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2015年9月 3日 (木)

危険ドラッグ摘発、前年比5倍 代替シバガス拡散(3日)共同

 医療用の麻酔などに使われ、直接吸うと陶酔感が得られる亜酸化窒素を圧縮して手のひらサイズの金属製ボンベに詰めた「SIVAGUS(シバガス)」と呼ばれる商品が流行しつつある。警察の取り締まりが強化され、摘発が相次ぐ危険ドラッグの代わりとして、ネットなどで販売されている。欧州では吸引後に死亡した例もあり、国内の一部自治体が規制に乗り出した。一方で、亜酸化窒素は医療現場や食品添加物にも使われている事情もあり、国は今のところ規制には慎重だ。 (宮畑譲)
 「お酒や他の薬物と一緒にやると相乗効果がある。効果は一分くらいと短いが、調子に乗ってたくさん吸うとヤバい。死んじゃうかも」。東京都内に事務所を構え、主にネットでシバガスを販売する業者が声を潜める。
 以前は危険ドラッグを販売していたこともあるというこの業者は、知人に紹介されて一カ月ほど前から取り扱い始めた。八月下旬には一週間で十万円以上を売り上げたという。今は一本千円程度で売っているが、「安く手に入るルートが見つかった。値段を下げて売れば、もっと売れると思う」と話す。
 ガスは、ボンベの先に専用の道具で穴を開け、風船に入れて吸う。ネット上では、「自転車のタイヤの空気圧を安定させるのに使う」などと説明し、直接吸引するものではないように装う販売業者がある一方、ガスの吸い方を説明している動画もある。
 シバガスを分析した昭和大薬学部の沼沢聡教授(毒性学)によると、成分はほぼ100%亜酸化窒素だった。亜酸化窒素を一気に吸引すると酸欠状態になり、意識を失う可能性もあるという。身体的な依存性は低いが、沼沢教授は「精神的な依存に陥る可能性がある。(常習者による)交通事故につながるかもしれない」と危険性を強調する。
 欧州では数年前から流行し、ナイトクラブなどで使われていたが、吸引後に死亡する事故も起きたため、英国の一部地域では今年八月に使用を禁止。情報を得た和歌山県も同月、全国で初めて商品を条例で規制対象とした。同県の条例では、指定された製品の販売には、届け出や使用方法の説明などが義務付けられ、違反した場合は罰金が科される。鳥取県も同様の条例でこの商品を指定した。
 一方、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課の担当者は商品の広がりを把握していると認めた上で、「(危険ドラッグのように)指定薬物にしてしまうと所持も禁止になる。医療市場などへの影響などを考えると、現実的とはいえない」と、現段階での国による規制には否定的だ。
 ただ、「吸引具と一緒に販売するなど人体への投与目的といったことが確認できれば、無承認医薬品として医薬品医療機器法(旧薬事法)違反で指導、取り締まる」と話している。
 <亜酸化窒素> 窒素酸化物の一種で化学式はN2O。無色で、弱く甘い香りがある。手術の全身麻酔や歯科治療で緊張を和らげるために使われる。吸引すると顔の筋肉が緩み、笑っているように見えることから「笑気ガス」とも呼ばれる。ホイップクリームの泡立ちを良くする食品添加物として使用が認められている。温室効果ガスの一つとしても知られる。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015090302000233.html

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