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2009年6月1日

2009年6月 1日 (月)

(1)家出サイトの闇 少女狙う「泊め男」(1日)

携帯電話の小さな画面に、少女たちの「SOS」の叫びがあふれていた。「誰か助けて。お金もう200円しかないです」「1週間ぐらい泊めてくれる方いませんか」「ある程度は覚悟してます」――。携帯サイト上に無数にある「家出掲示板」。家出をしたい少女と、少女を家に泊めたい男、いわゆる「泊め男(とめお)」をつなぐ。それはあまりに危険な「出会いの場」だ。

◎ 掲示板を利用していた少女に、東京都内の駅前で会った。長い付けまつ毛に濃いアイライン。16歳という。白いケータイをちょっと持ち上げ、「コレがある限り、泊まる場所が見つからない気はしないよ」と笑う。「『家出したい』って書き込むだけで、すごい返信くるもん」。埼玉県の自宅にはもう11か月間帰ってない。

 不在がちな父親と、不満のはけ口を子供たちに向ける母親。そんな家にいるのが嫌で、初めて家を飛び出したのは中1の時だ。だが、当時は行くあてもなく、数日後には家に連れ戻された。変わったのは、家出掲示板の存在を知ってからだ。

 掲示板で泊め男を見つけると、段ボール4箱分の荷物を着払いで送る。関東一円から新潟、愛知にも行った。1か所に2週間から1か月。嫌になったり相手の都合が悪くなったりすれば、また次の泊め男を探す。掲示板で「一緒に行動しませんか?」と仲間を募り、「いい条件の泊め男がいたら、情報交換してみんなで使い回す」とも言う。だが、待っていたのは、そんな幼い知恵ではコントロールできないほどの暴力の世界だった。

 昨年12月には、埼玉県の20歳代の男に「家賃分、働け」とホテル街に連れて行かれ、客を取らされた。逃げるように移った千葉県の男の家では1か月以上軟禁され、毎日のように複数の男から暴行を受けた。腕と太ももに残る傷跡。逃げようとして見つかり、「罰」としてナイフで刻まれたという。「もう水着になれないね」。それでも、少女は家に帰るつもりはないという。警察庁によると、1年間に補導される未成年の家出人は昨年、10年ぶりに増加に転じ、前年比175人増の4536人となった。少年問題に詳しい日本女子大の清永(きよなが)賢二教授(社会心理学)は「家出掲示板は思春期なら誰でも抱く、軽い家出願望を実現させてしまう。家出は今や一部の子供だけでなく、普通の子供たちの問題」と警告する。

 児童買春の温床とされてきた出会い系サイトへの規制が強化されたのは昨年12月だ。2007年時点で5000前後あるとされた出会い系サイトの届け出数は今年2月末時点で2527に。だが、都内のサイト運営会社の担当者(29)は「出会い系サイトが減っても、利用者は規制対象外のサイトに移るだけ」と指摘する。「家出掲示板も実質的には出会い系。出会いの場が法の網の外に移り、実態はむしろ見えにくくなった」

◎ フィルタリング(閲覧制限)義務化や小中学校への持ち込み禁止。ケータイを巡るトラブルから子供を守ろうとする動きが加速する反面、危険はむしろ見えにくくなっている。パート2では、姿を変える「ケータイの闇」を追う。http://www.yomiuri.co.jp/national/oya2/oya090425.htmYomiuri_koudoku1_2

 

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