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2009年4月22日 (水)

足利事件 DNA型一致せず 「科学万能」に一石(22日)

栃木県足利市で1990年、保育園女児=当時(4)=を誘拐、殺害したとする殺人罪などで無期懲役が確定した菅家(すがや)利和(としかず)受刑者(62)の再審請求の即時抗告審で、東京高裁の嘱託鑑定の結果、女児の着衣に付着した体液と菅家受刑者のDNA型が一致しなかったことが21日、捜査関係者の話で分かった。検察、弁護側それぞれが推薦した2人の鑑定人の結果が、いずれも「不一致」になったとみられる。正式な結論となれば、確定判決の有力な根拠とされた「鑑定によるDNA型の一致」を覆すことになり、再審開始の可能性が高まりそうだ。双方の鑑定人は今月末をめどに、結果をまとめた報告書を東京高裁に提出する見通し。再審無罪へ向け、再鑑定を請求した主任弁護人の佐藤博史弁護士は「正式な連絡があるまで静かに見守りたい。コメントはしない」としている。佐藤弁護士らによると、再審請求中の事件で、DNAの再鑑定が行われたのは初めて。 確定判決では、菅家受刑者は90年5月、足利市内のパチンコ店から女児を近くの河川敷に誘い出し、絞殺した、とされている。

 菅家受刑者は翌年12月に逮捕され、1審公判途中から無罪を主張。捜査段階の自白やDNA鑑定の信用性を争ったが、最高裁は2000年、DNA鑑定の証拠能力を初めて認定、上告を棄却する決定をした。弁護側は「独自鑑定ではDNA型が一致しない」として再審請求したが、宇都宮地裁で棄却され、東京高裁に即時抗告した。高裁は昨年12月、女児の着衣に付着していた体液と、口の粘膜と血液から採取した菅家受刑者のDNA型が一致するかどうかの再鑑定実施を決定。今月末をめどに、結果を報告するよう鑑定人に要請していた。科学技術の進化に伴い、DNA鑑定の精度は向上。米国では近年、DNA鑑定によって誤審が続々と判明している。19年前に起きた足利事件でDNA型が一致しなかったとする東京高裁による再鑑定結果は、日進月歩の科学技術が冤罪(えんざい)を防ぐ有力な武器になり得ることを示す半面、「科学鑑定」を万能視しがちな捜査手法や司法判断にも一石を投じたといえます。

DNA型が一致

 確定判決の決め手は、犯人が残したとみられる体液と菅家利和受刑者のDNA型が一致したとする鑑定結果でした。物証が乏しく、菅家受刑者が1審途中から否認に転じたためです。事件は1990年5月に起きました。足利市のパチンコ店に父親と来ていた女児が行方不明となり、近くの渡良瀬川河川敷で遺体が見つかりました。栃木県警の捜査では、足利市内の借家で週末だけ過ごす菅家受刑者が容疑者として浮上しました。県警は尾行するなどして、菅家受刑者が捨てたごみ袋の中から体液を押収しました。そして体液は女児のTシャツとともに警察庁科学警察研究所に持ち込まれました。科学警察研究所が「DNA型は一致」との鑑定報告を出したのは91年11月。県警は翌月、これをもとに菅家受刑者から自白を得て、殺人と死体遺棄の疑いで逮捕しました。

■鑑定の信用性

 DNA鑑定は1985年に英国で開発された、比較的新しい捜査の手法です。細胞の中に1つしかない細胞核に含まれているDNAは、塩基と呼ばれる4種類の物質が鎖状に並んでいます。万人不同の配列をもとに個人を識別します。菅家受刑者が逮捕された91年当時は、日本では捜査に導入されたばかりでした。スタート当時の精度は低く、「DNA型が判然としないものを『一致』とするなどおおざっぱで問題視する声も当時からあった」と、九州大学法学部の田淵浩二教授は振り返ります。一致したとされるDNA型の出現確率は当時、血液型と合わせても「1000人に1.2人」にすぎず、正しい型判定の誤差も大きいとされ、個人識別の正確性を危ぶむ指摘もありました。しかし、最高裁は2000年7月、DNA鑑定の証拠能力を初めて認定。1、2審同様に「科学的原理は正確で、信頼できる方法で行われた」として鑑定に“お墨付き”を与え、菅家受刑者の無期懲役が確定しました。しかし弁護団は、確定審から鑑定結果を疑問視していました。菅家受刑者の毛髪を使い、有罪とされたDNA型と一致しないとする独自の鑑定結果も提出しましたが、裁判所が取り調べることは事実上ありませんでした。

■精度は向上

 科学技術の進化に伴い、現在ではDNA型の出現確率は「4兆7000億人に1人」まで精度が向上しています。また、資料がごく微量だったり古くても分析が可能になったことも、今回の嘱託鑑定で菅家受刑者に有利に働いた可能性があります。ただ鑑定結果の過信は禁物です。田淵教授は、DNA鑑定を過信するあまり「他の証拠捜査がおろそかになる恐れもある。中途半端な鑑定に引きずられることなく、捜査徹底が大前提」と警鐘を鳴らしています。

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