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2011年12月 3日 (土)

福井再審事件:検証 元組員と警察「まるで友達同士」(3日)

「おー、お前も食べろ」。86年11月、女子中学生殺害事件の捜査本部が置かれていた福井県警福井署4階の一室に、覚せい剤取締法違反などの容疑で逮捕、勾留されていた元暴力団組員(47)の声が響いた。声をかけられた面会の知人男性(45)の目に、捜査員数人と元組員がおけを囲んですしをつまんでいる姿が飛び込んできた。

 「警察官は年も離れていて怖い存在のはずなのに。げらげら笑いながらすしをつまんでいて、まるで友達同士みたいだった」

 1カ月前、元組員から前川彰司さん(46)が事件の後「服に血を付けていた」という”重要情報”をもたらされた県警は、どんな捜査を展開したのか。

 公判記録や関係者の証言によると、この日は元組員を同署の留置場から規律の厳しい拘置所に移監する予定日だった。捜査員は「協力してくれるなら移監をストップできるか検察に聞いてみる」と持ちかけ、移監にストップをかけた。

 そして翌日、元組員から「前川が『被害者を誘おうと思ったら断られ、腹が立って包丁を振り回した』と言っていた」という新情報を得る。捜査本部にとって、元組員が貴重な「ネタ元」になっていく様子が見て取れる。

 12月に入り、捜査本部は「17歳の後輩が前川と一緒に現場に行った」という元組員の供述に基づいて、事件に関係のない後輩の男性(42)を署に呼んだ。捜査員は元組員を取調室に連れてきて、戸惑う男性を説得させた。「わしの顔つぶす気か。警察に協力せえ」。手錠をしたまま怒鳴る元組員。それでも否認する後輩男性を、県警は同月14日、犯人蔵匿容疑で逮捕した。完全な誤認逮捕だった。

 取り調べは連日、午前8時から日付が変わる頃まで続いた。壁に押しつけたり、机をたたいたり。「血だらけの彰司が帰ってきたのにびっくりして送っていっただけなのに、なぜ認めない。おまえも一緒にやったのか」。着替えなどを入れる容器には、後輩男性の名前と並んで「殺人」と記入されていた。

 元組員は約10日後、「前川と一緒だったのは別の知人」と供述を翻し、他に支えのない県警は男性を釈放した。誤認逮捕という大失態を犯してもなお、捜査本部が元組員の供述を柱とする捜査方針を見直した形跡はない。

 軌道修正のチャンスを逃した当時の県警幹部はつぶやいた。「再審開始が決まったのはマスコミが騒いだから。(前川さんが)名誉回復を求めるなら、元組員やその仲間たちを名誉毀損(きそん)で訴えればいい」

Logo_mainichi_s1_2 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111203k0000m040104000c.html

 

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