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2009年6月5日

2009年6月 5日 (金)

★連載小説警視庁特命捜査官(57)

  弁護士の講義
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 海洋商事の会議が始まろうとしていた。
 「鬼頭さんのおっしゃった通りになりました」
 城西署の生安課長が鬼頭に駆け寄ってきて囁いた。
 署長、副署長、刑事課長など幹部が集まるのを待って会議が始まった。冒頭で生安課長が立ち上がり、得意満面の顔で喋りだした。

 「鬼頭警部からの指示で九州の頴娃町に捜査員を派遣しておりましたが、その本庁薬対の捜査員と本署の捜査員が帰って来ましたので、捜査の結果報告をしてもらいます」

 課長の紹介で身長180㌢はある大男が立ち上がった。
 「薬対の小野塚です。今回の捜査は、例の朝洋の赤のベンツがNシステムでヒットした指宿市の海岸線で聞き込みをしてまいりました。その結果を報告します」

 ひと呼吸おいて小野塚が喋り出した。
 「カーナビの記録にありました指宿枕崎線のレストランで、社長の帳と副社長の林功一など複数の顔写真で首実験した結果、複数の従業員が林の顔を指して『この人が東洋系の人と食事に来た』という証言を得ました」
 この言葉に、野口署長が声を出した。
 「おい、時間的には…」
 「あの最後の通信記録があった9月××日です」
 小野塚が答えた。さらに野口署長は身を乗り出して聞いた。
 「東洋系と言っても北朝鮮とは限らないだろう。何で結びつくんだね?」
 「注文したのがカレーライスとコーンスープ、それに刺身定食というアンバランスだったので記憶しているのと、注文をとるときに一人はまったく日本語がダメで朝鮮語を話していたそうです」
 小野塚は林の住民票と朝洋商事の経歴書を示しながら続けた。
 「林副社長は在日朝鮮籍の人物であり、朝鮮の言葉は話せるそうです」
 さらに小野塚から驚きの言葉が飛び出した。

  「例えば、北の工作員が日本に上陸しますよね。言葉が通じないですよね、あの周辺には深夜コンビニがいっぱいあるんですよ。それで買い物をするのではないかと思い、防犯ビデオを捜しました。見つかりました。その写真がこれですが、レストランで確認したら間違いないことが分かりました」
 その場は騒然となった。小野塚が写真を持って署長席に歩み寄った。みんなが写真を見るため集まってきた。

 写真を手にした署長が言った。
 「これが、北朝鮮の工作員だと言うのか」
 鬼頭が続けて口を開いた。
 「やりましたね…。ところで林の調べは順調に行っていますか?。私は穴守の調べに専念していて申し訳ありませんが…」
 署長の右隣にいた生安課長が答えた。
 「林は下町で調べていますが、Nシステムとカーナビの組み合わせにはビックリして、もう『何でも話します』と言っているそうです。完落ちになるのでしょうかね」
 野口署長が笑いながら言った。
 「もともと帳社長と意見が合わなかったのではないの?。肝心の帳はどうなっているんだ」
 「現在は金の流れを中心にしております。それで、狙いは林との供述の食い違いを突くために、九州の結果待ちのため、まだ触っていませんでした」
 調べを担当しているキャップの榊原特命捜査官がこう答えた。署長も鬼頭も納得した。そして林の調べに期待感が持たれた。

 

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