「おばあちゃんが中に…助けて」奇跡の救出劇(21日)
【東日本大震災】
「一人でも多くの人を助けたい」-。宮城県石巻市で震災から10日目に阿部寿美さん(80)と孫の任さん(16)が救助された奇跡の救出劇。2人を救った県警石巻署の警察官4人が21日、救出までの一部始終と、今後の捜索活動への希望を語った。
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記事本文の続き 石巻湾に注ぐ旧北上川河口沿いにあり、辺り一帯が津波で押し流された石巻市門脇町。石巻署の清野陽一巡査部長(43)ら4人は20日早朝から行方不明者の捜索に当たっていた。
日も落ちかけた午後4時ごろ、「言葉にならないようなかすかな声が聞こえた」(清野巡査部長)。辺りを見回しても瓦礫(がれき)の山だけで人の姿は見えない。それでも瓦礫を乗り越えて声の方向へと向かうと、屋根にしがみつき、助けを求める任さんがいた。
被災者でありながら連日、下着も替えずに朝から日没まで行方不明者の捜索を続けてきた4人。これまでに発見したのは、遺体ばかりだった。任さんを見つけた瞬間、全員が「生存者がいるなんて…」と目を疑った。
顔面蒼白(そうはく)で震えていた任さん。清野巡査部長が手渡したカイロやお菓子を拒み、「おばあちゃんが中にいる。助けてほしい」と絞り出すような声で訴えた。「元気を出してくれ。すぐに助けるから」と清野巡査部長に励まされ、任さんは「ありがとうございます」といって初めてお菓子を受け取った。
足が不自由で自力で外に出られない寿美さんを救出するために最初に家の中に入ったのは、千葉知洋巡査(20)だった。瓦礫の間を縫うように進んだ先に寿美さんを見つけた。目があった瞬間、「助けに行くから安心してください」と声をかけると、寿美さんは泣き崩れたという。
寿美さんと任さんがいた台所は、大人2人がやっと横になれる狭い空間だった。ダイニングテーブルと倒れたクローゼットの上には布団と毛布が敷いてあり、寿美さんは「途中で雨や雪が降ってきた。布団があったから助かった」。
瓦礫の隙間から漏れてきた光が入ってくるだけの暗い空間。ここで9日間を過ごした2人に、千葉巡査は「よくここまでがんばって生きていた」と声を震わせた。
清野巡査部長は「つらい状況だが、励みになる気持ちでいっぱいになった」と目を赤くした。4人は約15分間の短い取材の最後に「これからも一人でも多くの命を救いたい」と誓い、この日も捜索に向かった。
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