私服で続く客引き攻防 迷惑防止条例改正1週間の片町 (10日)共同
性風俗店やキャバクラの客引き行為を禁止した1日施行の改正石川県迷惑防止条例で、石川県警は9日までに、金沢市片町地区で客引き5人を摘発した。私服警官が警戒に当たり、スーツ姿で堂々と客引きする「カラス族」が消えた半面、客引き側も私服に着替えて通行人に紛れるほか、居酒屋店員を装うなどして「営業」を続ける。夜の街では、条例で長年のいたちごっこに終止符を打ちたい県警と、規制をかいくぐろうとする客引きのせめぎ合いが見えた。
百万石行列が行われ、いつもより県外客が目立った7日夜の片町スクランブル交差点。一角に私服でたむろする客引きたちの姿があった。
「以前のように、擦れ違う客に片っ端から話し掛けることは怖くてできませんよ。私服警官に声を掛けたら終わりだからね」。風俗店を経営する30代男性は、常連客や知り合いだけに声を掛けるよう、従業員に指導しているという。「それにしても、1週間でこんなに捕まるなんて」と、条例に戦々恐々としていた。
居酒屋の服を着た40代男性も、実は客引きだった。声を掛ける相手が私服警官かどうかを見極めるため、まずは居酒屋を紹介した後、反応を見てから客引きが禁止されているキャバクラなどを勧めていると打ち明けた。
警官らしい人が巡回しているかどうか確認するため、従業員にスクランブル交差点の見張りをさせる店も出てきた。
県警によると、スクランブル交差点付近で最大約80人確認された黒服の客引きは、改正条例施行後は交差点から消えたが、少し離れた路地に数人見受けられるという。県警は条例改正後、波状的な取り締まりを実施し、ほぼ連日の摘発につながっている。
県警は取り締まり中の私服警官に声を掛けたとして5人を逮捕したが、一般客への客引き行為で逮捕に至ったケースや、客引きのために路上でたむろする「客待ち」で、再発防止命令を出した事例はない。捜査関係者は「私服を着た客引きたちは、一般客と見分けが付きにくい場合もある。相手の出方を見ながら、臨機応変に取り締まりを進める」としている。
片町のキャバクラやガールズバーでは、路上で客引きができなくなった分、ホステスたちが顧客獲得に懸命となっている。大半の店では、条例改正前後から、無料通信アプリ「LINE(ライン)」や携帯電話のメールによる「声掛け」を強化している。キャバクラ関係者は「女の子の中には『条例改正で店がピンチ。助けて』と危機感をあおる営業メールを送る人もいますよ」と明かした。
表向き客引きは減ったが、十数年にわたって、いたちごっこが続いてきただけに、通行人からは「条例の効果は一時的ではないか」とみる向きもある。片町周辺飲食店ビル防犯連絡会の加藤弘雄会長は「新幹線開業前に客引きが減ったのは歓迎するが、観光客が安心して歩ける街になったのか、1カ月程度は推移を見ていきたい」と話した。
●改正石川県迷惑防止条例 金沢市片町で横行する客引きの規制を強化するため、今年2月に成立した。性風俗店やキャバクラ、ラウンジなどの客引きを県内全域で禁止し、片町地区とJR金沢駅周辺では客待ち行為も禁じた。客引きの違反者への罰則は従来の「罰金50万円以下」から「懲役6月または罰金50万円以下」に引き上げた。客待ちの違反では、警察官から再発防止命令を受けて翌日の日の出までに再度違反すると20万円以下の罰金が科せられる。
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