野球賭博で元力士ら立件 警視庁に物証の壁(27日)
大相撲の野球賭博をめぐる事件は約10カ月の捜査を経て、元力士ら「開帳側」の立件にこぎ着けた。「力士と仲介役、胴元で絡まる糸を解きほぐす捜査」(捜査関係者)が尽くされたが、立件に不可欠な物証の壁に阻まれ、関与が疑われた暴力団の摘発は見送られた。警視庁にとって、暴力団不在の決着は苦肉の策ともいえる。
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記事本文の続き 組織犯罪対策3課が野球賭博問題を把握したのは元琴光喜関に対する恐喝の被害相談があった昨年3月。その後、日本相撲協会に33人の力士が賭博関与を申告した。
「大規模な賭博の胴元には必ず暴力団がいる。暴力団が摘発できれば満点の捜査」(当時の捜査関係者)
こうした見通しから、同課は力士の聴取や相撲部屋の一斉捜索を行う一方、元力士の古市満朝被告らによる恐喝事件を優先して立件。恐喝事件の被害者として山本俊作容疑者が、加害者の弟として元力士の古市貞秀容疑者がおり、この捜査でトレーナーを含めた「仲介役」とみられる3人の存在を浮かび上がらせた。
特に同課が着目したのは「山本ルート」。山本容疑者は「(山口組弘道会系)組長が胴元だった」と供述。賭け金が資金源となっていたことが疑われたためだ。同課は昨年8月以降、押収した携帯電話のメール履歴と口座の出入金を符合させ、賭博システム解明に向けた捜査にシフトした。
だが、ここから捜査は暗礁に乗り上げる。
賭博捜査は賭博が行われた試合日と、レートにあたる「ハンデ」を特定した上で、複数の賭客▽仲介役▽胴元-の3者で行われた金銭授受の裏付けが不可欠だ。しかし、分析された携帯メールで力士の明確な関与が確認できたのはわずか数台。山本容疑者が供述した弘道会系組長は一昨年夏に死亡し、組長関係先の家宅捜索でも賭博を裏付ける物証はなかった。
結果、逮捕容疑となったのは古市容疑者が賭博の開帳者、山本容疑者が開帳を手助けしたというもの。暴力団を頂点とする賭博システムという構図は崩れた。今後もトレーナールートの解明など捜査は継続されるが、「これ以上、『上』に伸ばすのは困難だ」(捜査関係者)とみられる。
ある捜査幹部は「暴力団が作り出した賭博をストップさせ、角界が暴力団との関係遮断に乗り出したことは大きな成果だ」と、苦しい捜査の意義を強調した。
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