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2016年3月 3日 (木)

「おとり捜査で有罪」違法性認め再審決定 札幌地裁(3日)NHK

拳銃を所持していたとして懲役2年の刑が確定し服役したロシア人の男性が、違法なおとり捜査で有罪にされたとして、再審=裁判のやり直しを求めていたのに対し、札幌地方裁判所は「男性に銃器犯罪を起こす意図はなかったが、おとり捜査で中古車との交換を持ちかけられて拳銃を持ち込んだ。捜査には重大な違法があり、男性に無罪を言い渡すべきだ」として再審を認める決定をしました。
このロシア人男性(46)は、19年前の平成9年に船員として北海道の小樽港を訪れた際、拳銃を所持していたとして懲役2年の刑が確定し服役しました。男性は出所後、ロシアに帰国しましたが、その後起こした民事訴訟で、捜査を担当した元警部が事件について、「違法なおとり捜査だった」とする証言をしたことから、男性はこの証言などを新証拠に3年前、札幌地方裁判所に再審=裁判のやり直しを求めました。
3日の決定で佐伯恒治裁判長は「男性は、警察の捜査協力者だったパキスタン人から拳銃と中古車を交換すると持ちかけられ、父親の遺品の拳銃を日本に持ち込んだもので武器商人ではない。銃器犯罪の意図がない者に犯意を誘発させるような強い働きかけをする必要性は到底、認められない。警察は組織ぐるみでおとり捜査を隠蔽しており、公正な裁判を受ける権利を踏みにじっている」と指摘しました。そのうえで、「今回のおとり捜査は犯罪捜査の名に値するものではなく、重大な違法があるのは明らかだ。男性には無罪を言い渡すべきだ」として再審を認めました。
これについて、札幌地方検察庁の片岡敏晃 次席検事は「決定内容を精査し、上級庁と協議のうえ適切に対応したい」とコメントしています。
また北海道警察本部は「コメントできる立場にない」としています。

弁護団「極めて画期的な決定」

再審開始の決定を受けて、ロシア人男性の弁護団は札幌市内で会見を開きました。この中で、主任弁護人を務める岸田洋輔弁護士は「裁判所がおとり捜査の違法性を認め、収集された証拠を排除したのは初めてのケースで、極めて画期的だ」と述べて、裁判所の決定を評価しました。そのうえで、岸田弁護士は、違法なおとり捜査について「何もないところから事件を作り上げた許されない行為で憤りを感じている。こういうことは二度とあってはならない」と述べました。
会見では、ロシア人男性の「日本の裁判所がようやく自分の話に耳を傾けてくれ、受け入れてくれたことに感謝しています」とするコメントも読み上げられました。

再審請求までの経緯

問題のおとり捜査を担当したのは、当時、北海道警察本部の銃器対策部門に所属していた元警部です。この元警部は、ロシア人男性が実刑判決を受けた4年後の、平成14年に覚醒剤取締法違反などの疑いで逮捕されました。
これを受けて、北海道警察本部は、元警部の過去の捜査に問題がなかったかを調査しました。その結果、元警部を含む警察官4人が、ロシア人男性の事件で、捜査協力者のパキスタン人が現場に立ち会っていたのに、「いなかった」といううその書類を作成したり、法廷でうその証言をしたりしていたことが分かりました。
しかし、検察は「協力者を守るためで違法ではない」として、4人を起訴しませんでした。その後、ロシア人男性は国と北海道を相手取って民事訴訟を起こしました。裁判では、当時、服役中だった元警部への尋問も行われ、元警部はロシア人男性の事件について、「拳銃を持ってくる気がない人に持ってこさせた。違法なおとり捜査だったと思う」と証言しました。
しかし、札幌地方裁判所は6年前、「ロシア人男性はおとり捜査による働きかけがなくても、拳銃を持ち込む意思があった疑いが残る」として、違法な捜査とは断定できないとする判断を示し、平成25年、上告が受理されずに判決が確定しました。これを受けて、ロシア人男性は実刑を言い渡した刑事裁判をやり直すよう、札幌地方裁判所に再審を請求していました。

おとり捜査を巡る議論

おとり捜査を巡っては、最高裁判所がどのような場合に認められるか基準を示しているほか、刑事司法改革の議論の中でも対象の拡大が議論されました。
いわゆるおとり捜査について、最高裁判所は、平成16年に、直接の被害者がいない薬物事件などの捜査であること、通常の捜査では摘発が難しいこと、機会があれば犯罪を行おうという者が対象であることがそろっている場合には、認められるという判断基準を初めて示しました。
その後は、平成23年に設置された刑事司法改革を巡る法制審議会の特別部会でも議論されました。特別部会では、供述調書に依存しすぎた捜査や裁判の見直しなどが議論され、海外ではおとり捜査が広く導入されていることが紹介されました。また、出席した検察官が「日本では取り調べで供述を得る以外の手段が十分ではない」と述べ、例として、おとり捜査の対象の拡大を挙げました。しかし、その後は議論が進まず、法制審議会は、おととし、新しい捜査手法として他人の犯罪を明らかにする見返りに、検察官が起訴を見送ることなどができる、いわゆる「司法取引」を導入する法改正の要綱を決めましたが、おとり捜査の対象の拡大は見送られました。

News_pic1_7http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160303/k10010430071000.html

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