不審者情報共有の難しさが露呈 前橋市男児通り魔事件(27日)
小学生が被害に遭う通り魔騒動が前橋市で相次いだ。11月には同市駒形町の市立駒形小学校の校門前で小学2年の男児が刃物で襲われ、軽傷。12月にも、市内の2小学校周辺に刃物のようなものを持った男が現れ、男児が腹をたたかれる事件も起きた。襲われる側に落ち度がないのに突然降りかかってくるのが通り魔だが、防ぐ術はないのか。事件では「不審者情報の共有」の難しさが露呈した。
駒形小の前で小学2年の男児(8)が襲われたのは11月20日。前橋東署によると、1人で下校しようと校門を出たところ、男に顔を切りつけられた。
不幸中の幸いで、男児の傷は浅く、逃走した男も3時間後には取り押さえられた。新たな被害への不安がなくなり、保護者らからは、安(あん)堵(ど)の声が漏れたが、問題も浮かび上がった。「女子高生が足を触られた」「児童が車で連れ去られそうになった」-。小学校周辺では不審者情報が相次ぎ、事件直前にも低学年の女児が不審な男から声をかけられることがあったことを学校は把握していた。
だが、市教育委員会や県警はすべてを正確につかんでいたわけではなく、いずれも事件当初の取材では「周辺での不審者情報はなかった」と説明。加えて、保護者らへの情報伝達も徹底されていなかった。
仮に、情報が伝えられていたならば、男児が被害に遭うことを回避する手立てが打てたかもしれないとの思いからか、事件後、市教委には保護者らから「もっと、いろんな情報がほしい」との声が寄せられているという。
情報伝達手段として、前橋市は平成18年4月、「おれんじめーる」を導入。あらかじめ希望した保護者らの携帯電話などに、緊急情報をメールで伝えるというもので、市教委によると、登録者は保護者の9割を超える。
だが、配信されるのは学校などが緊急性が高いと判断した情報だけ。市教委はその理由を「細かな情報まで伝えると、逆に混乱を招く」と説明する。
それでも市教委は11月の事件を教訓に、これまで校区内に限っていた保護者への情報提供を、周辺の保護者らにも極力配信するようにするなど基準を引き下げた。このため、12月3日に同市大利根町の市立大利根小と同市三河町の市立中川小付近に不審者が現れ、男児がたたかれるなどした事件が起きた際には、周辺の学校に通う児童の保護者にも情報が伝えられた。
だが、それで問題が解決したわけではなく、ジレンマを抱える市教委幹部は「情報の把握と共有は難しい問題で課題」と、率直に口にする。学校側が把握していた不審者情報を市教委や県警が知らなかったのは論外としても、どんな情報をどういう形で共有・提供するのか、改めて検討することが必要だ。(森本充) http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/340388/
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