☆「犯人手記」問題で注目集まる新潮の対応 朝日支局襲撃(7日)
昭和62年5月の朝日新聞阪神支局襲撃事件で、「実行犯」を名乗る男性の手記を連載した「週刊新潮」(新潮社)への風当たりが強まっている。朝日新聞は4月1日付朝刊に掲載した2度目の検証記事で改めて「虚報」と断定し、訂正と謝罪を求める異例の対応をみせた。こうした事態を受けて新潮側は、検証作業を行って社としての見解をまとめる方向で検討を始めた。「告発者」の扱いの難しさも浮かび上がった今回の問題。新潮社は、報道の生命線である信用を保つ対応策を打ち出せるのか-。
●応酬 週刊新潮は「私は朝日新聞『阪神支局』を襲撃した」とのタイトルで、2月5日号から4回にわたり、実行犯を名乗る男性の手記を連載した。朝日は連載終了後の2月23日付朝刊で、1ページ全面を使って検証記事を掲載。週刊新潮が「実行犯の証言」とする内容について、捜査本部が発表した情報や現場にいた記者の証言などと比較し、「すべてにおいて証言は客観的事実と違っていた」と断定した。1日付朝刊で掲載した2度目の検証記事では、連載で襲撃の「指示役」とされた元米国大使館職員が事件への関与を否定した点などを指摘。「虚報を放置するわけにはいかない」として訂正と謝罪を求めた。一方、新潮は3月5日号で「『朝日検証記事』に反駁(はんばく)する」との記事を掲載。男性と数十時間にわたって密着した取材経過などを説明し、「事件を徹底検証できるのは警察当局のみだ」と結論付けた。だが、その警察当局も「(男性が)捜査線上に浮かんだことはない」と冷ややかな反応をみせている。
●和解 新潮側は、朝日以外にも“余波”の対応に追われた。連載で犯行声明文を書いたのは右翼活動家の野村秋介氏(故人)とされたが、関係者によると、この点について右翼団体が抗議に及んだ。また朝日の報道によると、元米国大使館職員は「まったくの虚報」と新潮社に抗議し、現金を支払うことで和解したという。朝日は1日付朝刊の社説で「金銭で解決を図ったのは、誤報を認めたと考えざるを得ない」と言及した。新潮は産経新聞に対し、「和解内容については第3者条項があるので明らかにできない」と回答。同社関係者は「右翼団体や元米国大使館職員については、双方が納得する形で話し合いを終えている。こちらが誤報を認めて謝罪するようなことはしていない」と話している。一方、週刊新潮は4月20日付で編集長の交代を決めているが、同社関係者は「若返りを図るための通常の人事」とした。
●検証 今回の事態について、マスコミ業界からは、「告発者」の証言に基づいて岐阜県の裏金問題を報じた日本テレビの報道番組「真相報道バンキシャ!」問題との類似性を指摘する声が上がっている。岐阜県警は3月、虚偽証言で県の業務に支障を生じさせたとして、偽計業務妨害容疑で告発者の男を逮捕。日テレ社長は誤報の責任を取る形で辞任した。今回も、朝日が結論付けた「虚報」が事実とすれば「責任問題はもちろん、雑誌の存続すら問われる事態になる」(週刊誌編集者)とみられている。「不正を暴き、真実を明らかにするために告発者の証言は欠かせない。ただ、スクープの誘惑に負けて十分な裏付けを欠けば致命的な虚報が生まれる」 別の週刊誌記者は告発者との間合いの取り方の難しさを強調するが、果たして新潮はどこまで裏付けを行ったのか。「雑誌ジャーナリズムの雄」に厳しい視線が注がれる中、新潮は今後、記事内容を改めて検証し、何らかの見解をまとめる方向という。http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/240041/
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