« 温泉施設火災、放火容疑で劇団員を逮捕 離婚話でもめる(14日) | トップページ | 暴走車両停止までハンドル操作か トラック避け電柱に 京都 (15日) »

2012年4月15日 (日)

覚醒剤密輸 裁判員裁判と控訴審、判断にズレ(15日)

覚醒剤密輸事件で裁判員裁判の無罪判決を控訴審が破棄するケースが続いている。捜査が難しく、否認の多い密輸事件で主に有罪無罪の分け目となるのは、手荷物などの中身が違法薬物と知りながら故意に持ち込んだかどうかの“内面評価”。相次ぐ破棄は、過去の同種裁判で培われた「経験則」に基づいて証拠を判断する裁判官と、より明確な証拠を求める裁判員のズレを浮き彫りにした形だ。一方、最高裁裁判員裁判の結論を尊重するよう求めており、検察当局も立証方法の検討に乗り出す。
 ■「机上の論理」 「1審は事実認定の方法自体が誤っている」 今月4日、東京高裁は、覚醒剤をスーツケースに隠して密輸したとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われた英国籍の地質学者、ソウヤー・ジョフリー・ロバート被告(55)に逆転有罪を言い渡した。
 被告は「荷物に覚醒剤が入っているとは知らなかった」と主張。1審千葉地裁の裁判員裁判判決は「密輸組織の関与が推認される」とした上で、密輸組織が被告に事情を知らせないまま運搬させ、何らかの方法で回収しようとした可能性がある、として無罪とした。
 しかし、2審は他の密輸事案に照らした経験則として「運搬者が回収方法について指示を受けていないことは現実にはあり得ない」と指摘。1審の判断は「現実的には想定困難な机上の論理」として排斥した。

関連記事

■裏付けに限界 最高検によると、平成21年5月に始まった裁判員裁判で言い渡された全面無罪は17件で、うち覚醒剤密輸事件は7件に上る。一方、2審が1審の全面無罪を破棄したのは4件。いずれも覚醒剤密輸事件だった。
 裁判員による1審と裁判官だけの2審で判断が分かれる背景には、密輸事件特有の捜査の難しさがある。
 薬物の受け渡しは海外で行われることから裏付け捜査には限界があり、共犯者を特定できないケースも少なくない。このため、「逮捕時に動揺しなかった」といった被告の言動を重要な材料に、「密輸を認識していた」と故意を立証する手法が取られてきた。
 実際、1審を破棄した2審では、税関検査での様子や、供述の変遷など複数の要素を総合評価し、違法薬物の認識を認定している。
 ただ、薬物問題に詳しい小森栄弁護士は「言動から被告の内心を推測することは、裁判官でさえ難しい作業」と指摘。「従来は裁判官と検察官の阿吽(あうん)の呼吸で、言動に不審な点があれば有罪と判断された。しかし、裁判員は決め手となる証拠を求める傾向にある」として、証拠に乏しい事件ほど、裁判員が無罪に傾きやすいと分析する。 
■捜査側に危機感 最高裁は今年2月、密輸事件で2審の逆転有罪判決を破棄、再び無罪とした上で「よほど不合理でなければ裁判員裁判の結論を尊重すべきだ」との初判断を示した。それだけに、1審で続く無罪判決に、警察、検察当局の危機感は強い。
 ある警察幹部は「(裁判員制度導入以降)明確な供述を引き出せないと検事が起訴を渋る傾向にあるが、『中身は覚醒剤だと知ってました』なんて言う容疑者は少ない」と明かす。検察幹部の一人も「(審理経験の)蓄積がある裁判官でなければ、被告の言動を見極めるのは難しい」と話す。
ただ、法曹関係者の中には「プロは納得しても国民は納得しないということ。立証が甘い部分もあったのでは」と、検察当局に手厳しい見方もある。
 最高検も相次ぐ無罪に、密輸事件の立証方法の検証に乗り出す方針だ。検討会を発足させ、空港所在地の担当検事などへの聞き取りで、十分な捜査、立証ができているかを調べる。
 別の検察幹部は言う。「検察にとって立証のハードルは高くなったが、国民の判断であり、仕方ない。与えられた枠組みで捜査、立証していくだけだ」

Head_logo1 http://search.jword.jp/cns.dll?type=lk&fm=127&agent=11&partner=nifty&name=%A5%A4%A5%B6&lang=euc&prop=500&bypass=2&dispconfig=

« 温泉施設火災、放火容疑で劇団員を逮捕 離婚話でもめる(14日) | トップページ | 暴走車両停止までハンドル操作か トラック避け電柱に 京都 (15日) »

裁判」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 覚醒剤密輸 裁判員裁判と控訴審、判断にズレ(15日):

« 温泉施設火災、放火容疑で劇団員を逮捕 離婚話でもめる(14日) | トップページ | 暴走車両停止までハンドル操作か トラック避け電柱に 京都 (15日) »