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2011年1月15日 (土)

大阪府警のお家芸 存在感増す「見当たり捜査」(15日)

手配犯の顔写真を頭にたたき込み、雑踏から犯人を見つけ出す-。“お家芸”とも言われる大阪府警捜査共助課の「見当たり捜査」が存在感を増している。記憶と執念を頼りにした捜査手法だが、科学捜査の進歩が著しい近年でも大阪では手配犯の約2割を摘発する。警察庁も態勢強化の方針を打ち出すなど捜査手法としての評価は高まっているが、職人技の技能習得には苦労もつきものという。

 昨年7月、大阪市内の繁華街にあるゲームセンター。私服姿の捜査員の視線は、がっちりした体格の“男”の横顔をとらえていた。

 ジャンパーを羽織り、肩をいからせて歩く。髪形はスポーツ刈り。だれもが「男性」と見間違えるような外見だが、実は2年前に窃盗容疑で兵庫県警に指名手配された30歳の女だった。

 7年前に撮影されたという女の手配写真は、どこから見てもかわいらしい女性。容姿はすっかり変わっていたが、「目の雰囲気が一緒や」と捜査員は確信した。

 職務質問すると、女は男性の偽名を名乗り「別人だ。弁護士を呼ぶ」と強硬に否定。それでも粘り強く問い詰めると、女は観念したように自供した。「それは自分です」

 人であふれる雑踏の中からどうやって瞬時に犯人を識別するのか。捜査共助課のベテラン捜査員(54)は「髪形や服装を変えたり年齢を重ねたりしても、目の雰囲気だけは変わらない。目は指紋と同じ」と秘訣を明かす。

 黒目と白目の比率、目元の雰囲気、目尻の角度…。「勤務時間中はもちろん、自宅のトイレなどで何度も繰り返して写真を見る。そのうち相手の目を見た瞬間にピンとくるようになる」。

 酷暑の夏も、大雪の冬も、街へ出て通行人に視線を注ぐ。目と集中力を酷使するため、経験の浅い捜査員の場合は連続2、3時間が限界。慣れるまでは全く結果が出ないことも少なくない。

 「上達に早道はない。苦労を重ねて乗り越えた者は大きく伸びる」。これは自身の経験に基づく持論でもある。

 見当たり捜査は昭和50年代に全国で初めて大阪府警が導入し、毎年100人前後の手配犯を摘発する実績を誇る。捜査手法はその後、全国の都道府県警でも取り入れられ、約10年前に専従班を置いた警視庁では手配犯の全摘発のうち約1割を見当たり捜査で占めるようになった。

 昨年4月から凶悪事件の時効が廃止・延長され、手配犯は今後、増え続けることが予想される。警察庁は科学捜査の充実を図る一方、見当たり捜査の専従要員を全国で34人増員する計画を打ち出し、日本の治安維持に科学と職人技の「融合」を掲げる。

 「ハイテク捜査の技術が進んでも、見当たり捜査の手法は30年間全く変わっていない」とベテラン捜査員は自負する。大阪府警には今でも、他府県警から指導や研修の依頼が後を絶たないという。

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