小山署によると、3人にけがはなく、奪われたのは高級ブランド「エルメス」のバック1点と財布2点(計14万円相当)、その中に入っていた現金92万円だった。男性宅の1階和室と長男宅の2階納戸には現金計数百万円が入った金庫があったが、手は付けられていなかった。ただ、現場には特異な点があった。男性宅の庭の地面が十数カ所も掘り返されていたのだ。どの穴も深さは約30センチぐらいで、いずれもスコップで掘り返したようなものだった。「庭に金塊とか骨董品が埋められているといった噂があったのだろうか」と県警幹部。捜査関係者も「何の意味があるのか。何かを探していたのか。まったく分からない」と話す。
■「受け皿」? 「引き抜き」? 被害男性が所属する団体は… 県警や付近住民によると、男性は県内外で複数のパチンコ店などを営んでいたことがあり、経営から退いた現在も地元では資産家として有名だったという。「立派な家と高級車などを所有していた。昔は客人の出入りも盛んで、有名政治家との2ショット写真も見たことがある」。近所の男性はそう話した。公安関係者らによると、男性は朝鮮総連中央本部財政局の元幹部だった。脱退して平成7年に在日同胞親睦会(本部・東京都台東区)を立ち上げ、現在、会長を務めているという。 親睦会の会員によると、同会は在日朝鮮人や在日韓国人、日本に帰化した朝鮮半島出身者の交流を図ることなどを目的とした組織で、囲碁の会合を開催したり、北朝鮮の金剛山への観光旅行を実施するなどの活動を展開しているという。南北交流。そんなイメージが浮かび上がる。それもそのはず、親睦会が設立された当時は、北朝鮮に対し「太陽政策」を打ち出した金大中氏が韓国の大統領に就任していたのだ。ただ、親睦会をめぐっては、微妙な動きがあったことを公安当局は把握している。 公安関係者によれば、親睦会は、朝鮮総連を離脱した職員や活動家の“受け皿”的な存在でもあったという。中には、親睦会に顔を出し、総連への不満をぶちまける人もいた。 こういう事態になれば、南(在日韓国人)側からみれば、「受け皿」でも、北(在日朝鮮人)側には「引き抜き」と映る。親睦会事務所の出入りを確認する組織があったことも公安当局は知っていた。「親睦会の基金は数億円もあるといわれる。誰がこのハコを作ったかについては…、ノーコメントだ」 公安関係者はそう語った。 県警で公安事件を担当する警備部の幹部は「今のところ、被害者の活動などが、事件の引き金になったとする情報はない」としている。被害にあった男性も小山署の事情聴取に、「特に狙われる覚えはない」と話しているという。
■人目に付きやすい犯行現場…「下見」「逃走」目撃されていた 現場はJR小山駅から北へ約1・5キロの市街の中心地。国道から一本脇に入った道路沿いで、車や人の通りは多い。男性宅の道路を挟んだ向かい側には警察職員の官舎があり、数百メートル先には小山署もある。「犯行場所としては人目が多すぎて、あまりにもリスクが高い」と県警幹部。実際、複数の目撃情報があった。近所に住む40代の男性会社員は、犯行当日の午前10時ごろ、男数人が乗った黒い乗用車が男性宅の周囲を何周も回るのを見たという。会社員は「近所で見ない人たちで、下見しているようだった」と振り返る。この会社員と近所の自営業の女性(42)は午後1時ごろ、男性宅の前の道路を猛スピードで走り去る黒い乗用車とワゴン車を見たという。これらの情報は県警も把握しているが、依然として、犯行は逮捕されていない。 犯行グループの人数が多いことも気になる。
「純粋な金目的の強盗では多くても4、5人くらいまでの人数で犯行を行うのが普通だ。大人数だとグループの誰かが逮捕されるリスクが高まるし、分け前も少なくなる」。県警幹部は首をかしげる。県警は、現場近くの防犯カメラを回収し映像を分析するなどして、犯行グループが使用した車の割り出しを進めている。http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/277094/
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