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2009年5月15日 (金)

連載小説 警視庁薬物特命捜査官(54)

   中国の銀行口座の解明
080713_164028_m   風間が、重森の顔を見ながら言い出した。
 「それでですね、穴守の調べなんですが、現在、鬼頭警部が覚せい剤中心にやっていますが、少なくても一拘留までは覚せい剤中心に調べを進め、地下銀行関係はその都度、調べに入るという方針では如何でしょうか?」
 重森と同時に小嶋課長も「その方が良いのでは…」と答え、小嶋課長だけがさらに続けた。
 「そうしてもらえれば、途中で中国の情報が入れば大いに役立つのではないかと思われますが…」

 部屋に入る西日からして夕方近くになっていた。最後に霧島生安企画課長がこう付け加えた。
 「重森君な、どうだろう。警察庁で全ての関係する警察本部捜査責任者を集めて一度、合同会議を開いては…」
 「分かりました。一度開こうと思ってはいるのですが…、計画ばっかりで…局長に聞いて決めましょう。それにしても、きょうは風間さんと鬼頭さんの報告だったはずだが…こんなに盛り上がってしまいましたね」
 重森はこう答えて打ち合わせ?は終了した。
 警視庁に戻った風間と鬼頭は捜査二課長室を訪れた。課長室には石本課長のほか捜査二課の伊藤管理官が同席していた。石本課長が口火を切った。
 「詳細についてはチャートにしておきましたので検討して下さい」
 伊藤管理官が続いた。伊藤は石本課長より10年は年上だった。キャリアの石本も若いと言っても大阪府警の捜査2課長を経験していた。
 「その図解にもありますが、四葉からの引出し役は木川田のカードを使っていますが、実際は新城商会の会計担当の井森敦夫が担当していました。それを東京大東銀行新橋支店の淋公平名義の口座から香港の外資系銀行香港支店に送金。口座名義人は梁の経営する海南商会です」
 伊藤管理官はさらに続けた。
 「それで、その先ですが現在、中国公安部に照会中ですが、香港支店からは何人かの中国人が引出していることが確認されました。ボスは福建省にいるらしいのですが、大部分は海南商会の梁に渡っています」
 管理官は、「続けて良いですか?」と石本課長に念を押して
 「この梁の経営する海南商会は海産物の業者でアサリとか蟹類、松茸なども扱っており、北朝鮮との取引が一番多いそうです。ここから先が問題なのですが、実は中国公安部が数年前から薬物マフィアの取り締まりに乗り出していたのですが、そのきっかけとなったのが海南商会の関連企業でした」
 「つまり、北朝鮮から流入する覚せい剤の調合を行っていたことが分かり、関連会社を摘発したのです。関係資料が必要なら捜査員を派遣すれば協力すると言ってきています」
 

 

 鬼頭は一つ確認しておかなければならないことがあった。伊藤管理官に質問した。
 「伊藤管理官、中国の海南商会は商事ではなく正式には何ていうんですか?」
 「海南商会が正しいようですよ」
 今度は風間が鬼頭に聞いた。
 「北朝鮮の覚せい剤が中国で調合されていた…純度が高くなくなっている?」
 これに鬼頭が答えた。
 「その通りです。中国経由でも入るものは調合していると言われていました」
 風間は納得した。伊藤管理官はさらに続けた。
 「問題は、現在、中国公安部に現金の流れについては照会中です。問題は中国から日本の何処にどうして届けられたかという品物の流れなんですが…これは私の方は進めていませんでしたが…」
 鬼頭が口を開いた。
 「新潟県警が土砂で埋まった小屋から送り状が付いているとみれる小包の包装紙を発見していて、品物の流れは、こうした物からたどる方法だってあると思います」
 鬼頭は、さらに
 「厚生労働省の麻薬取締官事務所とか入国管理局の横浜とか成田とか関西空港とかの支署の協力を得ながら手がかりは掴めるはずですから…」
 「分かりました。そちらの方で宜しくお願いします」
 石本課長が風間らにお願いした。風間からの質問に移った。
 「それでですね。穴守の調べなんですが、きょうは送致日ですが、拘留決定後なんですが、同時にしますか?それとも…」
 伊藤管理官が答えを引き受けた。
 「それでこちらは、四葉に振り込んでいた関係者の捜査にも人員が取られておりまして…はっきり言って手がないのです。銀行関係では事実上の実行犯の井森敦夫があれば良いのであって、組織的にはトップの穴守の確認程度だと思います。ですから、しばらくの間はそちらにお願いすることになると思います」
 石本課長は「それで良いのでは」と言ったあと、付け加えるように言った。
 「風間さんね、鬼頭さんの落としのネタが必要でしょうから、私のほうから進み具合にもよりますが、情報は可能な限り提供しましょう」
 「ありがとうございます。助かります」
 鬼頭と風間は、礼を言って捜査二課長室を出た。鬼頭は立ち上がった瞬間、めまいを感じた。「疲れているのかな」と思った。つづく

 

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