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2016年3月10日 (木)

今市事件 7時間以上の取り調べの録音録画 再生始まる(10日)NHK

栃木県の旧今市市、今の日光市で小学1年生の女の子が連れ去られて殺害された事件の裁判員裁判で、自白の信用性や任意性が争点となっているなか、異例とも言える長さの7時間以上に及ぶ取り調べの録音録画の再生が9日から始まりました。この中で被告が殺害について、「覚えていない」と答える様子や、検察官に厳しく追及され、窓に向かって突進する様子などが再生されました。
平成17年、今の日光市で小学1年生だった吉田有希ちゃん(当時7)が下校途中に連れ去られ、茨城県の山林で遺体で見つかった事件では、栃木県鹿沼市の勝又拓哉被告(33)が殺人の罪に問われています。勝又被告は無罪を主張していて、裁判では捜査段階での自白の信用性や任意性が争点となっています。
検察は取り調べが強制的ではないことを明らかにするとして、異例とも言える長さの7時間以上に及ぶ取り調べの録音録画の記録を法廷で公開することになりました。
初日の10日は殺人の疑いで逮捕される前、偽のブランド品を隠し持っていた罪で起訴された際の、おととし2月18日の午後の取り調べの様子が再生されました。検察官は、この日の午前中の取り調べで勝又被告が殺害を認めたことについて聞くと、勝又被告は長く沈黙し、「覚えていない。真っ白になった」などと小さな声で繰り返し答えて、殺害を否認しました。
その3日後の取り調べでは、有希ちゃんを車に乗せたときの様子や、凶器を山に捨てたことを話していましたが、殺害について聞かれると、「あとにしてください」と言って詳細な説明はしませんでした。
そして、7日後には勝又被告が「黙秘権を使いたい」と伝えると、検察官に「自分のやっていること、ひきょうだろ。お前が拒んでいる様子は全部撮影されている。ひきょうな様子を被害者と遺族に見せたいね」などと厳しく追及され、被告が「もう、無理」と叫んで窓に向かって突進する場面がありました。
また、映像の中では殺人事件の話になると、勝又被告が体を震わせて泣く場面が多くありました。法廷のモニターには取り調べの様子が映し出され、勝又被告は表情をあまり変えずに録画を見ていました。
取り調べの録音録画は10日から4日間、法廷で再生されることになっています。

映像の詳細は

検察官の取り調べの様子を録音・録画した映像は裁判官や検察官、弁護士などが座る席の前に設けられた小型のモニターのほか、法廷の両脇の壁に設置されている大型のモニターでも傍聴席からも見えるかたちで再生されました。
再生される前には弁護士が裁判員に対し、話の内容そのものではなく、あくまで被告が自分の意思で話しているかどうかを判断するためのものだと映像を流す目的について注意を促しました。
はじめに再生されたのは、おととし2月18日の午後に行われた検察官による調べです。勝又被告は、この日の午前中の調べで、初めて有希ちゃんの殺害を認める供述をしていました。検察官が「午前中に話したことを覚えているか。もう1回聞くが、この事件は君が起こしたのか」などと尋ねると、被告はしばらく沈黙し、小さな声で「覚えていません」と答えました。そして「気持ちを整理したい」などと述べて、詳細な説明はしませんでした。この日の映像は被告が涙を拭うような様子が映されて終わりました。
続いて再生されたのは3日後の2月21日の取り調べの様子です。この日は、事件のことを聞かれると終始、体を震わせ、泣きながら答えていました。被告は自分の母や姉に会ったうえで、「『とんでもないことをやった。ごめんね』と伝えたい」などと話していました。そして検察官から事件の経緯について「女の子をどうやって車に乗せたのか?」と質問されると「『お父さんに頼まれてお母さんが大変』と言ったら乗ってくれた」と答えました。また、「刺した包丁は捨てたのか?」と聞かれ、「山」と答えました。ただ、詳細についての質問や「事件を起こしたことは間違いないか」との確認に対しては「詳しくはあとにしてもらっていいですか」などと述べて、この日の取り調べの映像では明確に殺害を認める発言はありませんでした。
さらに4日後の2月25日の取り調べの様子も再生されました。18日と21日の取り調べで検察官は「時間がたったら必ず話してくれよ」などと声を荒らげることもなく説得していましたが、この日は「この前、話す約束をしたのならちゃんと話せよ」などと、それまでと一転して厳しい口調で質問していました。被告は「言えない。分からない」などと繰り返し、「黙秘権を使いたい」と主張しました。これに対し、検察官は「『自分のやっていること、ひきょうだろ』。お前が拒んでいる様子は全部撮影されている。このひきょうな様子を被害者と遺族に見せたいね。永遠に黙ってるのかよ」などと被告を犯人と決めつけるような言い方で追及しました。すると被告は「もう、無理」と叫んで立ち上がり、取調室の窓に向かって突進し、ぶつかる際の大きな音や被告の叫び声も記録されていました。このあと、被告が係官に両脇を抱えられて退室させられる様子も映っていました。

異例の「Nシステム」証拠提出

この裁判で、検察は警察と協議したうえで、「Nシステム」と呼ばれる車のナンバープレートを読み取る機械の記録を証拠として提出しました。裁判の証拠として提出することは異例です。
検察が提出したのは宇都宮市内の国道と県道に設置された3か所の記録です。有希ちゃんが連れ去られた翌日の午前1時50分から午前6時39分にかけて、合わせて5回、勝又被告の車が通行した記録があったということです。
この記録から、検察は勝又被告が当時住んでいた栃木県鹿沼市の自宅から有希ちゃんの遺体が見つかった茨城県常陸大宮市方面を往復していたと主張しています。
これに対して、弁護側は提出されたのはそれぞれの現場から離れている宇都宮市内の記録のみで、これだけで現場に行ったとするのは乱暴だと訴えています。
Nシステムの記録を提出した異例の対応について、宇都宮地方検察庁は、逮捕・起訴当時は裁判で出すつもりはなかったものの、勝又被告が公判前整理手続きで否認に転じたことから、警察や東京高等検察庁と協議して、特別に出すことにしたとしています。

元検事「任意の供述を印象づけたいのでは」

取り調べの録音・録画の記録が法廷で長時間公開される今回の裁判について、元検事の落合洋司弁護士は「検察は自白に頼った立証をせざるをえない状況になっていて、裁判官や裁判員に被告が任意で供述したと印象づけたいのではないか」と指摘しています。
また、検察が「Nシステム」と呼ばれる車のナンバープレートを読み取る機械の記録を、事件当時の被告の行動を示す証拠として提出したことについては、「プライバシーへの懸念が強いNシステムを裁判に出すのは控えることになっているが、今回は検察側も必死で立証しようとしているのではないか」と述べています。
今後の審理では被告が任意で供述したかや、自白の内容が信用できるかが焦点になりますが、落合弁護士は「すべての過程が録音・録画されているわけではなく、密室での取り調べの部分は水掛け論になるので、裁判官や裁判員は難しい判断を迫られる」と指摘しています。

News_pic1_5
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160310/k10010438541000.html

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