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2016年9月23日 (金)

警察捜査法で規制を 別府署隠しカメラ事件 (23日)共同

 別府署の隠しカメラ事件を巡り、捜査に使うカメラの在り方が問われている。日本弁護士連合会は 「国民には、原則として警察から写真撮影されない権利がある」と会長声明を出し、事件を強く非難した。声明の原案を作った武藤糾明(ただあき)弁護士 (46)=日弁連情報問題対策委員会副委員長、福岡県弁護士会=は大分合同新聞のインタビュー取材に応じ「警察の捜査権限は強力。どこまでは許し、どこか らは許さないのか、法律を作って規制するべきだ」と強調した。
 「罪のない市民が必要性もなく、警察から撮影されたことが問題だ」。建造物侵入罪での立件にとどまった今回の事件の本質を、武藤弁護士はこう指摘した。
  最高裁は1969年、いわゆる「京都府学連デモ事件」で「本人の同意や令状がなくて警察による撮影が許されるのは、現行犯的状況であり、必要性と相当性を 満たす場合」と判示した。武藤弁護士は「今回の事件は、プライバシー権と肖像権を侵害しているのは明らか」と非難する。
 会長声明は1994年の 大阪地裁判決も引用。労働運動などの拠点をモニタリング(録画を伴わない監視)していた大阪府警の監視カメラを撤去するよう命じたことを踏まえ「個人の思 想信条の自由を推察できる宗教施設や政治団体の施設などの無差別撮影・録画は原則違法」としている。
 「プライバシーにも軽重があり、思想信条な どは最も重要なものの一つ」。参院選で野党候補を支援していた労組の建物への出入りを撮影していた今回のケースを、武藤弁護士は「市民の選挙に関する活動 を収集していることになり、表現や政治活動の自由を踏みにじる行為だ」とする。
 事件を受け、警察庁は8月26日付で全国の警察に通達を出した。通達は「捜査用カメラによる撮影は、捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ相当な方法によって行われる場合に限り任意捜査として許される」としている。
 武藤弁護士は「必要な範囲や相当な方法という表現はあいまい。警察がフリーハンドでカメラを使うことを容認する内容だ。事件を契機に、カメラ捜査の幅をむしろ広げようとする通達と言える」と解釈する。
  その上で、再発防止策は「法整備しかない」と断言。「事前審査として、カメラを使った捜査に裁判官による令状を義務付けるべきだ。さらに、事後審査とし て、設置後の運用状況などをチェックする第三者の監督機関を設けることが必要」と提言する。(武藤弁護士のインタビュー要旨、日弁連の会長声明全文は23 面に掲載)

 <メモ>
 参院選公示前 の6月18日夜、野党候補を支援していた労働組合が入る「別府地区労働福祉会館」(別府市南荘園町)の敷地に、別府署の捜査員2人が無断で立ち入り、ビデ オカメラ2台を設置。会館関係者が同24日に見つけるまで、人や車の出入りを隠し撮りした。県警は8月26日付で署長や副署長、刑事官(当時)ら関係した 同署の6人を処分。6人は建造物侵入の疑いで書類送検・告発された。別府区検は9月21日、刑事官ら4人を略式起訴、大分地検は同日、署長と副署長の2人 を不起訴処分としている。             
                                                                                                        

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