東日本大震災:避難所救急出動1500件 被災3県沿岸部(23日)
東日本大震災で特に大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県沿岸部の自治体で、震災後1カ月間(3月11日~4月10日)の避難所への救急搬送の出動件数が少なくとも計1556件に上ることが、各消防本部・消防局への取材で分かった。避難所への出動が全体の6割を占めた自治体もある。避難所生活で体調を崩して死亡する被災者も出ており、専門家は「仮設住宅への早期の移転が必要だ」と指摘している。【関谷俊介、樋岡徹也】
3県沿岸部の計37市町村のうち避難所への出動件数が不明の自治体や原発事故で避難中の自治体を除く20市町村で集計。1カ月間の出動件数は計1万505件で昨年1年間の月平均件数の約2倍に上る。うち避難所への出動は15%を占めた。
岩手県山田町では、震災後1カ月間の出動287件のうち167件(58%)が避難所への出動だった。管轄する宮古地区広域行政組合消防本部によると、震災2週間後くらいに避難所生活の疲れから脱水症状などで搬送される人が多かった。同消防本部は「避難所生活が長期化した場合、再びピークが来るのでは」と懸念する。
同県大槌町でも、1カ月間の出動184件のうち76件(41%)が避難所への出動。釜石大槌地区行政事務組合消防本部は「避難所から容体が急変して運ばれるケースが多く、4月中旬になっても続いている」と話す。
宮城県山元町では、震災後1カ月の出動230件のうち避難所への出動が83件(36%)に上る。仙台市では昨年の出動件数は過去最高の4万2052件だったが、震災後1カ月で5108件に上り、うち305件が避難所への出動だった。
福島県では、避難所への出動が南相馬市で37件、新地町で19件あった。両市町など4市町村を管轄する相馬地方広域消防本部の担当者は「避難所を巡回診療している医師の話では、口の中の衛生状態が悪化している人もいるといい、避難所生活が長期化すると誤嚥(ごえん)性肺炎などが起きる恐れがある」と危惧している。
避難所への出動件数が不明の自治体を加えると、さらに件数は増える。岩手県陸前高田市では震災後1カ月間に昨年の月平均件数の4倍の306件の出動があり、同市消防本部は「避難所からの要請が全体の6割くらい。救急搬送は4月上旬まで通常の4倍の1日あたり10件前後、中旬でも2倍の1日あたり5件前後ある」と話す。
阪神大震災で孤独死について調査した神戸大大学院の上野易弘(やすひろ)教授は「避難所生活の身体的、精神的ストレスは心臓疾患などを起こりやすくさせる。避難所でプライバシーを確保できる環境を整えるか、仮設住宅への早期の移転が必要だ」と指摘している。
避難所で死亡するケースは各地で発生。仙台市若林区の小学校の避難所で3月16日、70代の女性が倒れているのが見つかり、病院に運ばれたが死亡した。宮城県多賀城市の避難所でも同20日、心臓の持病を抱えていた70代の女性が倒れ、搬送先の病院で亡くなった。
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110423k0000m040151000c.html
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