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2010年10月 2日 (土)

「最強の捜査機関」返上せよ 社会部長・近藤豊和(2日)

最強の捜査機関の一翼として、検察庁がその存在を名実ともに誇ってきた大阪地検特捜部の前特捜部長、大坪弘道容疑者と、前副部長の佐賀元明容疑者の両トップ経験者が逮捕されるという前代未聞の事態が起きてしまった。

 郵便不正事件で元厚生労働省局長、村木厚子さんに無罪判決が出たことで大打撃を受けた直後に、追い打ちをかけるように主任検事だった前田恒彦容疑者による証拠物のFD改竄事件が露見した。さらに、今回、2人の元幹部による組織的な隠蔽も明るみになった。ことは大阪地検特捜部に限らず、検察庁の特捜部という組織の存在そのものが問われる事態といっても過言ではない。

 検察庁は、公益を代表して公訴権を唯一持つ準司法機関である。国、社会の秩序を法執行で保持するための「正義の機関」だ。その組織の中でも、特捜部は東京、大阪、名古屋の3地検だけに設置され、政治家や官僚の汚職、大企業などの大型経済事件、脱税事件などを手がける知能犯捜査のスペシャリストたちのエリート集団である。

 通常の刑事事件は警察当局が逮捕し、検察庁に刑事処分の判断を仰ぐために、「送検」という手続きを取った上で、検察庁は起訴の有無を判断する。

 しかし、特捜部は逮捕も自らが行い、起訴も自らで判断する。このように強力な捜査権限を有する「権力機関」であるからこそ、その捜査は正当性、緻密(ちみつ)さ、順法性が厳密に保たれなければならず、だからこそ、「最強の捜査機関」の名声が冠せられてきた。

 この戒めを忘れた特捜部は、この冠を一度、返上しなくてはならない時がきたようだ。

 「特捜部」の名前が一気にとどろいたのは、なんと言っても、田中角栄元首相を刑事被告人としたロッキード事件だった。「巨悪の追及」という特捜部のイメージは一気に世の中に広がった。

 その後も、リクルート事件、ゼネコン汚職事件、大蔵省汚職事件などの数々の輝かしい捜査実績を挙げた。

 この結果、「特捜部が動く」ことは、政財界をはじめ、社会に大きなインパクトを持つようになった。世の人々は「世直し大明神」のようにいつしか崇(あが)めるようになっていた。こうした「英雄視」する向きはこの機関への無批判さを醸成し、「組織疲労」もまた進んでいた。

 一方、検察組織内では、時の政権などからの「検察批判」に応じるかのように特捜部のたたき上げである、いわゆる「捜査畑」の検事が敬遠されるような人員配置が続いた時期があったのも事実だ。

 確実な捜査の伝承はどこかで、途切れていた。「信じられないような捜査の押さえどころの漏れがある」(元特捜部幹部)というように、捜査能力の低下は進行していたのだ。

 だが、世の中の特捜部への期待、イメージは従前のまま。名声保持のため、「無理筋に固執して、無茶をする」(同)ことが生じていたのではないか。こうして連鎖した「組織疲労」は、今回の事件で一気に噴出したのだ。

 それでも強調したい。やはり特捜部は必要だ。時間がかかっても検察全体が「特捜再生」への道のりを歩むべきである。前法相は先日、テレビで「特捜部不要論」をぶち上げていた。こうした論には与(くみ)することはできない。世を蝕(むしば)む「悪い奴(やつ)ら」が喜ぶだけだからだ。

Msn_s1 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101002/crm1010020442006-n1.htm

 

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