« 「駅に不審物」で爆発物処理班出動、実は乗客の忘れ物…(6日) | トップページ | 流出、海保の証拠映像と断定…十数本の一つ(6日) »

2010年11月 6日 (土)

「情報テロ」一体誰が…警視庁を震撼させたネット流出(6日)

【疑惑の濁流】

 国際テロを捜査する警視庁公安部外事3課が作成した可能性のある資料がインターネット上に掲載された問題は、横浜市でのアジア太平洋経済協力会議APEC)首脳会議の開催直前に何者かが仕掛けた「情報テロ」だったとの見方で固まりつつある。現状でも「日本のインテリジェンス(情報活動)史上、最悪の事態」(警視庁OB)といえるが、仮に内部犯行だった場合に警察当局が受けるダメージは計り知れない。“手負い”の警視庁は、どこまで真相に迫れるか-。

関連記事

記事本文の続き ■意図的?「ウィキリークス」名乗るサイトにも

 《聴取計画について

 みだしのことについては、FBI(米連邦捜査局)からの捜査要請に基づき次の通り聴取を実施したい》

 資料には表題に続き、チュニジアやモロッコ国籍の6人の名前や住所、生年月日などの個人情報が並ぶ。これ以外にも警察官2人がモロッコ人男性と東京・銀座のかに料理店で接触した際の聴取結果、イスラム圏の大使館の給与振込口座解析結果、さらには顔写真が入った警視庁国際テロリズム緊急展開班名簿…。秘匿性の高い“一級品”の捜査資料の流出は114件にのぼった。

 これら警視庁のものとみられる資料が、ファイル共有ソフト「ウィニー」のネットワーク上で閲覧可能になったのは10月28日午後9時のことだった。ほぼ丸1日、ウィニーに接続されていた形跡があり、警視庁は29日午後8時ごろ、民間会社から神奈川県警を通じて寄せられた通報で掲載を確認。激震が走った。

 「意図的に掲載されたとしか思えない」。情報セキュリティー会社「ネットエージェント」の杉浦隆幸社長は指摘する。

 追跡が困難なルクセンブルクのレンタルサーバーを利用していたことや、暴露ウイルスに感染した際に特徴的な流出元の個人データなどがなく、国際テロに関した資料のみが出していたからだ。

 「捜査協力者」として多くの個人情報が掲載されているが、ウィニー上に流出した資料は、現在もサイトに転載を続けて拡散しており完全削除はもはや不可能な状態に。

 いち早く転載されたサイトには、米軍などの機密情報を内部告発するサイトとして世界中で注目を集める「ウィキリークス」を模した名前のものもあった。フォルダの名前に現職公安部幹部の名前を冠していたこともあり、「内部」の疑念も浮上した。

 流出した資料は北海道洞爺湖サミット警備の体制などのほか、外事3課が動向を追跡する外国人の人定事項台帳なども含まれた。

 「長い間かけて積み重ねてきた国際テロの捜査は振り出しに戻ってしまうのか」

 警察幹部は唇をかみしめた。

 ■「個人」で所有できない資料…誰が、どこから

 容易に入手することが困難な内部資料。では、誰がどのようにして入手したのか。依然として謎に包まれている。

 公安警察は、強固なピラミッド型の組織で情報は下から上へと吸い上げられ、断片的な現場の情報が幹部のところで一つのまとまった形になるとされる。幹部と同様、現場でも情報を共有する刑事警察とは事情が異なる。

 今回、掲載された資料は内容が濃く幅の広いものだった。そのため、「現場の捜査員レベルが持てる内容ではない」(公安部OB)との見方が強い。

 このため、幹部クラスのパソコンから流出した可能性もあるが、資料作成時期は約6年間の幅がある。1年から2年で異動することが多い幹部では、アクセス権限などからすべての資料を入手することは不可能という。

 公安部ではPDF形式で資料の保管はしておらず、警視庁の専用サーバー内にある各課のファイルに保存。だが、114件の資料のうち108件はPDF形式のファイルだった。ファイルに残る記録では、大型連休中の5月2日から4日にかけてPDF化されていた。この時期に集中して、電子データから直接変換されたとみられ、入手時期も同時期の可能性が高い。

 警視庁の専用パソコンから外部記憶媒体にデータを移すと暗号化処理され、別のパソコンには移動できないという。電子データで直接PDFに変換されていることから、警視庁のサーバー内から資料が抜き出された疑いが浮上している。

 「サーバー内に侵入されたとすれば、他の資料も抜き出されても不思議ではない。第2、第3の“攻撃”をしかけてくることもあり得る」。警視庁幹部は「情報テロ」の脅威に警戒を強める。

 青森中央学院大の大泉光一教授(国際テロリズム)も「管理の仕方がずさんどころではない。管理システムに問題がある。なぜ起きたのか、原因を究明することが大事。今後も同じような流出事件が起きる可能性が高い」と警鐘を鳴らす。

 ■国民の生命脅かすインテリジェンスの危機

 「サードパーティールール」。情報の世界では、第三者に情報提供する場合は提供元の同意を得るというルールが存在する。

 今回流出した資料の中には、このルールに基づいて海外の情報機関から提供されたものやFBIからの捜査要請も含まれていた。外事警察、とりわけ国際テロの取り締まりには海外機関の協力は不可欠。だが、今回の件で国際的な信用が地に落ちる可能性がある。

 外交ジャーナリストの手嶋龍一氏は、テロ情報は一国では成り立たないと前置きした上で、「日本との情報交換が危険と他国からみなされる。おのおのが極秘の情報源で命をかけて情報収集している。良質な情報は提供してもらえなくなる」と今回の問題の深刻さを指摘する。

 警視庁は「資料が内部資料であるか調査中のため内容についてはコメントできない」としている。資料が本物であると認めれば海外の信用を失い、認めなければ真相の究明はできないというジレンマを警視庁は抱えている。

 「国として、きちんとしたインテリジェンスのセキュリティーが構築されていない。国をあげて横断的に情報を管理するシステムの構築を本気で考えなければならない」

 日本大学法学部の福田充教授(情報危機管理)は、国家としてのインテリジェンスの重要性を見つめ直すべきだと主張する。

Head_logo1_3 http://search.jword.jp/cns.dll?type=lk&fm=127&agent=11&partner=nifty&name=%A5%A4%A5%B6&lang=euc&prop=500&bypass=2&dispconfig=

 

« 「駅に不審物」で爆発物処理班出動、実は乗客の忘れ物…(6日) | トップページ | 流出、海保の証拠映像と断定…十数本の一つ(6日) »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/514231/49952096

この記事へのトラックバック一覧です: 「情報テロ」一体誰が…警視庁を震撼させたネット流出(6日):

« 「駅に不審物」で爆発物処理班出動、実は乗客の忘れ物…(6日) | トップページ | 流出、海保の証拠映像と断定…十数本の一つ(6日) »