サイバー攻撃、「威力は兵器級」…人命にも関わる危険(11日)
米韓の主要省庁や金融機関、大手メディアなどのウェブサイトを狙い多発しているサイバー攻撃は、北朝鮮による「サイバーテロ」の可能性も取りざたされている。今回はサイトがつながりにくくなったり、パソコンの画面がかたまったりするなど、比較的軽い被害でおさまっているが、「発生源を突き止めるのは極めて困難。封じ込めも容易ではない」(警察庁)という。ある日突然、社会生活を混乱に陥れ、時には人命にかかわる事態を引き起こす危険性もある“見えない攻撃”の脅威を、「兵器級」と指摘する専門家もいる。一連のサイバー攻撃が最初に確認されたのは米国だった。
独立記念日にあたる現地時間4日以降、ホワイトハウスや国防総省、国務省など主要省庁のほか、ニューヨーク証券取引所などのサイトが一斉攻撃を受けた。韓国でも7日夕以降、青瓦台(大統領府)、国防省、外交通商省、国会など国家機能中枢や大手銀行、有力紙「朝鮮日報」などのサイトで、機能障害が発生した。いずれも軽微な被害にとどまっているが、世界各地ではこれまで、国家の安全保障を揺るがしかねない事態に陥ったとの報告もある。2007(平成19)年6月には、中国を発信源とするハッカーが米国防長官のオフィスのコンピューターに侵入した。フランスでは政府の情報システムがサイバー攻撃を受けたことがある。ドイツでも首相官邸など複数のコンピューターシステムが不正侵入され、スパイプログラムを仕込まれたという。公安関係者は「スパイの世界は、機密情報の入手や国家中枢の混乱を狙った高度な電子諜報(ちょうほう)戦の時代に突入して久しい」と断言する。
サイバー攻撃は情報だけでなく、人命をも脅かす。2000(同12)年2月から4月にかけて、豪州のクイーンズランド州で、下水処理場の汚水が大量に河川や公園に流れ込む事件があった。捜査当局の調べで、犯人は下水処理システムに侵入し、水流を不正にコントロールしていたことが判明した。
米中央情報局(CIA)の専門家は、この事件について、「ネットワーク経由でシステムに侵入しており、地理的、気象的な条件次第では河川の氾濫(はんらん)や飲料水の汚染などの人命にかかわる大規模テロにも応用できる危険な事例」と分析したうえで、「国家やテロリストは、自らサイバーテロリストを育成する必要はない。高度なハッキング能力を持つ犯罪者を雇い入れるだけで、兵器級の破壊力を持つことになる」としている。
公安当局によれば、北朝鮮にはすでにサイバー工作を専門とする組織が存在するという。国内の養成機関で教育された要員がハッカーとして外国の軍や政府機関のコンピューターへの不正侵入を狙っているとされる。今回の米韓への攻撃も、北朝鮮のこうした組織が「挑発行為を行っている」とみる専門家も少なくない。
韓国治安機関の関係者はは「米韓への同時多発サイバー攻撃と北朝鮮を結びつける科学的で直接的な根拠はいまのところない」としているが、「攻撃が米独立記念日に始まった点や、後継者をめぐる情勢、サイバー攻撃部隊の存在とその動静など、北朝鮮の関与を疑う余地は十分にある」と指摘。今後、各国の治安機関と協力して警戒を強化するという。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/276955/
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