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2010年7月17日 (土)

「逃亡者」が明かした警察の死角…窃盗犯の“虎の巻”の凄い中身(17日)

「1カ所で5分以上は費やさない」「逃走中に警察官とすれ違ったら先にあいさつする」…。警視庁荏原署に窃盗犯の心理を凝縮した門外不出の資料が存在する。窃盗を繰り返し、昨年4月に警視庁に逮捕された男が、自分の手口を赤裸々に語った内容を資料にしたものだ。「犯行前の準備」から「事件発覚後の警察の動き」まで計36カ条からなる“虎の巻”。「模倣される恐れがある上、警察の痛いところを突いている」(警察幹部)として、捜査員の間で「秘中の秘」とされてきた一部が明らかになった。(福田涼太郎)

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記事本文の続き ■余罪350件以上自供…完落ちした“職人”

 昨年4月21日午後8時すぎ、千葉県市川市内のマンション。

 小柄だが、体の引き締まった男が作業ズボンにジャンパーを身につけ、建物内に入っていった。周囲を見渡すような怪しげな動きはまったくない。

 男は10分もたたないうちに外へ戻ってきた。マンションを取り囲むようにして待ちかまえていた捜査員が男に近寄り職務質問。ショルダーバッグからはハンマーやドライバーなどの工具が次々と出てきた。

 男はその場で、特殊開錠用具所持の現行犯で逮捕された。男はこの短時間でしっかりと空き巣に入り、現金を盗んでいた。

 都内では当時、マンション高層階のベランダを乗り移り、窓ガラスを工具で破る手口の窃盗事件が多発。この手口は窃盗の前科5犯を持つ、この男が得意としていたものだったため、警視庁でマークしていたのだ。

 「いつかまた捕まると思っていた」

 観念して取り調べに応じた男は、平成20年3月~21年4月までの間、首都圏のほか大阪、福岡など11都府県で空き巣や事務所荒らしなど357件を繰り返していたことを自供した。裏付け捜査で確認できたのは、うち276件(被害総額約3300万円)。

 だが、男が口にした驚くべきことは犯行件数だけではなかった。調べの合間ごとに自分の窃盗の手口を披露し始めたのだ。

 「窃盗犯は自分の手口がバレることを最も嫌う。手口が分かると犯人として絞られやすくなるからだ」(捜査関係者)

 なぜ、男は手口を語ったのか。その理由は簡単だった。

 「私は(泥棒から)足を洗う。その証としてすべてのことを明らかにする」

 ■「げんこつ」「裏通り」…逃げ切るコツの数々

 男が長年の泥棒稼業から分析に分析を重ね、編み出した手口はどのようなものだったのか。ジャンルに分けて紹介する。

 ここでいう「仕事」とは盗みに入ることを指す。男は犯行をそのように呼んでいた。

 【仕事前の準備】

 《作業着で仕事をする》

 男は主に作業着を着てメジャーを片手に仕事に臨んでいた。マンションは改修や配管などの作業が頻繁に行われるため、歩き回っていても疑われることはまずない。その際、現場監督者を装い作業服をきれいにしておくのがコツ。今回の逮捕まで職務質問を受けたことはなかった。

 《げんこつでチャイムし不在を確認》

 忍び込む家を物色する前は、チャイムを押して住人が不在の家を探す。応答があっても「間違えました」と言えば済む。チャイムは指紋が付かないよう、げんこつで押す。

 【仕事中の心構え】

 《1カ所を必ず5分以内で済ませる》

 時間がかかるほど捕まる可能性が高まるので仕事は短時間で済ませる。窓ガラスを割る際、工具で2回たたいて割れなかったらすぐに侵入をあきらめる。仏壇やタンスなど現金が置いてありそうな場所のみをピンポイントで物色。欲を出して多くを盗もうとしない。そのため男の犯行は一回の被害額が少ないのが特徴だったという。

 《手を付けるのは現金や商品券のみ》

 換金目的で物品を盗むと販売先から自分にたどり着く恐れがある。高級腕時計や貴金属がすぐ手の先に置いてあっても我慢。男いわく「誰も紙幣や商品券の番号まで控えている人はいない」。

 《物色後は室内を片づける》

 盗みに入ったことを住人に気付かせなければ、それだけ通報を遅らせることができるため、荒らした室内は元どおりに復元する。裏付け捜査のために警察が訪れ、初めて空き巣に入られたことを知った住人もあったほどだ。

 【現場からの離脱方法や警察官の動き方】

 《裏通りを使って逃げる》

 裏通りはパトカーでも自転車でも警察官があまり通らない。逃走は裏通りを徹底する。どうしてもバス通りを通らざるをえない場合は、何でもいいからバスに飛び乗る。バスを呼び止める警察官はいない。

 《見つかりそうなときは1時間じっと隠れる》

 警察官は現場周辺の緊急配備が始まってから、1時間ほど経過するといなくなる。そのため、すぐに逃げ切れなかったら現場付近で隠れる。警察官は他人の家の庭にまでは入ってこないため、民家の庭は隠れ先として優れていた。

 《逃げる途中で警察官に会ったら先にあいさつ》

 警察官に会ったら「ご苦労さまです」と先に声をかければ怪しまれる確率が減る。ちなみに現場に向かう途中の警察官は急行することに気を取られ、すれ違う相手に職務質問をしない-。

 以上が“虎の巻”のごく一部だ。とりわけ警察官の動きは、「追われる側」から透けてみえた捜査の死角ともいえる。

 ■警察幹部も度肝を抜かれた観察眼

 男は52歳の無職で埼玉県出身。身長165センチだが、非常に身のこなしが素早いといい、少年のころから盗みに手を染めていた。

 犯罪を繰り返していたため、窃盗といえども1回の服役期間が平均5年と長く、実に人生のおよそ半分を刑務所で過ごしている。

 昨年4月に逮捕されたときも1年余り前に刑務所を出所したばかりで、マンガ喫茶を拠点に仕事を繰り返していたという。

 男が泥棒稼業から足を洗う理由は定かではないが、「そろそろ潮時だと思った」と漏らしたという。

 また、男は「自分が話した知識を参考に(泥棒)仲間を捕まえてほしい」と語ったというが、当時の同署幹部は男の観察力に驚き、即座に資料化して全署員に配布するよう命じた。

 例えば「1時間で警察は警戒を解く」というくだり。警察は窃盗事件が発生すると、現場周辺で「D配備」という大人数での警戒態勢を敷く。だが、通常態勢に戻るまでの時間は、男の指摘と同じく約1時間とされる。

 長年の経験がまさに知識として身に付いており、ある捜査関係者は「『そうだったのか』と思わされる個所がたくさんある。理論と実践が結びついている」と感心する。

 同署などは今後の窃盗事件捜査などに差し支えがない範囲で、男の手口を数点挙げた「泥棒の独り言」と題するA4用紙1枚の資料を作成。管内の住民に配布し防犯に役立てているという。

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