警視庁管内体感治安レベル2
首都東京体感治安(17、18日 単位・レベル)
どこに問題が?
【治安うんちく】
東京・小金井市で女子大生がストーカーに刺された殺人未遂事件で警視庁が検証結果を発表した。ところが、当局発表と被害者の意見が食い違っていた。
ストーカー事犯で「相談していたのに殺された」など悲惨な事件になることが、このところ目立っている。
相談を受けて、「殺されるかも」という切迫した事案を放置する警察官はいないはずだし、いるとすれば警察官に値しない。しかし、その判断は極めて難しい。加害者も相談者も気性や性格、人生観も全て異なることから100人の相談があれば対処は100通りある。
今回の武蔵野署の殺人未遂人もやはり同じように「相談していたのに防げなかった」。どこに問題があったのか?
被害者の言う「相談を受けた女性警察官はメモもとらず、男性警察官は別の事件で忙しいようだった。相談の中で危険を証明する書き込みまで持参して、殺されるかもしれないと何度も訴えた」と言うのだ。
しかし、警視庁の調査結果は「殺されるかもしれないなんて聞いていない」。言った言わないの問題になってしまった。
この種の相談は重大事件に発展する可能性が極めて高く、かつ極めて微妙な判断が要求され、記録として残すことが必要なのだ。メモが残っていれば決済時に課長や署長など、幹部が見るなど複数の眼でチェックでき、追加指導もできる。ところが専門の刑事達はいちいち細かいメモなどしない。
しかし、それでは、相談者は危険性をどの程度訴えたのか、警察官はどの程度危機感を持ったのかが分からない。同署はストーカーなどを扱う専門の対処チームへの報告もしなかったことは危険性がないと判断したのだろう。
何よりも問題なのは、ストーカー事犯は親告罪だ。相談業務と今回のように捜査専科には違いがああるものの 所轄の相談業務で扱った経験から言えば、「危険性が高いので、貴方を守るのには被害届が必要です。出して下さい」とお願いするのだが、9割の女性は断る。逮捕を嫌っても、被害者を女性センターなどに避難させて加害者から隔離したり、住所の移転など警察本部長や警察署長による援助。相手に対する警告などがあるのだが、それを説明しても嫌がる場合が多い。
そこで、こんな提言をしたことがあった。
「危険性を良く説明してそれでも被害届を断り、援助などをいやがるのなら、その理由を書かせて署名させる」
ところが回答は「そんな事はできない―わざわざ書かせなくても相談内容のメモから判断できるだろう」。なるほど、これでメモの重要性が理解できる。
警察官は護民間警察であることを忘れてはならない。
首都東京体感治安は「レベル2(ブルー)」とする。
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