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2009年2月21日 (土)

★小説警視庁・薬物特命捜査官(42)

   これが通信傍受だ
080713_164028_m  「ベーヤンは時計係りだ。ストップウォッチ担当。鬼頭さんは聞いていて重要な部分のメモ係りを私と2人でやりましょう」
 令状の開始時間である午前10時が秒読みに入った。
 「はいっ、10時です。開始します」
 課長が宣言したが電話は一向に鳴らなかった。正午前、呼び出し音がした。ストップウォッチが押されるのと同時に、テープレコーダーのスイッチが入った。会話が始まった。
 「もしもし…」
 電話に出たのは女の声だ。事務員だろうと思われた。
 「住之江ですが、担当さんいますか?」
 かけてきたのは若い男の声だった。住之江とは名前なのか?固唾をのんだ。
 「あいよ、どうしたっ>」
 図太い声だった。
 「住之江の古田ですぅ。入金した報告の電話ですがね…」
 話し方に特徴のある男だ。「です」の「す」が語尾上がりになっている。住之江は住所で古田が名前だったのだ。事務連絡のように思われた。次のようなやりとりが続いた。
 「分かった。今度は全額やな…」
 「いや、まだありますぅ…」
 「ボケッ=、次は全額だと言うたのは何処のどなたはんだったかな…えっ。コラッ…」
 「申し訳ありません。勘弁して下さい」
 電話は4、5分で切れた。
 「はいっ、関係ないですね。録音は削除ですね」
 立会人が言った。
 こうして金融関係の報告と見られる電話が夕方までダラダラ続いた。結局第一日目は録音記録はなかった。別所が言い出した。
 「課長、この電話ね、単なる事務連絡用の電話ではないのかな。後藤田は一度も出なかったなぁ。それとも居ないのかな…」
 重苦しい雰囲気に包まれた。
 「しょうがない。明日もがんばりましょう」
 課長の明るい声だけがみんなを元気付けた。
 心配された後藤田が電話に出たのは2日目の午後8時16分だった。テープレコーダーのスイッチを押すと同時に会話が始まった。
 「後藤田です」
 「穴守です。しばらくですね…元気やったかね…」
 仙台の穴守からだった。鬼頭にも聞き覚えのある声だった。会場に緊張が走った。狙っていた電話だった。
 「なんですか?こんな時間に…」
 「新聞見ているかなぁと思って電話したんださ」
 「なんでどす?」
 「この前な、例の金山の事件が報道されたあとだが、週刊誌が北上のこと書きやがったんだよ。平壌に居るってな…」
 「えーっ。それで…知らんかったよ…」
 「そこまでは良いんだが…どうもサツがな、関東連合に絞った捜査をしているようなんだよ」
 「どっちですかね。殺しのほうかそれともヤク関係かね…」

「どっちもだよ。新聞にはそう書いてあったよ。殺された金山は薬物に関係か?ってな。ヤバクなったと思わないか?。どうすれば良いかな…作ちゃんに相談しようと思っていたんだよ…」
 「それはヤバイですなぁ。アナやんな、タイミングを見てさ、玉を送る手もあるで…。この世界でよう使うんだが…ようするに犯人を決めてさ『おめぇ臭いメシ食ってこい』てな。北上に伸びれば困るのはアンさんもワイも同じでっせ」
 「それでさ、ちょっと会えないかな…。どうだろう。熱海あたりでは…」
 「ようざんすよ。いつにしますか?」
 「ちょっと待って…」
 しばらく時間がたった。数分後に
 「もしもし、来月の2日はいかがだろうか…」
 「7月2日でっか…ええですよ。ところでさ…ヤク、頼みますよ。値上がりして困ってまんがね…」
 しばらく間があって穴守が答えた。
 「今度入るのは…」
 穴守は、さらに時間をおいた。
 「実は…新潟に置いてあったのだが…新聞に出ていないので大丈夫だろうと思うのだが…ガサかけられたのだよ」
 「えっ、あれか?佐渡通信とかいう…なんぼあったんや…」
 「1・5㌔あるはずなんだよ…」
 「しかし、みんな捕まりはった?。どないして…」
 こうして話しが佳境に入ろうとしたその時立会人が右手を挙げて指を折りながらカウントダウンを開始した。
「はいっ、時間です。スイッチオフまで5、4、3、2、1、はいっ切って下さい」
 スポット傍受というやつである。
 「ったくもう。大事なのはこれからだろうが…」
 別所が大声を上げた。一定の時間が経過して、再びスイッチを入れた時には会話は終了していた。課長が言った。
 「何処に荷物が入るかまで聞けたら最高だったが、しょうがないよ。新潟の件は予期せぬ出来事や。これで良しとしよう。穴守はもう架けてこないと思うが、あと1日あるわけだから…乞うご期待ですね」
 この日はこれで終了した。3日目も期待されたが、録音として記録するような内容はなかった。これで通信傍受は全て終了した。つづく

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