未公開株詐欺が“復活” 株価上昇も背景に(8日)
「上場後に高配当が得られる」と未公開株の購入を持ちかける勧誘電話に関する相談件数が、再び増加に転じている。相談の大半は未公開株詐欺の被害に関するものとみられ、詐欺の手口は金融庁や証券取引等監視委員会(SESC)の関係者を装い、相手を信頼させる「公的機関装い型」など巧妙化。回復基調にある株価なども影響しているようで、国民生活センターが注意を促している。(内藤慎二)
■金融庁&業者から… 「未公開株のトラブルを抱えていませんか」今年7月、茨城県在住の無職男性(71)の元へ、1本の電話が入った。当時、男性は約2千万円を投じて計4社の未公開株を保有していたが、上場する気配はなく、「だまされたかもしれない。誰かに相談したい」と焦燥感に駆られていた。そんな心理状態を知っていたかのように、電話口の男は「金融庁の委託を受けて、お客さまに注意喚起しています」と持ちかけたという。しかし、男性が保有株の銘柄を教えて「相談に乗ってください」と伝えても、男は「取引には気を付けてください」と繰り返すだけだった。数日後、複数の業者から「あなたが保有している銘柄は価値が高いので買い増しませんか」と勧誘が来るようになった。
「タイミングが良すぎたので、男から業者に私の情報が流れたのかもしれないと思った。未公開株保有者のリストを基に接触してきたのでしょう」業者からの電話は9月に入っても続いたが、不自然に思った男性が応じなかったため、新たな被害に遭わずに済んだという。男性は大手生命保険会社を勤めあげ、退職金は家のローンや息子の事業資金などに消えた。「生活が心許(もと)ない」と未公開株に手を出し、泥沼に陥ったという。
その後、妻に脳腫瘍(しゅよう)が見つかった。しかし年金生活では手術もままならない。「なぜ事前に相談しなかったのか」。家族のために生きてきた代償は皮肉にも家族の冷たい視線だった。「金を取り戻したいが、本当に取り戻したいのは家族の信頼」と男性は悔やむ。
■投資家心理を逆手に 国民生活センターによると、未公開株に関する相談件数はピークだった平成18年度の4066件から、19年度は2611件まで減ったが、今年に入って再び増加傾向にある。21年度は8月末現在で1270件の相談が寄せられ、20年度の同時期より487件増えた。年度ベースでも前年度を大きく上回るとみられる。同センターは9月、注意を促すためホームページ上で新手の手口を紹介した。そのうちの一つが、金融庁や証券監視委の関係者を装う「公的機関装い型」だ。
公的機関との関係をにおわせて「被害に気をつけて」と信頼させる一方、保有株の銘柄を聞き出し「あなたが持っている未公開株は近く上場する予定です」と情報提供する。さらに後日、“共犯者”の第三者が接触し、買い増しを促すケースが主流だという。こうした手口が広まった背景について、SESC関係者は「振り込め詐欺でも警察官のフリをして金を詐取する二次被害が広まったのと似ている」と分析する。
一方、国民生活センターは「景気が上昇すれば企業上場も増えるはず、という投資家心理を突いている」と指摘する。4月に8千円台前半だった日経平均株価も1万円近くまで上昇、勧誘電話の増加と一致するためだ。同センターは「背景には株式市場の回復傾向もある」としたうえで、「公的機関が特定銘柄を薦めることはありえない」と話している。http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/310251/
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