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2012年5月 4日 (金)

「お遍路さん」姿で詐欺巡礼「お接待」巧妙手口(4日)

【衝撃事件の核心】 四国霊場八十八カ所を巡るお遍路。今年も関西方面を中心に個人やグループなど多くの巡礼者が訪れ、弘法大師空海の修行の跡をたどる旅をしている。そんな中、白衣(はくえ)に金剛杖を手にしたお遍路さん姿の無職の女(75)が4月、香川県警高松北署に詐欺容疑で逮捕された。旅費名目に現金をだまし取ったとされ、逮捕までの2年間に香川、徳島、愛媛の3県で少なくとも約70件の寸借詐欺(被害総額170万円以上)を繰り返していたとみられる。お遍路さんを大切にする地元の「お接待」の心につけ込んだかのような手口に、捜査関係者も怒り心頭だ。(藤谷茂樹)
 ■東京に帰ったはずが…
 「私からお金をだまし取った女がいる。
 4月10日正午過ぎ、高松北署(高松市)に市内に住む女性(73)が駆け込んできた。女性の訴えはこうだ。2月25日の昼過ぎ、高松市常磐町の琴平電鉄瓦町駅ビル前のベンチに、お遍路さん姿の女が座っていた。痩せぎすで白髪頭の女の姿に、お遍路の苦労がにじんで見えたのか、女性は「ここで休んでいるんですか」と声をかけた。すると、女は「主人は他界し、娘も自殺してしまった。だから私はこんなことをしている」と身の上話を切々と語り出した。そして、東京の自宅に帰る交通費がないと告げ、「帰り賃を貸してほしい」と頼んだ。女に同情した女性は1万円を渡してしまった。
 しかし、1カ月以上たった4月10日、駅ビルから1キロも離れていない高松市内町のデパート近くの路上で、東京に帰ったはずの女を目撃し、女性は仰天。だまされたと気付き、同署に被害を申し出たのだ。
 駆け付けた署員は目撃場所で女を発見。女は職務質問に素直に応じ、「お遍路さんの姿ならお金をもらいやすかった。初めからだますつもりでした」と交通費ではなく、宿泊費に使ったことを認めた。

 ■100人から善意!? 女の逮捕が新聞やテレビで報道されると、翌日から高松北署には同様の被害申告が相次ぎ、その日だけで12件にも及んだ。
 加えて、捜査員は、女が持っていた手帳に注目した。その中には100人近い人たちの住所や電話番号が書き込まれていた。女が3県の霊場や繁華街を転々とするなかで出会った人々とみて、1人ひとり個別に連絡を取ると、お遍路さんを装った同様の手口による余罪が次々に確認された。
 被害は地元の住民だけに留まらず、東京や大阪からの観光客も。平成22年4月ごろから、10以上の都府県で未遂も含め約70人にのぼるとみられる。
 「お金は寝泊まりに使っていたようだ。こんな手口が通用するのは、お遍路さんを大切にする四国だけだろうな」。捜査幹部は、そうこぼした。

■受け継がれる心
 うるう年の今年、四国遍路は例年にも増して多くの巡礼者が訪れている。うるう年に四国を反時計回りに巡る「逆打ち」をすると、御利益が大きいとの言い伝えがあるからだ。
 旅行大手の「阪急交通社」(大阪市)によると、3~4月に出発した関西方面からのお遍路ツアーには、昨年の2倍以上もの参加者が集まった。
 ツアー参加者は、会社を退職した60代以上のリタイア世代が中心。同社の担当者によると、大きな人生の節目を迎え、次の人生を見つめるきっかけにしようとの動機が強いという。 
 また、大切な人や身内を亡くした人が供養を兼ねて参加したり、苦しみや悲しみ、失望からの救いを求めて巡礼を続ける人も。このように、お遍路には強い思いを持って臨む人が多いのだ。
 そうした思いに応えるため、地元の四国では心やすいおもてなしで迎える「お接待」が根付いている。お遍路さんに困ったことがあったら相談にのり、食事や飲み物をふるまったり、宿泊場所を提供したりするなど、その善意の形はさまざまだが、お遍路さんの無事を願う行為だ。「(遍路に行けない)自分の分までお参り下さい」との代参の意味が込められたり、その行為自体が功徳となるともされている。
 お遍路の歴史に関する史料を展示する「前山おへんろ交流サロン」(香川県さぬき市)を管理する木村照一さん(83)は「お遍路さんとともに大師さん(弘法大師空海)が回っているから、善意をかけるんです」と説明する。
 お遍路さんが身につける山谷(さんや)袋や菅(すげ)笠には「同行二人」と書かれ、弘法大師とともにお遍路を巡っていることが強調されている。
 「お接待は、その大師さんの御利益にあやかり、幸せを願う真摯(しんし)な思い。お接待を受けるお遍路さんにも、その原点をしっかりと考えてほしい」。木村さんは、そう呼びかけている。
■親切心につけ込む  寸借詐欺事件は、まさにお遍路に心を尽くす人たちの思いにつけ込んだ犯行だった。県警によると、女の本籍は大阪府。東京にあった住民登録も2年ほど前に職権削除されていた。
 これまでの女の供述などによると、徳島県の霊場近くで白衣などお遍路さんの衣装一式を購入し、平成22年4月ごろから四国3県を転々としていた。
 被害は1件あたり5千円から3万円ほど。なかには、50万円以上もの高額になったケースもあった。「入院することになった」などと、教えてもらった連絡先に伝え、宿泊先に送金してもらっていたという。
 高松北署は、逮捕されるまでの2年間に女の宿泊費が230万円にのぼったことを突き止めている。女は4月27日に詐欺罪で起訴され、県警は余罪の裏付け捜査を続けている。
 ただ、「夫と娘が相次いで亡くなった」との身の上話は事実で、女は「お遍路はしていた」とも弁解する。それでも、これまでの捜査で霊場巡りの形跡は確認されていないという。
 捜査関係者は「真偽を織り交ぜるのは、人から同情を買い、信用させる詐欺の手段だ」と指弾。同年代の高齢女性の被害が多く、「女の話に一緒に泣いた人もいるようだ。人の親切心につけ込んでいたのなら許せない」と怒り心頭で語っていた。

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