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2011年11月20日 (日)

警視庁OBが語った情報漏洩「赤裸々」部分(20日)

品川美容外科の医療過誤事件をめぐり、捜査資料を漏洩したとして地方公務員法違反(秘密漏洩)罪に問われた元警視庁警部の男性被告(58)の審理が東京地裁で進んでいる。14日に開かれた第2回公判には、資料を受け取ったとされる警視庁OB=嫌疑不十分で不起訴=が証人として出廷し、事件を“全面自供”した。無罪を主張し、徹底抗戦の構えの被告人と、“完落ち”状態の証人。10年来の同志が邂逅した法廷で、被告人席からの鋭い視線を浴びながらも、OBはある「信念」を語り出した。(滝口亜希)

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記事本文の続き 「えー、OBの自宅に行った事実はありますが、捜査情報を漏らしたような事実は、一切ありません」

 先月21日に開かれた初公判の罪状認否で、元警部は起訴内容を全面的に否認し、身の潔白を訴えた。

 起訴状や検察側の冒頭陳述によると、元警部は医療過誤などの業務上過失致死傷事件を捜査する警視庁捜査1課特殊班係長だった平成22年11月14日午後6時ごろ、千葉県野田市にあるOBの自宅を訪れ、自宅付近に止めた乗用車内でOBに捜査資料のコピーを渡したとされる。

 資料は、21年12月に品川美容外科の池袋院で脂肪吸引手術を受けた女性患者=当時(70)=が死亡した医療過誤事件に絡む司法解剖鑑定書や捜査報告書で、元警部は事件の捜査を担当。一方、OBは当時、品川美容外科の渉外室顧問で、捜査する側とされる側という複雑な関係だった。

 実は、OBの病院への再就職を斡旋したとされるのは、元警部自身だ。 

 元警部とOBは、13年3~8月の間、特殊班で一緒に勤務したことから飲食を重ねる仲となり、OBが21年7月に警視庁を退職した後も親交を続けていた。OBが無職であることを知っていた元警部が病院側と掛け合い、別のOB=嫌疑不十分で不起訴=とともに再就職話をまとめたとされる。

 しかし、同病院への家宅捜索の際に捜査資料のコピーが見つかったことなどから、資料の漏洩が発覚。捜査を担当していた現職警部とOB2人が逮捕されるという、前代未聞の事態に発展した。

 元警部は捜査段階から、一貫して漏洩を否定。しかし、「資料を受け取った」と認めたOBの供述などを根拠に、同法違反罪で起訴されることになった。一方、漏洩を唆したとして逮捕されたOBは、もう一人のOBとともに嫌疑不十分で不起訴となり、明暗を分けた格好だ。

 元警部の有罪を立証したい検察側にとって「キーマン」となるOBが証人として登場したのは、第2回公判だ。同じ釜の飯を食べた同志であり、働き口を見つけてくれた恩人でもある元警部を前に、OBはどのような証言をするのか…。傍聴人がかたずをのんで見守る中、OBは「あの夜」の出来事を語り出した。

 検察官「どうして会うことになったのですか」

 OB「午後に自宅にいたところ、元警部から携帯に電話があり『今から行くよ』と言われました」

 検察官「交通手段は?」

 OB「確か、『自分の車で行くから』と話した記憶があります」

 検察官「被告人はすんなり来られましたか」

 OB「『○○ちゃんの家はどこだったか』という連絡が1回あったと思います」

 「ちゃん付け」でOBの名前を呼んでいたという元警部。2人の親交の深さがうかがえる。

 検察官「いつ着きましたか」

 OB「5時は過ぎていたと思う。携帯に『着いたよ』と連絡があり、すぐに玄関から出ました」

 検察官「被告の車の種類は?」

 OB「日産の紺色のシーマです」

 検察官「それからどうしましたか」

 OB「すぐに助手席に乗り込みました。乗り込んですぐに元警部の方から、『これやるよ』と水色のファイルを渡されました」

 検察官「どんなファイルですか」

 OB「紙ファイルです。A4で厚さ1センチぐらいです」

 検察官「その場で中身を見ましたか」

 OB「ファイルを開けたところ、『鑑定書』という太文字が飛び込んできましたが、それ以上はそこでは見ていません」

 検察官「何の鑑定書だと思いましたか」

 OB「事故(医療過誤事件)に関するものであることは容易に判断がつきました」

 検察官「その時の気持ちは?」

 OB「特にこれといって『あー、良かった。うれしい』といった気持ちは、そのときは全くありませんでした。ただ、他の医師に見せることで(患者死亡の)原因究明に役立つのかなあと思いました」

 OBは検察側の主張に沿う形で、詳細な証言を続ける。傍らの被告人席に座る元警部は、逮捕前と比べてやせた印象ながら、“完落ち”状態のOBを眼光鋭い目つきでじっと見つめている。証言台のOBは、「それまで2人の間で情報漏洩は一切なかった」としつつも、資料の授受に至ったある事情を打ち明けた。

 OB「5月か6月に飲食したときに、『○○ちゃん、実は△△管理官が自分の評価を上げるために医師を逮捕しようとしている』と言われました。『私と管理官では過失のとらえ方が違う』とも言うようになりました」

 法廷で実名を暴露されたのは、元警部の上司にあたる、当時の捜査1課管理官だ。もともと、品川美容外科の事件をめぐっては、医師の「過失」をどうとらえるか、そして、逮捕に踏み切る必要性があるのかどうかについて、警視庁内部でも意見が分かれていた。

 元警部は医療過誤事件の専門家として高い評価を得ていたが、「捜査側の思惑によって医師が簡単に逮捕されれば、医療現場が萎縮しかねない」との思いもあったのだろう。元警部は捜査方針が対立する管理官への不満を漏らしたという。

 「医師を逮捕までする必要はない」という元警部の考えに共感したというOBは、法廷でも「元警部は私に少しでも原因究明がやりやすいように、資料を渡したんだと思います」と述べた。

 実際、資料を受け取ったOBは、品川美容外科の熊本院や鹿児島院へ出張し、院長らに資料を見せて患者の死因などについて意見を求めるなどしたという。

 第2回公判で、元警部に不利な証言を続ける形となったOB。しかし、検察側から「元警部に伝えたいことはないか」と問われると、こう続けた。

 「私と元警部は、事故をつぶす(立件を阻止する)という意図は全くありませんでした」 

 「決して私利私欲に基づいてやったことではありません。医師は逮捕させない、ということでやってきました」

 事件の背景には、「立件するとしても逮捕ではなく書類送検にとどめたい」という捜査上の「信念」があったことを強調しつつ、最後にこう締めくくった。

 「法に触れていたのは確かなこと。反省しないといけないところはいけない。今後も私は元警部と2人で、非は非として第2の人生を一緒に歩んでいきたいと思います」

 10年来の同志との“再スタート”を誓うOBの晴れ晴れとした様子とは対照的に、被告人席の元警部の表情は硬いまま。12月19日に予定されている被告人質問で、元警部はどのような胸中を明かすのだろうか。

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