うデモでサレハ大統領退陣        
  12年 ハディ大統領就任                     
  14年 イスラム教シーア派系武装組織「フーシ派」、反政府活動活発化
  15年 フーシ派、首都サヌア占拠(1月)             
   同  ハディ大統領の要請を受けサウジアラビアなど軍事介入(3月)
(時事)http://www.jiji.com/jc/article?k=2017051500152&g=soc

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