埼玉県熊谷市の小学4年、小関孝徳(こせき・たかのり)君=当時10歳=が車にひき逃げされて死亡した事件は30日、発生から2年を迎えた。犯人は現在も見つかっていない。「自首してほしい。犯人にも良心があるはず」。母親の代里子さんはやり場のない悲しみを抱えながら、同級生や保護者ら多くの関係者とともに犯人逮捕を願い、手がかりを求める活動を続けている。
孝徳君は09年9月30日午後6時50分ごろ、熊谷市本石1の児童館前の市道で、車にはねられた。自転車に乗って、書道教室から帰る途中だった。
「孝徳を思い出してしまうから、大きくなったほかの子どもの姿を見るのはつらい」。代里子さんは声を落とす。一方で、顔見知りの子どもたちの成長を喜び、見守りたいと願う気持ちも強い。
孝徳君の同級生の母親らは事故後、代里子さんとともに事故現場周辺に立ち、通る車両のナンバーや方向をメモする活動を手伝っている。これまでに記録した台数は5万台を超えた。6年生になった同級生たちも、7、8月には駅前などで情報提供を呼びかけるチラシを配った。
所属していたサッカーチームは9月24日の練習試合で、数人が交代で孝徳君のユニホームを着てプレーした。代里子さんは「友達たちの思いがうれしく、涙が止まらなかった」と話す。
命日を前に、代里子さんのもとには孝徳君の友達から「小関くんありがとう」と書いた手紙や折り鶴が届いた。
30日朝、孝徳君が通っていた市立石原小では半旗を掲げ、臨時集会が開かれた。浅見信行校長が「小関君は空からみんなを見ています。二度とこのような悲しい事故が起きないようにしましょう」と呼び掛け、全員で黙とうを捧げた。
同日夕には、同小の児童や近くの熊谷高サッカー部員ら総勢約100人によるチラシ配りも行われた。また同小では10月1日に開かれる運動会で、友人が孝徳君の体操服を着て参加するという。
「これだけの人の思いが犯人の良心に届いてほしい」と願う代里子さん。下を向いてばかりはいられないという。「私が悲しむのは孝徳が嫌がると思う。頑張って生きていきたい」
【藤沢美由紀】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111001k0000m040134000c.html