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2010年7月22日 (木)

千ページの証拠資料・条文勉強…検察審査会の経験者証言(22日)

小沢一郎・前民主党幹事長の不起訴処分をめぐり検察とは異なる市民の判断を示した検察審査会。審査は非公開のため、どのような議論があったかは不明だ。審査会が注目を集める中で、同党を揺るがした鳩山由紀夫前首相の偽装献金事件の審査経験がある元検察審査員らが取材に応じ、法で定められた守秘義務に触れない範囲で様子を証言。ベールに包まれた実態の一端が明らかになった。

 会社や居酒屋の経営者に、主婦、ネット関係や病院で仕事をする人。島から通った人や、転勤で都外に住んでいてもわざわざ通った人もいた。平均年齢は52歳。男性8人、女性3人のどこにでもいる市民たちが、東京地裁内の会議室のような部屋で机を囲んだ。

 東京第四検察審査会が今年2~4月の間に審査したのは時の首相、鳩山氏の事件。鳩山氏を不起訴にした東京地検特捜部から提出された証拠書類は、約千ページ、高さ15センチにも及んだという。政治資金規正法の資料や六法の本も配られ、初めて読む条文を勉強した。

 審査は隔週で、午前中から午後4時ごろまで。付箋(ふせん)をつけながら資料を読み込むだけで、数回を費やした。審査のポイントは事務局の職員が説明してくれた。証拠書類はもちろん、自分のメモも持ち帰れない。「事件について書かれた新聞記事を読んでもいいが、影響されないように」と事務局から注意を受けた。

 11人の中から選ばれた審査会長を中心に議論が白熱し、事務局から「冷静になりましょう」といさめられたことも。「証拠で判断しましょう」と確認し合った。メンバーの半数の任期が切れる4月末が近づいてきたが、変わってしまうと一から資料を読み直す必要がある。集まる日数が増えてでも、このメンバーで結論を出すことにした。

 

不起訴にした検察官を呼んで直接、疑問をぶつけた。「首相を呼び出して事情を聴かなかった理由は」「グレーだとしたら、白に近いか、黒に近いのか」「政治的な力は影響していないのか」……。検察官からの答えは「呼ぶほどの必要性がなかった」「色では答えられない」「政治的な力は働いていない」。聞いても、すっきりしない審査員が多かったという。

 審査を始めて約2カ月後の4月21日、いよいよ結論を決めるときが来た。「不起訴相当」「不起訴不当」「起訴相当」の3種類の議決が書かれた紙が配られ、どれかを○印で選び、理由も記した。「評決箱」に投函(とうかん)され、審査会長が1枚ずつ取り出して読み上げた。緊張の一瞬だった。結論は、過半数の票を集めた「不起訴相当」。つまり不起訴は妥当だと決まった。

 議決書の作成には、補助の弁護士もかかわった。審査員が納得できなかった部分を盛り込んでもらった。実母からの多額の資金提供を「知らなかった」とする鳩山氏の上申書について「一方的な言い分にすぎず、疑問を投げかける声が少なからずあった」と付言した。会計責任者の選任と監督の両方の注意を怠った場合にしか政治家の責任を問えない規正法の規定について、「政治家に都合のよい規定だ。監督責任だけで会社の上司が責任を取らされている世間一般の常識に合わない」と、法改正を促す指摘も盛り込んだ。

 議決から5日後に完成した議決書に目を通して、納得した審査員が多かったという。審査員だった一人は「首相を審査している、という気持ちは特別になかったが、みんな真剣に取り組んだ。専門家では気付かない視点もあったと思う。自分たちの気持ちが入った議決だ」と自負する。その日に議決が公表され、内容を報じる夕刊を駅で買って気分よく帰宅したという。

一方、鳩山氏とは別の政治家を審査した市民も、取材に応じた。特捜部が政治家を聴取したのは1回だけで、「特別扱いではないか」と感じたという。「一般の事件は、被害者と加害者がいて、どちらの言い分が正しいかを考える。しかし、政治家の事件は、被害者は自分も含めた国民。加害者を保護する気にはならないので、厳しい結論が出やすい」と、審査する市民の心理を説明する。

 審査会が2度「起訴すべきだ」と判断すれば政治家でも強制的に起訴される仕組みについてはこう話す。「11人の市民が2回も審査したら、有罪の可能性があるのは間違いない。検察という閉ざされた場で終わらせず、裁判という公の場で主張を出し合い、結果として無罪となってもそれでいいのでは」(岩田清隆、山本亮介)

     ◇

 〈検察審査会〉検察官の不起訴処分が妥当かどうかを、市民からくじで選ばれた11人の審査員で審査する。全国の裁判所内に165の審査会が置かれる。審査員の任期は半年で、3カ月ごとに半数の5~6人が交代する。

 11人のうち8人以上が「起訴すべきだ」と判断すれば「起訴相当」、過半数が「もっと捜査をするべきだ」と判断すれば「不起訴不当」と議決。「起訴すべきだ」と2度判断すれば強制起訴される。

 審査員経験者は評議の経過や各審査員の意見、意見の多少の数などを明かしてはならないと定められている。裁判員は判決後に感想などを記者会見で語っているが、検察審査員の会見は審査非公開を理由に事務局が拒んでいる。

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