長崎ストーカー殺人、警察捜査の問題点 (16日)
千葉県に住む女性にストーカー行為や暴力を振るっていた男が長崎県にある女性の実家で母親と祖母を殺害した事件から16日で2か月です。対応が後手に回ったと批判されている千葉県警がJNNのインタビューに応じ、遺族に謝罪するとともに、捜査の検証を進めて、できるだけ早い時期に再発防止策を取ることを明らかにしました。
異例の謝罪でした。今月1日、千葉県警の幹部が母親と妻を殺害された遺族の元を訪れました。
「お2人の命を落とされてしまって、それについてしっかりと守られなかったという意味合いでの謝罪を申し上げてまいりました」(千葉県警刑事部 杉田義弘参事官)
2か月前、長崎県西海市で山下誠さんの母・久江さん(当時77)と妻・美都子さん(当時56)が殺害され、誠さんの三女と一時同居していた筒井郷太容疑者(27)が逮捕されました。誠さんは手記にこう記しています。
「どこの警察署も助けてくれない」
「私が筒井容疑者を殺しておけばよかった」(誠さんの手記より)
警察に対する強い不信感―。事件の経緯をたどると、“捜査の盲点”ともいえる課題が見えてきます。
【ポイント1】暴力事件かストーカー事件か
警察などへの取材によりますと、筒井容疑者は去年の夏ごろから誠さんの三女の家に居ついて暴力行為を行っていました。
「怒鳴り声が、男性のですね、聞こえたという状況ですね」(同じマンションに住む人)
誠さんは去年10月下旬、地元の長崎県警に通報。翌日には千葉県警・習志野署が三女の家に突入し、身柄を保護しました。その際、三女に暴行を受けた跡があったことを警察は確認しています。ですが、担当したのは暴力事件を扱う「刑事課」ではなく、ストーカー事件などを扱う「生活安全課」でした。犯罪被害の専門家は「それ以上の対応」が必要だったと指摘します。
「『暴力』を訴えているのなら、警察全体で取り組むような体制がとれないだろうか」(常盤大学 諸澤英道教授)
その後、警察が「警告」したにもかかわらず、ストーカー行為は収まりませんでした。誠さんが何度も警察に通報するも、筒井容疑者を逮捕することはありませんでした。
「『誰も助けてくれない』と絶望的な気持ちになりました」(誠さんの手記より)
【ポイント2】被害届の提出と受理
去年12月5日、長崎にいた誠さんと三女ですが、被害届は「千葉の習志野署でしか受け取れない」と言われ千葉へと向かいます。翌6日、習志野署で誠さんはこんな対応を受けます。
「刑事課が一人もあいていないので1週間待ってくれ」(千葉県警・習志野署)
千葉県警はJNNのインタビューに応じ、こう説明します。
「当初(習志野署で)対応にあたった担当者は山下さんから被害状況が書かれた文書を受理していますが、十分な時間をかけて事情聴取できなかったのは事実。詳細な事情聴取を6日後に行うことにした経緯は現在検証中・・・」(千葉県警生活安全部 安達泉己参事官)
【ポイント3】ストーカー行為を重視せず
待たされている間、誠さんと三女が家で過ごしていると、ドアを何度もたたいたり周りをうろつく男がいました。誠さんは男が筒井容疑者とみて警察に逮捕してほしいと訴えましたが、それもかないませんでした。そして12月16日、誠さんの妻・美都子さんと母親の久恵さんは殺害されてしまったのです。
ストーカー被害は全国で年間1万6000件を超えます。ある捜査幹部は「男女間のトラブルには安易に警察が介入しない方がいい」という考え方があるとしたうえで、こう話します。
「ストーカー事案に傷害容疑も絡んでいるとわかった段階で、刑事課も一体となって捜査できるようにしていきたい」(捜査幹部)
被害者の立場に立った対策を講じられるのか―警察当局は今後、検証結果と再発防止策を発表する方針です。(15日16:58)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4953713.html
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