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2015年3月 2日 (月)

逮捕に寄与も容疑者は“少年” 振り込め詐欺受け子画像公開で波紋 【Newsの深層】(2日)共同

千葉県警が公開した、高額振り込め詐欺事件の受け子役とみられる画像映像の公開が波紋を広げている。画像と、特に犯行の一部始終を記録した映像は各メディアに大きく取り上げられ、報道による“追い詰め”効果はあったが、一方では、結果的に未成年の写真等の掲載を禁じた少年法とのかかわりでは議論の余地を残した。また、掲載したメディアの姿勢も問われている。社会的反響が大きい事件を解決に導く“利”と、少年の人権保護のせめぎ合いについて、当事者や学識経験者らの声を聞きながら検証する。
◆公開に至る経緯
 昨年4月、印西市の男性会社員(64)方に長男をかたる男らから「株で損をした」などとうその電話があり、男性が現金1千万円をだまし取られた。
 県警は2月19日、受け子役が印西市内の鉄道駅で男性から現金を受け取る場面や、その後に乗ったタクシーの車内で会話する様子を音声入りの映像で提供、情報提供を呼び掛け。各マスコミが掲載、放映した。
 画像や映像を見た市民から60件を超える情報が寄せられ、仙台市宮城野区の無職少年(18)が24日、母親に付き添われ宮城県警仙台東署に出頭。千葉県警が詐欺容疑で逮捕した。少年は「映像が公開されているのを見て手配されていることを知った」などと供述しているという。
 現在、各メディアはインターネット上では、少年が特定できないよう映像・画像処理をし、このニュースを掲載している。
◆理解得られると判断 千葉県警
 警察庁が2003年12月、都道府県警等に通達した少年容疑者の公開捜査における方針では、凶悪事件などで逃走している場合、少年でも例外的に氏名や写真を公開できるとの考えを示している。容疑者が特定されておらず、少年である可能性がある場合も、可能な限り捜査を尽くし、社会的に反響の大きさなどを考慮したうえで、公開できるとしている。
 県警刑事総務課によると、今回の画像、映像の公開に当たっては「(ネット上での拡散など)被疑者のプライバシーについても考えた」うえで「多発する振り込め詐欺で、被害も多額という社会的反響が大きい事件。公開以外では被疑者を逮捕できないと判断した。国民の理解も得られるだろうとの判断もあった」とガイドラインに添った判断をし、さらに「被害者の印象は(受け子が)20代後半で、複数の捜査員も映像を見て成人と判断」していた。
 結果的には「公開が埋もれていた事件の被疑者逮捕につながった」と総括し、「今後は少年法へも配慮したうえで、より適切に検討して公開捜査を決める。個別事件ごとに、他に捜査手法がないか、社会的な反響や社会情勢などの諸要素をすべて鑑みて必要性を検討、判断していく」方針を示している。
◆積極的に情報公開を 被害防止
 振り込め詐欺被害の防止へ、千葉中央署の特別捜査官に任命されている70代の男性は「振り込め詐欺グループは少年法があるから、あえて未成年を受け子に使っているように思う」と、少年法が隠れみのにされる現状を危惧。「少年法が作られた時代と、今の時代は違う。法律も時代に合わせて変えていかないといけないと思う」と語る。
 「逮捕するために公開するわけだから、警察は今回のことで消極的にならないでほしい。今後も積極的に情報を公開し、犯人を捕まえてほしい」と要望した。
◆「法の理念」考慮して 少年法
 少年事件を多く手がける山田由紀子弁護士は「画像公開は仕方なかったと感じる」という。「少年法の理念に基づいてプライバシーを保護するのはもちろんで、公開が更生の大きな障害となり、極力あるべきでないが、捜査機関としてもさまざまことをてんびんにかけたうえでの判断と思う」と公開に一定の理解を示す。
 一方で、画像公開とは別に「振り込め詐欺については、何も知らないまま『受け子』となってしまった少年もいる。結果的に何十件と犯行を重ねていたケースなどは、長期間拘束につながる。更生の面をみると、そういった制度上の課題について工夫が必要と感じる」と別の観点を強調する。
 千葉大大学院・後藤弘子教授(刑事法)は「組織的な振り込め詐欺に対する捜査手法として、一定の合理性はあり得る」としながらも、「最近は少年が受け子役をするケースが急増しているのは統計的にみて明らか。一見して成年でも、少年の可能性があり、そのデメリットについてどこまで考えて公開されたのか疑問が残る。他の犯罪と比べ、振り込め詐欺では配慮が必要だったのではないか」と投げかける。さらに「受け子は少年である可能性を常に意識するべき。被害者の言い分や、警察内部の人間の印象だけではだめだ。科学的分析等を利用したのだろうか」とする。

 警察庁の通達は留意事項として、写真公開を検討する前に似顔絵など、被疑者の名誉等の侵害の程度が低い資料の公開を先行させることをうたっており「今回は似顔絵公開の選択はなかったのだろうか」と話す。

◆権力監視の姿勢必要 メディア
 日本新聞協会は、少年法第61条の扱いの方針を公表している=ズーム参照。
 後藤教授は「少年法61条はあくまでも報道機関に対するもの。警察はその趣旨を踏まえるだろうが、求められているのは61条ではなく内規的な『犯罪捜査規範』。メディアが警察発表によらず、自らの基準で61条の意義を尊重する姿勢が大切。それぞれの報道機関が新聞協会などの団体や各社のルールで再確認し、その基準を明らかにすべき。今回は受け子の少年比率について、警察と報道がそれぞれどこまで考慮、配慮したかがポイントだ」とする。
 江戸川大学(流山市)メディアコミュニケーション学部の植田康孝教授は「確かに、今回の件は非常に難しいケース」と感じている。
 「画像公開が被疑者に出頭を促し、結果的に逮捕に寄与したのだから、『仕方なかった』という声が上がるのも理解できる」ためだが、むしろ「今回一番問題なのは、権力を監視すべき立場にあるマスコミが、権力である警察から得た情報をそのまま流してしまった点にある。警察の情報を安易に信用せず、マスコミ自身が確認をする行為、いわゆる『権力監視(ウオッチドッグ=番犬)』が必要だったのではないか」と指摘する。
 さらに「画像などの公開によって、被疑者はもちろん、家族もこれまで通りの生活は難しくなる。罪を犯したことは非難に値するが、報道が被疑者や家族を追い詰めるような結果を招いているのも事実だ。今回の件で被害者は弱者だが、被疑者で未成年の若者は果たして強者だろうか。マスコミが弱者に寄り添った視座を持てるかがポイント」と話した。
◆ズーム
 ◇少年法第61条(記事等の掲載の禁止) 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪による公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。
 ◇日本新聞協会の少年法第61条の扱いの方針 少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの“親”の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。20歳未満の非行少年の氏名、写真などは紙面に掲載すべきではない。
 ただし(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合(2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合-など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。(1958年発表)

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http://www.chibanippo.co.jp/news/national/243361

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