警視庁管内体感治安レベル2
首都東京体感治安(20、21日 単位・レベル)
声無きに聴き形無きに見る
【治安うんちく】
明治7年に警察が誕生したが、その生みの親と言える川路利良大警視の教えに、「警察は犯罪を予防すること」を柱に、起きてしまった場合は「声無きに聴き形無きに見る」という項目がある。つまり警察の大きな仕事とは「防犯(抑止)」と「検挙」だ。
その第1の柱である「防犯」では、平成28年の刑法犯の発生を戦後で最も抑止できた。では第2の「検挙」はどうか。指標となるのが検挙率だ。
警察庁によると刑法犯の検挙率は33.8%で、前年より1.3ポイントアップしたものの、昭和の時代のそれにはほど遠い。
殺人の100.6%を頭に強姦の98.1%などもあって凶悪犯の検挙率は86.4%と比較的高かった。粗暴犯は凶器準備集合が100%を誇り、脅迫も85.0%と高く全体で80.3%だった。
ところが、知能犯は振り込め詐欺などもあって5割を割った。文書偽造が89.7%、支払用カード偽造89.0%と高いものの、詐欺は45.3%。さらに通貨偽造に至っては21.4%と低く知能犯全体が48.7%と半数以下だった。
問題は全体の検挙率を引き下げているのが窃盗犯で28.9%。中でも乗物盗が8.4%と低く、その要因は自転車盗の5.8%だ。この自転車盗が無ければ全体が17ポイントもアップする。
さらにもうひとつの要因に非侵入盗がある。低い検挙率の置き引き、室内ねらい、仮睡盗、脱衣所ねらいなどを除けば全体の検挙率は28.9%から50%を超える。
あの昭和の時代の検挙率は53~64%もあり、平成に入って極端に少なく30%代になっている。犯罪の抑止は防犯カメラなど捜査ツールの充実や地域住民などの協力などもあり順調だが、検挙は個人情報保護法やプライバシー問題などを盾に民間の協力が得られないなど負の要因が多すぎる。さらに手続きも繁雑さを増している。
そこで少なくても自転車盗や置き引きなど、被害者本人が注意すれば防げる犯罪の発生を少なくするという努力も国民には求められている。
首都東京体感治安は「レベル2(ブルー)」とする。
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